ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2023年初め9か月間の累計貿易収支は、358億ドルの赤字を計上している。
2022年のブラジルの化学工業部門の貿易収支は640億ドルの赤字を計上、2021年の化学工業部門の貿易収支も462億ドルの赤字を計上している。
2023年の化学工業部門の貿易収支は、輸入量の継続的な増加の影響を受けて、過去2番目の貿易収支赤字に相当する480 億ドルが予想されている。今年初め9か月間の累積輸入総額は467億ドルに対して、累積輸出総額は僅か109億ドルに留まっている。
過去3カ月の化学製品の輸入量は500万トンを超えたが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、石油化学原料価格下落の恩恵を受けたアジアからの輸入が急増している。
今年初め9か月間の輸入化学製品のうちで、可塑剤は76.6%増加、熱可塑性樹脂は18%、基礎石油化学製品は12.3%、洗剤用化学中間体は6.7%それぞれ増加を記録している。
一方、ブラジルの化学製品輸出は年初から安定しており、月間平均売上高は13億ドル、出荷量は120万トンとなっている。
国際的な地政学的緊張の悪化で、人為的に競争力を維持したアジア諸国からの化学製品輸入の異常かつ激しい急増が根底にあると指摘しており、ロシアの石油とガスの主要輸出先は中国となっている。
メルコスール共通対外関税の移行的引き上げリストの実施を擁護している。これには、輸入量の60%以上増加で最も大きな被害を受けた化学製品が含まれており、価格引き下げ幅はさらに大きくなる。他の市場と比べて完全に異例な動きとなっているとブラジル化学工業協会(Abiquim)経済政略担当のFátima Giovanna Coviello Ferreira理事は説明している。