21日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を前回同様の13.75%に据え置いたが、今迄継続していた委員会メンバーの全会一致の決定とはならなかった。
前回の中銀の通貨政策委員会(Copom)による政策導入金利(Selic)の引上げは、2021年3月のSelic金利が過去最低の2.00%から12回連続を記録していたが、昨日のSelic金利の据置でSelic金利の引上げサイクルは停止し、12回連続によるSelic金利の引上げ幅11.75%は1999年以降では最高の引上げサイクルであった。
昨日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)による政策導入金利(Selic)の13.75%据置決定は、9人の委員会メンバーのうち7人は13.75%の据置を支持した一方で、2人の委員会メンバーは0.25%引上げの14.00%を支持していた。全会一致によるSelic金利の決定は、2016年3月以降では6年以上ぶりの決定となっている。
大統領選挙キャンペーン中のSelic金利の引上げが発生していたのは、ルーラ大統領候補(PT)がジョゼ・セーラ候補 (PSDB)を破って大統領選挙に初当選した2002年以来21年ぶりのSelic金利引上げが継続していた経緯があった。
MoneYouサイト並びにInfinity Asset Managementサイトによる40カ国のインフレ指数を差引いた実質金利調査によると、Selic金利が13.75%に据え置かれたにもかかわらず、ブラジルの実質金利は8.22%で依然として世界最高金利を維持している。
ブラジルに次いで実質金利が高いのはメキシコの5.13%、コロンビアは3.86%、調査対象の40カ国の実質平均金利はマイナス1.69%とマイナス金利となっている。
経済の基本金利であるSelic金利の上昇は銀行の金利上昇に反映するが、Selick金利の引上げ効果には6 ~ 9 か月のタイムラグがある。Selic金利の上昇は、一般家庭の消費や企業経営者の投資意欲を削ぐ悪影響を及ぼす一方、ブラジル国債や社債などの債券投資には、より多くの利回りに繋がる。
XP社チーフエコノミストの Caio Megale氏は、中銀がSelic金利の引下げサイクルに突入するのは2023年下半期と予想、2023年末のSelic金利は10%前後まで下げると予想している。