西森ルイス連邦下院議員のオンライン講演会開催

異業種交流委員会主催の西森ルイス連邦下院議員のオンライン講演会は2022年11月25日午前10時から11時まで75人が参加して開催。司会は湯原慶副委員長が務め、吉田伸委員長は開催挨拶で講演者の西森ルイス連邦下院議員の略歴などを紹介した。

西森下院議員は、テーマ「今後のブラジル政治経済及び日伯関係」について、初めに両国の政治経済の現状及び課題として、政治家は土日もないほど忙しくあちこち飛び回る必要があり、ハードワークで体が資本。最近の選挙はソーシャルネットワーク活用の重要性が増してきている一方で、フェイクニュースが多くて苦労している。パラナ州の下院議員選挙では600人が立候補、そのうち日系人は5人が立候補したが、倍率20倍の選挙を勝ち抜いた。知名度の高い人の当選確率が高く、私は選挙中は日系社会や日本進出企業の重要性を強調してきたと説明した。

日本の製造業は中小企業が貢献しており、ブラジルでも中小企業への支援及び工業化が重要。選挙ではルーラ候補とボルソナロ候補の二極化が顕著であった。ブラジルは三権分立が確立しているが、司法権が強い傾向にある。労働組合が支援しているルーラ新大統領はボリビア、ベネズエラ、キューバや中国との友好を深めて、資本主義国が赤くなる可能性がある。またルーラ政権が国会で色々な法案を通すにはセントロン(Centrão:中道多数派)を取り込む必要があり、簡単に事は運ばないと説明した。

カリスマ性の強いルーラ新大統領は、日本との関係は今後も大切に継続。日伯議員連盟などを通して両国の政治経済関係をさらに深めていくが、日伯FTAが締結されていないことを憂慮しており、2024年のG-20はブラジルで開催されるために、日伯FTA締結をターゲットにしたいと説明した。

続いてブラジル人の観光ビザの免除、若者のワーキングホリディ―で日本での技術取得、日系四世枠の拡大、日系若者のネットワークプロジェクト支援、日系人の技術研修について説明。またブラジルはアマゾン地域の環境破壊でパッシングされているが、世界でも類を見ない素晴らしい森林保護法案が可決されており、納得がいかない面もあるが、ブラジルは世界に対して自国のアピールが下手で損をしている。

ブラジルは世界9位の経済ポテンシャルの上に、人口が2億人以上の消費大国で昔のハイパーインフレを経験している名残りか、貯蓄の習慣がない。ルーラ政権は連立政権を組んでも国会の審議通過は困難で行政改革や税制改革は難しい。また折角成立した労働法改正はルーラ政権で見直しの動きがあるが、阻止する必要があると説明した。

質疑応答では、日伯の自由貿易協定の締結の可能性。ブラジルの競争力を引き上げるために日本からの中小企業誘致、税制の簡素化、経済特区、ビザフリー。来年のブラジル経済予想。ブラジルの森林保護法のアピールの仕方。日本とのカーボン取引。PT政権下では反日的な対応が多かったが、新政権の対日政策。新政権による労働法改正の可能性。最高裁判所メンバーのすげ替えの可能性。統一地方選挙での日系議員のプレゼンスの低さなどが挙げられた。

講演者:西森ルイス連邦下院議員(プロフィール)
連邦下院議員、社会民主党 PSD-Partido Social Democrático
政治歴:           ブラジル連邦下院議員(2011~)、パラナ州議会議員(2003~)
社会活動:        パラナ日伯商工会議所理事、日本移民110周年記念式典会長(2018)、他
公式使節団による訪日: ブラジル国会議会日伯経済外交使節団団長(2011~2019年実施)、大統領一行と大阪G-20サミットに出席(2019)、他

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