今年上半期のブラジルの粗鋼生産及び消費共に減少(2023年7月19日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼協会(IABr)の発表によると、2023年上半期のブラジル国内の粗鋼消費は前年同期比マイナス1.6%に相当する1,150万トンに留まり、また粗鋼消費はマイナス0.1%、今年1年間の粗鋼消費はマイナス2.6%の2,290万トンに下方修正されている。

また今年上半期のブラジル国内の粗鋼生産はマイナス8.9%に相当する1,597万トン、6月の鉄鋼メーカーの設備稼働率は前年同月比マイナス6.1%の62.7%まで落ち込んでおり、ブラジル国内の鉄鋼メーカーの粗鋼生産能力は5,100万トンを擁するにも拘らず、3,400万トンの生産に留まっているとブラジルArcelorMittal社のJefferson de Paula社長は指摘している。

今年上半期のブラジル国内の鉄鋼製品販売はマイナス5.7%の960万トン、圧延鋼販売はマイナス3.8%、棒鋼販売はマイナス8.0%とそれぞれ減少している。

今年上半期のブラジル国内の鉄鋼製品販売がマイナス5.7%の960万トンに留まっている要因として、消費の82.5%を担う主な粗鋼販売先の建設業部門や耐久消費財部門、自動車部門の消費が落ち込んでいるためとJefferson de Paula社長は指摘している。

ルーラ大統領は更新した大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムの暫定令MP発令で、政権終了する2026年迄の4年間に200万軒の大衆住宅建設及び100万人の新規雇用創出を謳っているが、この大衆住宅プログラムによる鉄鋼需要は今年下半期から効果が表れるとブラジル鉄鋼協会(IABr)のJefferson de Paula経営審議会会長は説明している。

今年6月初めに開始された連邦政府主導による大衆自動車販売促進プログラムによる鉄鋼メーカーの粗鋼販売は、トラックやバス、農業機械販売が低調に推移しているために、限定的と鉄鋼業界では見込んでいる。

今年上半期のブラジル鉄鋼メーカーの鉄鋼製品輸出はマイナス4.2%に対して、鉄鋼製品の輸入は43.2%と大幅な増加を記録している。

今年上半期の鉄鋼製品の輸入が43.2%と大幅な増加している要因として、レアル通貨に対するドル安の為替、過剰な世界的な粗鋼生産の拡大で過当競争になっているとJefferson de Paula経営審議会会長は説明している。

2023年のブラジル国内の見かけの粗鋼製品の消費量は2.6%減少す、粗鋼生産量は5%減少の3,238万トン予想、設備稼働率は6月に記録された値よりわずかに上昇し、63.6%となる見込みにも拘らず、2022年と比較すると3.3ポイント低下が予想されている。

今年のブラジル国内の粗鋼販売はマイナス6.0%の1,900万トンと年初予想の1.9%増加から大幅なマイナス予想に下方修正されている。また輸出はマイナス0.3%の1,190万トンと年初予想の2.5%増加から下方修正されている。

一方今年の粗鋼製品の輸入は25.6%増加の420万トンと年初予想の2.5%増加から大幅な輸入増加が予想されている。ブラジル鉄鋼協会(IABr)では現在上院議会で審議されている税制改革法案はブラジル産業界やサービス業界の進展に繋がると支援している。

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