2023年上半期のブラジルの銀行システムの収益性は引き続き圧迫されていたが、第2四半期以降から改善の兆しが出てきているとブラジル中央銀行では評価している。
しかし、9日に発表された2023年上半期の金融安定報告書によると、リボ払いクレジットカードの利息制限に関する議論は、注意を払う必要があると指摘している。
今年上半期の銀行システムの収益性低下は、貸倒引当金を伴うコスト増加、営業収益の伸びの低下、管理費の圧迫など、前年同期に見られた動きの継続を反映していると報告されている。
一方、今年第 1 四半期と第 2 四半期を比較すると、収益性の改善要因として、主に貸倒引当金支出への圧力の低下、クレジット部門の収益性の改善及び比重の増加、資金調達支出の安定化が寄与している。
今年上半期のブラジルの銀行システムの純利益は、前年同期比3.0%増加の679億レアルを記録した一方で、6月末の過去12カ月間の累積純益は、前年同期比マイナス6.0%の1344億レアルに留まってる。
今年6月末の過去 12 か月の自己資本利益率 (利益率の指標である自己資本利益率 – ROE) は、前年同期比2.1%減少の 13.6% に留まった要因として、ROEがマイナスの企業数の増加や、システム上重要性の高い金融機関の収益性低下など、金融機関の業績に対する圧力が一層高まっている状況を反映している。
個人向けクレジットに関しては、支払い能力も圧迫されているにもかかわらず、最近の雇用の質の向上は今後数カ月間の改善を示しており、中小・小規模企業向けクレジットに関しては、短期的には反転の兆しはないと予想されている。
中央銀行では、銀行システムは予想される損失の水準に対して十分な引当金を備えているために、金融の安定に関連するリスクはないと評価している。