法人と個人を対象に販売を展開するアタカレージョ(小売兼業卸売倉庫店)が2015年のブーム以降で最も厳しい状況に直面している。その問題の一部は、業界の黄金期を支えた新規出店や業態転換による急速な店舗数の拡大である。記録的な店舗の買収が進められた結果、アタカレージョ自身の店舗間での客の取り合いが発生した外、特定の食料品でデフレが発生していることでアナリストらはレポートの中でそのリスクについて警鐘を鳴らしている。
NIQ Ebit(旧NielsenIQ:ニールセンIQ)が調査を開始して以降で初めて、サンパウロ大都市圏市場では既存店(1年以上前から営業している店舗)の売上が落ち込んだ。4月の月初から5月7日までで見ると、この落ち込みは前年同期比-4.8%、さらに年初から5月7日までの期間を見ても前年同期比-1.5%を記録した。
リオデジャネイロ大都市圏市場では、同様に4月の月初から5月7日までの期間に前年同期比-5%を記録。年初から5月7日まででは前年同期比-0.4%を記録した。また全国的に見ると、年初から5月7日までの期間の既存店の売上は前年同期比+3.9%で、4月の月初から5月7日を見るとゼロ成長だった。
この結果は、1年前にスーパーマーケット/ハイパーマーケットのエストラ(Extra)の70店舗をアタカレージョのアサイー(Assaí)に転換したことや、2021年にマクロ(Makro)の28店舗の転換、2022年と2023年にビッグ(Big)の27店舗をアタカドン(Atacadão)に転換したことが直接的に影響したものである。全体では、2023年第1四半期(1―3月期)に前年同期と比較して新たに400店舗のアタカレージョ店舗がオープン(新規出店及び既存店の業態転換を含む)している。
NIQ Ebitが収集したデータによると、新規出店店舗においても、市場競争の影響を受けていることが分かる。大手チェーンは、現状がバランスを欠いていることを認めつつ、今後、この状態が正常化すると予測している。アサイーのベルミロ・ゴメス(Belmiro Gomes)CEOは、「業界内と店舗間で共食いが発生している」と認めた。
こうした状態は、2023年の年明け以降の総売上(既存店及び新規店)にも、多かれ少なかれ影響を与えている。
それだけでなく、インフレの減速がこれらのチェーンの収益にも打撃を与えている。農産物生産者と卸売会社の販売価格を計測する総合卸売物価指数(IPA-M:前月21日から当該月20日を計測)は、2023年4月までの12カ月間で-4.53%を記録した。アタカレージョでは、主力商品のデフレは12カ月でこれを上回る-7%を記録したと推算されている。単価の落ち込みを補完する販売量が回復しない中、これらの企業の名目収入が勢いを失っている格好だ。
業界のある役員は、「10%から12%値下がりしている商品もあり、週末には行列も発生するが、この値下がりを補うだけの販売量がない。アタカレージョにおいてもトレードダウン(より安い商品を買おうとする消費者の動向)が発生しているからだ。アタカレージョにおいても消費者は、購入量を縮小させる傾向にある」という。(2023年5月18日付けバロール紙)