FGVの2023年第1四半期のICEが58.8ポイントに急落(2023年5月24日付けバロール紙)

ブラジルの経済政策に対する市場の信頼感が不足しているのに加えて、財政問題に対する懸念から、2023年第2四半期(4―6月期)の経営者信頼感指数(ICE)が大きく下落した。計測したゼツリオ・バルガス財団(FGV)によると第2四半期のICEは58.8ポイント(100ポイント以上がポジティブな認識)で、第1四半期の73.5ポイントから大きく落ち込んだだけでなく、2022年第3四半期に記録した54.5ポイント以来の低水準となった。

 

FGVの研究者、リラ・ヴァルス氏は、「ICEを大きく押し下げた原因は、現在の状況に関連したブラジルの経済情勢だ」という。

 

ICEを構成する2つの指標の内、期待感指数(IE)は前期の76.5ポイントから92.9ポイントに上昇した。しかしながら現況指数(ISA)は、第1四半期の70.6ポイントから第2四半期は28.6ポイントへ大幅な落ち込みとなった。

 

リラ氏は、ICEを計測する期間中、新しい財政の枠組みに関する様々な議論があったことを指摘した。新財政基本規定の骨子は5月23日夜、下院で可決した。その上でリラ氏は、マクロ経済に関連する他の要因について、大幅に悪化してはいないと指摘した。政策金利は引き続き高率ではあるがインフレは減速、さらに市場は第1四半期の国内総生産(GDP)に対する見通しを上方修正している。

 

しかしながら経済政策の推進と同様に政局運営も金融市場の懸念材料になっており、ICEの悪化を後押しした。「ラテンアメリカを対象にした調査では、各国が直面している3つの大きな課題について質問した。ブラジルの場合、調査対象者の64.3%が経済政策に対する信頼の欠如を指摘、3大課題のトップに位置付けられた」という。残りの2つは、35.7%が指摘した不十分なインフラと所得格差の拡大、28.6%が指摘したのが国際的な競争力不足だった。

 

ただし、新財政基本規定の骨子を下院が可決したことでICEが改善するかという問題にはリラ氏は、慎重な見方を示した。「その通りとは言えない」と同氏はコメント。さらに、現政権の政局運営能力も依然としてアナリストらの疑念のもととなっており、これが経済環境の見通しに悪影響を与えていると同氏は指摘した。

 

「これから省庁再編が行われる。現在、政局運営は複雑になっていくと思われる。まだ極めて不透明というのが現状だ」と同氏はコメント、ICEの今後の予測について言及を避けた。(

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