ブラジルはグリーン水素プロジェクト投資向け資金調達の選択肢拡大(2022年11月30日付けヴァロール紙)

ブラジルは、グリーン水素のブラジル国内市場供給と輸出促進を目的に、持続可能な燃料の研究と生産を支援するプログラムでグリーン水素プロジェクトの資金調達オプションを拡大しています。

グリーン水素とは、水を電気分解し、水素と酸素に還元することで生産される水素。この水素を利用し、酸素を大気中に放出することで、環境への悪影響を与えずに水素を利用することが可能。電気分解を実現するためには電力が必要であり、グリーン水素を作るためのプロセスは、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを利用することで副産物としての二酸化炭素を排出させることなく、水素を製造することができる。

社会経済開発銀行 (BNDES) は、中小規模のグリーン水素産業プラント設置向けに総額3 億レアルを提供しているが、銀行スプレッドの免除の上に、インフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)相当の金利での有利な融資条件となっている。

クレジット条件は一般金融市場の条件よりもはるかに有利である。なぜなら、与信枠には、資金調達額の 50% 若しくは8,000 万レアルまでのいずれか少ない方に融資条件が制限されている。

現時点では、3プロジェクトが2023 年の第 1 四半期までに承認される見通しの一方で、より多くの金額のプロジェクトにも資金が提供される可能性があるが、気候基金の適用制限で、金利はより高いとBNDESエネルギー部門責任者のDaniel Barreto 氏は説明している

通常、投資金額が大きいグリーン水素輸出プラントへの融資に対しても、ブラジル国内でのグリーン水素プロジェクトの加速化を図るために、融資の上限は設けていないとDaniel Daniel Barreto氏は説明している。

科学技術イノベーション省 (MCTI) は、今年の半ばに、グリーン水素を含む持続可能な燃料の研究開発を奨励するための 5,000 万レアルの公募を発表。資金提供は科学技術開発のための国家基金 (FNDCT)となっている。

今現在迄7プロジェクトが承認されており、融資金額は150 万レアルから 750 万レアルとなっている。融資希望企業は、持続可能な燃料生産プロセスを実証するパイロットプラントを提示する必要があるとコンサルタント会社Deloitte企業向けファイナンシャルアドバイザーのBarbara Miqueleto は説明している。

グリーン水素生産チェーンの革新的ソリューションの研究開発エコシステムを強化するように設計された GIZ Brasil による iH2Brasil プログラムでは、今年このセクターの8 社のスタートアップ企業を選定、2024 年までにさらに 16社のスタートアップ企業が選択される予定となっている。

新興スタートアップ企業の1つである南大河州の Pharma Energias Renováveis社は、ドイツ企業の Sunfarming社とパートナーシップを締結。Sunfarming社は、Vale Verde 地域でのグリーン水素由来のアンモニアの生産に8,000 万レアルの投資を見込んでおり、2024年下半期からの年間1,400トンの生産開始を見込んでいるとサンパウロ市のドイツ商工会議所のイノベーションおよび持続可能性担当ディレクターのBruno Vath Zarpellon 氏は説明している。

グリーン水素プロジェクトのもう 1 つの投資向けの資金源は、資本市場であり、ブラジルと海外の両方で「グリーンボンド」を発行しており、環境、社会、またはコーポレート ガバナンス (ESG) の実践に関連するプロジェクトに資金を提供するために使用できる手段となっている。

中央銀行レポートによると、ブラジルのグリーンボンド発行額は 2020 年~2021年の間に 200 億ドルで、この金額は2015 年~2019 年までの期間の 3 倍に相当。発行額はラテンアメリカ地域ではチリに次いで2位となっている。

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=51620