ブラジル資本ヴァーレ社の2022年第3四半期のオペレーション決算は、鉄鉱石やニッケルの国際コモディティ価格の減少に伴って悪化しており、売上総額は前年同期比19.2%減少の520億レアルに留まっている。
今年第3四半期の税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので、総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示す(Ebitda) は、前年同期比46.5%減少の192億8,000万レアル、純益は18.5%減少の232億8,000万レアルに留まっている。
今年第3四半期の1トン当たりの含有量が高い鉄鉱石の平均国際コモディティ価格は、前年同期比27.2%減少の92.6ドル、ニッケル鉱は前四半期比17.3%減少の2万1,600ドルに留まった一方で、前年同期比では19.0%と二桁台の増加を記録していた。
今年第3四半期の鉱物の全てのポートフォーリオは順調に推移、鉄鉱石生産はほぼ9,000万トンに達し、ニッケル鉱及び銅鉱生産も順調に推移した一方で、世界的なインフレによる生産コストの上昇もオペレーションの改善に努めていると同社の Eduardo Bartolomeo社長は説明している。
今年第3四半期の鉄鉱石の生産は8970万トン、そのうち高含有量の鉄鉱石生産は6,530万トン、低含有量の鉄鉱石生産は3,660万トン、ヴァーレ社は各四半期の生産は販売量を上回って、中国などの輸出策向け在庫確保を行っている。
今年第3四半期の1トン当たりの鉄鉱石の平均売上原価 (CPV) は、前年同期比5.14%増加の43億ドル、また鉄鉱石を含む全ての鉱物の1トン当たりの鉄鉱石の平均売上原価 (CPV) は、前年同期比15.1%増加の63億ドルに達している。
同期の1トン当たりの鉱物の海上輸送費コストは15.8%増加の1,230ドル、第3社からの購入を含む港湾迄のロディスティックのC1コストは10.2%増加の19.4ドルを記録している。
国際コモディティ価格の下落並びに生産コストの増加にも関わらず、Vale 社は競争力を維持しており、第3四半期の中国向け輸出の1トン当たりの鉄鉱石とペレットの損益分岐点価格は 前年同期比1.21%増加の 58.2 ドルを記録、 これは鉄鉱石の国際コモディティ価格が下落するシナリオでも、Vale が利益を上げているかを示している。 第 3 四半期の世界市場での鉄鉱石の国際コモディティ価格は 103.3 ドルで、昨年同期の 162.9 米ドルと比較して 36.5%と大幅な下落を記録している。
今年第3四半期のカナダのサドバリー鉱山のニッケル鉱生産は2021年第1四半期以降では最大の生産を記録、またカナダの Copper Cliff Complex South Mine鉱山のニッケル鉱生産は倍増、10月初めに英国の “Financial Times” 紙は、ヴァーレ社はファイナンシャル アドバイザーを雇ってベース メタル セグメントの 10% から 15% の株式を売却して25億ドルを調達したと掲載している。
今年は安全対策のために5カ所の鉱滓用ダムの廃止を決定、既に7カ所の鉱滓用ダムの廃止と合わせて全体の40%に相当する12カ所の鉱滓用ダムの廃止をすると Bartolomeo社長は説明している。