Suzano及びKlabinはブラジル及び世界のパルプ原料不足予想(2023年8月24日付けヴァロール紙)

世界的な紙・パルプ会社のブラジル資本のスザノ製紙とクラビン製紙は、短期的にブラジル国内の新規パルプ生産向け原材料の木材不足を懸念しており、今後10年間で世界の主要なパルプ生産向け原材料の不足が憂慮されている。

短期的にはブラジル国内でのパルプ生産用木材供給不足が懸念されているが、中長期的には新規パルプ生産工場向けプロジェクトを賄える植林用地は充分確保できるとスザノ製紙のWalter Schalka社長は説明している。

パルプ生産向けのユーカリ材確保を巡る競争が激化している現状で、過去数年間の植林用の土地価格が急騰しているために、新規プロジェクトの収益性の低下が指摘されている。ユーカリ木材はパルプ生産の生産コストの 45% を占めている。

世界のパルプ生産向け木材不及び植林向け土地は不足している一方で、パルプ生産コストが世界の他の地域よりも低い南米地域の生産者にとっては有利な立場となっている。 南米は今後10年~20年の間に、パルプと紙生産では、世界市場を席捲するパルプ供給で優位に立つとクラビン製紙のCristiano Teixeira専務は説明している。

現在はユーカリ材並びに松材をパルプ生産の原材料として使用しているが、クラビン製紙では長繊維パルプ生産に替わる短繊維パルプ生産の増産のためには、短期間に松材植林地をユーカリ材の植林地に置き換える可能性をCristiano Teixeira専務は指摘している。

クラビン製紙では、すでにユーカリ繊維を100%使用した世界初のクラフトライナー紙(ユーカライナー)を開発している。

北半球にある針葉樹の成長は広葉樹よりも非常に遅いために生産性が非常に低いために、今後は紙・パルプ市場から撤退することが多くなると見込まれており、針葉樹の生産の一部はユーカリ材に、一部は松材に置き換えられるとCristiano Teixeira専務は付け加えた。

長繊維パルプから生産される、生理用ナプキンや紙おむつに使用されるフラッフパルプ事業は、クラビン製紙にとって非常に戦略的であり、将来的には間違いなく投資の焦点となる。 クラビン製紙は他のパルプ生産メーカーと同じ地域で事業を行っているが、サンタ・カタリーナ州とパラナ州は松材の植林に適しているために、ニッチな針葉樹製品が生産可能とCristiano Teixeira専務は説明している。

2023年にチリのMapa da AraucoパルププロジェクトとウルグアイのUPM工場が稼働開始したことで短繊維の供給量が増加し、パルプ価格の大幅な調整に貢献した。2024年にはスザノ製紙のセラードプロジェクトの操業開始で、パルプ価格に値下げ圧力がかかると予想されている。

短繊維パルプの需要は中国と米国では順調だが、欧州では順調にいっておらず、パルプメーカーの在庫削減と景気低迷の組み合わせが小規模な購入に反映されている。このシナリオは、欧州市場の価格が中国で実施されている価格を下回っていることに加え、地域に応じて来月まで有効な1トン当たり20ドルから50ドルへの値上げの最新発表につながっている。

また段ボール包装事業については、食品部門への高いエクスポージャーが回復力をもたらしているが、インフレによる収入への影響で、付加価値の低い製品への消費が悪化しているとCristiano Teixeira専務は説明している。

 

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