ブラジル地理統計院(IBGE)が2023年4月のPIMを前月比-0.6%と発表(2023年6月2日付けバロール紙)

5月25日に連邦政府が自動車工業の振興策を発表し、経済活動の原動力として業界を再び位置付けるというものだが、2023年の工業生産に対して予想されている方向を切り替えることにはならないと見られる。4月に工業の物理生産量は市場の予想を上回る落ち込みとなり、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが発生する以前の水準を2%下回る2023年の工業生産は、年末まで横ばいで推移していくと見られる。

 

ブラジル地理統計院(IBGE)がこの日発表した4月の月例工業物理生産量調査(PIM-PF)は、前月比-0.6%。3月は、前月比+1.0%だった(今回の発表に合わせて当初の+1.1%から訂正)。4月を期末とする浮動四半期(2―4月期)で見ると、その前の期と比較して+0.1%となり、事実上の横ばいとなった。2022年4月と比較した場合、工業生産は2.7%減少した。

 

それほど大きな落ち込みではなかったものの、4月の生産量の減少についてゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の研究員、ステファノ・パシーニ氏は、「重要な落ち込み」と位置付けた。同氏は、2022年第4四半期(10―12月期)に生産を拡大させた食品業界が4カ月連続で生産を縮小していることに言及した。

 

さらに同氏は、4月の自動車業界の数字についても、全国自動車工業会(Anfavea)がこれ以前に4月の自動車製造台数を-3.9%と発表していたことを考えれば驚くようなものではなかったと指摘した。PIM-PFでは、4月の自動車セグメントの生産量は、前月比-4.6%(季調済)だった。

 

同氏によると「この落ち込みは、割賦による購入と、非耐久財の消費を難しくする高金利と、この高金利が同様に投資への資金調達で経営者に二の足を踏ませるために機械設備の生産にブレーキが掛かるという、マクロ経済の状況を反映している」という。

 

パシーニ氏は、4月までに利用可能なIBGEのPIMのデータから、統計上の潜在成長率について2023年は横ばい、あるいは軽いマイナスで推移すると分析、直近の失われた生産を回復するのは難しいと指摘した。

 

連邦政府が発表した自動車業界振興策についてもパシーニ氏は、COVID-19のパンデミックが発生した時期には投入財の調達に関連して発生したボトルネックで消費にブレーキがかかり、現在では自動車の消費と所有の習慣が偶発的に変化していることへの理解という課題の発生している状況で消費が落ち込んでいる中、こうした問題に直面しているある業界で連邦政府は消費を過熱させようとしているという認識を示した。

 

パシーニ氏によると連邦政府の大衆車計画の効果のほどは不透明であり、工業部門に予想されている方向を変えるだけのものになるかは分からないという。その上で影響は、未だ発表されていない大衆車計画の詳細に左右されるのではなく、その他の条件、例えば通貨政策の進捗といったものからも受けるのだと付け加えた。

 

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