今年上半期のセメント業界は低迷したが、トンネルの先に薄明かりが見える(2023年7月11日付けヴァロール紙)

全国セメント工業組合(SNIC)の発表によると、経済動向の指標の一つである2023年上半期のセメント販売は、前年同期比マイナス1,8%に相当する3,030万トンに留まった。

しかし今年5月からわずかながら回復基調に突入、6月のセメント販売は前年同月比1,3%増加の530万トンとトンネルの先に薄明かりが見える状況となってきている。

今年上半期のブラジル国内のセメント販売は、前年同期比マイナス1,8%に相当する3,030万トンで留まったが、唯一北東部地域のセメント販売は0,3%微増している。

今年5月及び6月のブラジル国内の47%のマーケットシェアを占める南東部地域のセメント販売は、前年同期比でプラスに転じており、回復基調に突入していると全国セメント工業組合(SNIC)のPaulo Camillo Penna会長は指摘している。

今年上半期の中西部地域のセメント販売は、農畜産物の国際コモディティ価格の減少に伴って前年同期比マイナス5%と地域別では最大の落込みを記録、北部地域はマイナス3,5%、南部地域はマイナス2,2%となっている。

今年のセメント販売は前年比±1%前後で推移するとPaulo Camillo Penna会長は説明、下半期の販売は年間売上の約 60%を占めて、主に 9 月~11 月の3カ月間の売上上昇で左右されると指摘している。

ルーラ新政権の新規経済成長加速プログラム(PAC)及び2019年~2022年のジャイール・ボルソナロ政権時に“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムに改名して大衆住宅建設を再度経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムの新たな限度額35万レアルと低所得層向けの金利引下げはセメント業界にとって朗報とPaulo Camillo Penna会長は説明している。

ブラジル国内のセメント消費の70%が不動産建設部門の売上によるもので、今年は依然としてSelic金利が高止まりしているためにセメント消費にブレーキをかけていると指摘している。

ルーラ政権が大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムで約束した2026年末までの200万戸の住宅建設には、約1,000万トンのセメント需要に相当するとPaulo Camillo Penna会長は胸算用している。

8月に予定されているブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) でのSelic金利の利下げ開始に伴い、年末には金利が1.25ポイントから1.5ポイントの低下予想も今後のセメント販売には好材料となっている。

景気回復で正規雇用が増加すると、労働者の実質氏賃金が上昇、 またインフレと金利の低下で、一般労働者は金融資産への投資ではなく、不動産の購入に戻るようになるかもしれないとPaulo Camillo Penna会長は期待している。

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