今年5月の世界の粗鋼生産は3.5%減少(2022年6月21日付ヴァロール紙)

64カ国の約170鉄鋼メーカーが加盟しているベルギーのブリュッセルに本部のある世界鉄鋼協会(Worldsteel)の発表によると、2022年5月の世界の粗鋼生産は、前年同月比3.5%減少に相当する1億6,950万トンに留まり、特に中国の粗鋼生産の減少が顕著で、またその他の粗鋼精査国の生産も減少している。

世界生産の約半分以上のマーケットシェアを占める今年5月の中国の粗鋼生産は、前年同月比3.5%減少の9,660万トンと1億トンを下回っている。

今年初め5か月間の世界の累積粗鋼生産は、2月末からのロシアによるウクライナ侵攻などの要因で、前年同期比6.3%減少の7億9,180万トンに留まり、また中国の今年初め5か月間の粗鋼生産は、前年同期比8.7%減少の4億3,500万トンに留まっている。

2021年の中国の鉄鋼生産は、中国政府による環境問題及び国内経済の減速による国内向けの粗鋼生産調整などの要因で、6年ぶりの前年割れを記録していた経緯があった。

中国の中国工業情報化部では「昨年上半期では新型コロナウイルス感染収束後の経済の急速な回復の延長線上で、鋼材市場は生産・販売ともに好調だったが、下半期は需要の収縮や経済の下振れに、鋼材の生産能力・生産量、輸出抑制策の実施が加わり、粗鋼生産量の大幅な減少につながった」と分析していた。

一方昨年のインドの粗鋼生産は、前年比17.3%の二桁増加を記録した一方で、日本の粗鋼生産は4.2%減少、米国は2.6%、韓国1.4%、ドイツ11.5%、トルコ1.4%並びにブラジルは4.9%とそれぞれ前年を下回っている。

今年2月25日からのロシアによるウクライナへの侵攻による欧米のロシアへの経済制裁の影響で、ロシアの5月の粗鋼生産は、前年同月比1.4%減少の640万トンに留まっていると世界鉄鋼協会(Worldsteel)では予想している。

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