サンパウロ州政府が6月6日、サンパウロ州水道会社(Sabesp)の民営化に関する計画の枠組みを決定した。サンパウロ州環境インフラ・ロジスティクス局のナタリア・レゼンデ局長によると、2024年7月までに民営化計画を完了する予定としている。
6日にサンパウロ州政府と民営化に向けた調査を担当する国際金融公社(IFC)の間で締結された日程に基づくと、民営化計画の策定は3段階に分けて進められる。
まず2023年7月中旬までの「フェーズ・ゼロ」では民営化により期待される効果、すなわち料金の値下がりや上下水道の普及に向けた投資の前倒しのような、前提となる効果に対する分析が行われる。
同様に、このフェーズでは売却モデルも決定する。現政権では当初から、エレトロブラスと同様のモデル、すなわち州政府の持ち株を希釈する形で投資家を呼び込み、結果的に経営権を失う形での民営化を表明してきた。ただしレゼンデ局長は、最終的にどのような判断が下されるかについて言及を避けた。
これに続く「フェーズ1」では、2024年の年明けまでに事業構造の構築を行う。「この段階では、『バリュエーション(valuation:企業価値評価)』と事業性の検討、法律面からの検討、必要となる規制の策定、詳細な投資の計画といった作業を進める」。
州内各市との交渉も、このフェーズで集中的に進める。サンパウロ市を含む様々な市との契約でSabespが売却された場合に事業契約を破棄する条項が存在することを考慮して州政府は、Sabespが事業を展開するおよそ370市で、契約期間の延長や民営化に向けた承認の取り付けなど、契約の再交渉を進める。
この契約の再交渉は市長選の前に行われるため、複数のアナリストがこのプロセスが最も大きな困難に直面すると予想している。政党の方針や民営化への反射的な拒絶反応を示す有権者への配慮といった懸念がその背景にある。ただし一部のアナリストは、民営化によって確保される資金が現在の市政の成果とPRできることを考慮すると、むしろ追い風と受け止めている。
レゼンデ局長によると、「これまで多くの市と協議しており、州政府と歩調を合わせて民営化を推進するという方向にあると認識している。また協議の効率性を確保するため、交渉に関するガバナンスも確立させる方針だ」という。
これに続く「フェーズ2」が最終フェーズで、2024年の年初から7月中旬までを想定している。この段階では、意見招請と公聴会、投資家との協議を進めるロードショーが行われる予定。選択した民営化モデルに応じて、株式の売り出しまたは事業入札が実施される。
また比較的短期間で民営化を完了させることにレゼンデ局長は、実現可能な日程という見方を示した。「市場や銀行、ファンド、インフラ会社との協議は既に行われてきた。競って民営化に応募があるようにしたい」という。(2023年6月7日付けバロール紙)