格付け機関は企業の格付け見直しを加速(2023年3月8日付けヴァロール紙)

今年初め僅か 2 か月で、停滞するブラジル国内の経済活動、高金利、金融市場における流動性の逼迫という致命的な組み合わせに加えて、小売大手のロージャス・アメリカーナ社によって引き起こされた不正会計発覚危機の影響で、企業の信用リスクを測定する格付け機関では、格付け見直しを加速させている。

ムーディーズ(Moody’s Corporation)、スタンダード&プアーズ(Standard & Poor’s)、フィッチレーティングスリミテッド(Fitch Ratings Limited)の3大格付け会社の一つであるフィッチ社は、今年既に昨年と同数に相当する上場企業の格付けを 9 回引き下げている。 ムーディーズでは、昨年の格付けの引下げ企業2 社に対して、今年初め僅か2か月間に既に4 社の格付けが引き下げている。

ロージャス・アメリカーナ社によって引き起こされた不正会計発覚で、今年初めから高いレバレッジに圧迫された企業の支払条件が急速に悪化している様子で、債務の繰り越しが困難なため、状況はさらに悪化し、短期満期の企業の首を絞めている。

ロージャス・アメリカーナ社は、今年1 月に不正会計発覚で会計上の赤字が表面化した後、S&P を含む 3 つの主要なリスク評価機関から格下げに見舞われており、企業の存続危機が表面化している。

今年はより堅調な経済活動は予見されなかったが、クレジット市場の流動性危機により、ブラジル企業の財務健全性に黄信号が灯ったとフィッチ・レーティングス社法人担当エグゼクティブ・ディレクターのリカルド・カルバーリョ氏は指摘している。

フィッチは、COVID-19パンデミックが始まった 2020 年は経済活動への強い影響と多くの不確実性により、9 社の格下げを余儀なくされた。 今年は高金利や先行き不透明な経済活動などで企業の収益増加はあまり見込めないが、問題は、ロージャス・アメリカーナ社の不正会計発覚で、一晩で企業が負債の借り換えをする能力がなくなったこととカルバーリョ氏は指摘している。

ロージャス・アメリカーナ社の不正会計発覚の影響で、信用不足のシナリオがいつまで続くか不透明となっており、より多くの企業が会社更生法に基づく裁判手続きに入ることが予測されている。これは、流動性の供給がほとんどないため、困難な状況にある企業は現金の迅速な保護を求める必要がある。

債権者からの負債返済圧力と格下げを受けて、Azul 社と Gol社 の航空会社は、債務を軽減するための措置を発表。 Azul社は航空機リースの義務を再交渉することに成功し、Gol社はAbra保有を完了したために、バランスシートが改善している。

 

2023年1月~2月にかけて格付け引き下げられた企業及びランク付け

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