2022年のブラジルの貿易収支は、農畜産物の国際コモディティ価格上昇が牽引して2021年の614億ドルを僅かに上回る618億ドルに達し、過去最高となる記録を更新している。
昨年のブラジルの輸出金額は前年比19.1%増加の一方で、輸入金額は24.3%増加したが、鉱業部門の貿易黒字幅は前年比減少、また製造業部門の赤字は増加している。
ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(FGV/Ibre) の貿易指数(Icomex)調査によると、今年のブラジルの輸出金額及び輸入金額、貿易収支黒字はそれぞれ前年割れが予想されている。
2022 年の GDP伸び率は農畜産部門の国際コモディティ価格低下はGDP伸び率の足枷となっているが、農畜産部門の貿易収支は前年の465億ドルから658億ドルに増加している。また昨年の鉱業部門の貿易収支黒字は前年の630億ドルから455億ドルと約180億ドル減少を記録している。
昨年の製造業部門の輸出シェアは全体の55.7%を占めた一方で、鉱業部門は22.8%、農畜産部門は21.3%を占めている。また昨年の製造業部門の輸出金額シェアは全体の25.2%、鉱業部門4.7%、製造業部門は25.2%を占めている。
昨年の農畜産部門の国際コモディティ価格は34.0%増加、輸出量は僅か2.6%増加、前記同様に製造業部門は15.7%増加、8.0%増加、鉱業部門はマイナス0.4%、マイナス3.5%であった。
昨年のブラジルの輸出を牽引したのは大豆、続いて原油、鉄鉱石であったが、鉄鉱石輸出は輸出量並びに輸出金額ともにマイナス35.3%を記録していた。昨年はロシアによるウクライナ侵攻、気候変動問題に関連する農産物供給問題による農産物の価格が上昇、鉱業部門では、世界的な鉄鉱石需要の不振を受けて価格と輸出量が後退。 製造業部門の貿易赤字は、2009 年以降継続している。
2023年の世界経済は前年を下回る予想で、ブラジルのGDP伸び率は1.0%以下が予想されており、輸出及び輸入ともに前年割れが予想されている。
今年のブラジルの農産物輸出は、中国向けに左右されるが、中国のCOVID-19ゼロ政策の終焉で、今年の中国のGDP伸び率は5.0%前後が予想されている。