2023年第1四半期にプライベート・エクイティによる投資が19年以降で最低に

TTRデータ(TTR Data)との提携を通じてブラジル・プライベート・エクイティ&ベンチャー・キャピタル協会(Abvcap)がまとめたデータによると、2023年第1四半期にプライベート・エクイティ・ファンドによる投資が、2019年以降で最低水準にまで低下した。この期間、17社に対して総額6億レアルの投資が行われた。この金額は、2022年第4四半期との比較では92%の減少、前年同期との比較でも87%の減少となる。

プライベート・エクイティによる年初の主な投資には、ウォーバーグ・ピンカスによるテクノロジー会社スキャンテックに対する2億0,800万レアルの投資や、23Sによるコンソーシアムのアデミコンへの3億レアルの投資がある。2022年の場合、プライベート・エクイティによる投資は189億8,000万レアル、2021年も158億1,000万レアルを記録していた。

Abvcapによると、スタートアップに照準を合わせたベンチャーキャピタル・ファンドによる投資は第1四半期に14億2,000万レアルで、前期から42%減少した。スタートアップに投資する成熟企業のファンドで構成される、いわゆるコーポレート・ベンチャーキャピタルも第1四半期には70%減の1億8,000万レアルにとどまり、2021年の年明け以降で最低を記録した。

投資額が大幅に減少した背景についてAbvcapのピエロ・ミナルディ会長は、国内環境だけでなく国外環境でも、とりわけ高金利が企業価値を棄損するなどボラティリティーの高い状況があったと指摘。「『バリュエーション(企業価値評価)』はまだ完全に修正が終わっていないが、現時点で進められている交渉が下半期には数字として表れるはずだ」という。

さらに同会長は、業界では多くの交渉が進められていることも明らかにした。その上で、国内でより多くの資産を持つ主要なファンドが資金を調達しており、いつでも買収に動き出せる状態だと強調した。

スペクトラの経営パートナー、レナット・アビサムラ氏は、高金利が企業のキャッシュフローを悪化させており、一部の企業では新たな経営パートナーが参画することへの抵抗感にも変化が生じ始めていると指摘する。「資本を必要とする企業は、これまで以上に積極的になり始めている」という。取引に関心を持つ企業が増えていることで環境は投資にとってより有利になり始めており、その結果、今後は発表が増加すると同氏は受け止めている。

ウォーバーグ・ピンカスのブラジル事業責任者、エンリッケ・ムラモト氏は、年初にスキャンテックを買収した後も引き続き市場で機会をうかがっているとコメントした。「証券取引所に上場している成熟した企業や非公開企業に注目しているが、その視線の中心は、より大きな成長が見込まれるテクノロジー企業である」という。

またあるプライベート・エクイティの役員は匿名を条件に、年明けにはより活発に取引が行われると期待されたが、市場のムードに水を差すような新政権の態度が投資判断にブレーキをかけ、さらにブラジルへの参入を分析していた外資系ファンドを追い払う形になったとコメントした。その上で、「高金利に我々が恐れをなしているのではない」と付け加えた。

この人物はさらに、アメリカーナスの不正会計問題が1月早々に発覚したことも、とりわけ上場企業関連でファンドによる投資にブレーキをかけたという。「この問題は、上場企業との取引やデューデリジェンスなどを複雑なものにした。その影響は非常に大きかった」と指摘した。(2023年5月16日付けバロール紙)

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