輸入鋼材急増で投資シナリオに向かい風(2023年9月26日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼協会(IABr)の発表によると、2023年のブラジル国内の粗鋼生産は前年比マイナス05%に相当する3,240万トンに留まるよ予想している。またブラジル国内の粗鋼販売はマイナス6%に相当する1,910万トンが見込まれている。

今年のブラジル国内の鉄鋼製品消費はマイナス2,6%に相当する2,290万トンが予想されている。

今年初め8か月間の累積粗鋼生産は前年同期比マイナス8,3%の2,130万トンにとどまり、鉄鋼メーカーの平均設備稼働率は約40%に留まると予想されている。

一方で、今年初め8か月間の累積輸入鉄鋼製品は49,5%増加の320万トンと急増しており、輸入鋼材のマーケットシェアが拡大してきている。

公正な競争慣行に導かれていない中国国有企業から輸入された鉄鋼製品がブラジル国内で氾濫してマーケットシェアを脅かしているArcelorMittal社のJefferson De Paula社長は警鐘を鳴らしている。

中国の鉄鋼メーカーは不振を極めている国内の建設業向け需要の減少を受けて、補助金付きで余剰生産分を海外市場に振り向けるだろうと指摘している。

ブラジルの2024年の鉄鋼生産は前年比3%程度の若干の回復を予想しているが、さらに堅調な成長が見込まれるのは2024年以降だとゲルダウ社のGustavo Werneck社長は指摘している。

ブラジル国内の鉄鋼製品の消費の落ち込み並びに輸入品急増は、まさに完璧な嵐と呼ぶにふさわしい状況であり、全世界が中国の鉄鋼製品の急増に対してセーフガードで防御しているが、輸入制限を課していないのはブラジルだけとブラジル鉄鋼協会(IABr)のMarco Polo de Mello Lopes会長は指摘している。

ブラジル鉄鋼メーカーの増産には、新たな財政枠組みや税制改革、金利の低下、大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラム、新たな成長加速プログラム(新PAC)の再開などの公共政策などで歯車が買い合いだすと大きな前進に繋がると指摘している。

ブラジル鉄鋼業界は 今年中に 25 億ドルの投資を計画しており、そのポートフォリオには 2024 年から 2027 年までに総額 95 億ドルのプロジェクトが含まれている。

これらの投資リソースは、鉄鋼メーカーの粗鋼生産能力の向上、生産プロセスの近代化、エフィシエンシー向上を目的としており、温室効果ガス排出量に直接影響を与える。

ブラジルの鉄鋼メーカーで最大の投資プログラムはアルセロールミタルによるもので、2022年から2027年までに総額250億レアルの投資が見込まれている。

この総額のうち重要な部分である114億レアルは、昨年、セアラ州にある年間生産が300万トン規模のCompanhia Siderúrgica do Pecém(CSP)の買収に充てられた。

アルセロールミタル社は平板鋼100万トン、棒鋼150万トンの生産能力を拡大する計画で、この増産拡張が完了すると、総生産能力は 1,760 万トンに達する。

 

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