全国セメント工業組合(SNIC)の発表によると、経済動向の指標の一つである2022年のブラジル国内のセメント販売は、2019年から2021年間の3年間連続増加から一転して、前年比1.0%~2.0%減少が予想されている。
今年上半期のブラジル国内のセメント販売は、前年同期比マイナス2.7%に相当する3,080万トンに留まっていると全国セメント工業組合(SNIC)の統計に表れている。
今年6月のブラジル国内のセメント販売は、前年同月比マイナス5.3%の520万トンに留まっており、6月の1日当りの平均セメント販売は、マイナス5.1%に相当する22万5,300トンに留まっている。
全国セメント工業組合(SNIC)のPaulo Camillo Penna 会長は、2009年のルーラ政権の経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設“私の家、私の暮らし Minha Casa Minha Vida”に替わる“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムを批判、連邦政府による早期の大衆住宅向けの新規優遇制度の導入の必要性を指摘している。
先週7日の勤続期間保障基金(FGTS)理事会による“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムによるクレジット上限枠は、7,000レアルの家族収入を僅か8,000レアル迄の引上げに留まったことをPaulo Camillo Penna 会長はセメント販売の増加に繋がらないと指摘している。
2015年~2018年迄の4年間のブラジル経済のリセッションによるセメント業界にとって暗黒の時代から2019年のセメント販売は前年比3.4%増加、2020年は10.6%増加、2021年は6.6%増加の6,440万トンを記録していた。2021年7月から2022年6月の過去12か月間のセメント販売は6,350万トンに留まっている。
一般家庭の負債拡大、高止まりするインフレ指数、13.25%の二桁台のSelic金利による住宅ローン金利の上昇などの要因で、建設不動産業界は住宅向け銀行ローンの与信強化、新規住宅販売向けリリース軒数の減少を余儀なくされている。
2021年のセメントメーカーの設備稼働率は68.9%に達していたが、今年のセメントメーカーの設備稼働率は、販売予想の下方修正に伴って67.6%に留まっている。
全国セメント工業組合(SNIC)では、今年のブラジルの国内セメント販売は前年比1.0%~2.0%減少に相当する65万トン~130万トン減少を見込んでいる。またセメント生産するためのコークスや電気エネルギーなどの原材料価格は、過去12か月間で73.5%と大幅な上昇を記録して収益性を圧迫しているとPaulo Camillo Penna 会長は指摘している。