海外投資家のサンパウロ株式市場からの資金逃避が加速(2023年3月29日付けヴァロール紙)

米国の銀行の倒産やブラジル国内ではルーラ新政権の舵取りの不透明感などの要因で、今年1月迄株式市場を牽引していた海外投資家は、今年2月からサンパウロ証券取引所B3からの資金逃避が加速してきている。

今年2月の海外投資家によるB3からの資金逃避は、昨年9月以降では初めて投資額を上回り、今年3月の資金逃避は2月を大幅に加速している。

B3の発表によると、今年3月1日~24日迄のB3からの資金逃避総額は、2月の16億8,000万レアルの2倍以上に相当する35億1,000万レアルに達しており、資金逃避が加速してきている。

2022年3月の海外投資家のB3への投資総額は、引揚げ総額を213億6,000万レアル上回っていた。また昨年初め3か月間の投資総額は、引き揚げ総額を653億3,000万レアル上回っていた。

一方今年初め3か月間の海外投資家のB3への投資総額は、引上げ総額を73億6,000万レアル上回っているが、昨年同期の653億3,000万レアルとは比較にならない程少ない。

今年、海外のテクノロジーセクターは好調の一方で、コモディティおよびバリュー企業のパフォーマンスは低調に推移した要因で、海外投資家のB3からの投資引揚げが加速しているとAshmore社調査部門責任者の Gustavo Medeiros氏は指摘している。

主にテクノロジー部門の企業によって形成される米国のナスダック指数が 今年現在まで 11.94% 上昇する一方で、サンパウロ平均株価指数(Ibovespa)は、7.79% 下落していると Gustavo Medeiros氏は指摘している。

米連邦準備制度理事会 (FRB) をはじめとする各国の中央銀行による利上げが行われる中で、年初から続いていた世界的なリスク回避の動きは、ここ数週間、米国のSilicon Valley Bank 及びSignature Bankの倒産、クレディ・スイス銀行の売却で最高潮に達した国際金融の混乱が海外投資家によるB3からの資金逃避の背景となっている。

J.P. モーガンのラテンアメリカ株式市場ストラテジストのEmy Shayo Cherman,氏は、米国で信用懸念が表面化し始めて以来、過去2週間に亘って新興国市場への資金流入がマイナスになっていると指摘している。

2022年2月~2023年3月迄の海外投資家によるサンパウロ証券取引所の投資金の増減

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