経済協力開発機構(OCDE) では、今年のブラジルのGDP伸び率は前回9月予想の3.2%増加から3.0%に下方修正、2024年は1.7%から1.8%に上方修正、2025年のGDP伸び率は前回同様2.0%に据置いている。
経済協力開発機構(OCDE)のJens Arnoldチーフは、ブラジル経済については楽観視していると説明、特に今年年初は特に好調であったと付け加えている。
しかし、毎月のブラジルの経済指標は、第 3 四半期の業績がそれほど好調ではないことを示唆しており、今後の予測が若干修正されている。これには 今年から翌年にかけての経済成長の一部も含まれており、言い換えれば、それは何よりもタイミングの見直しと指摘している。
ブラジルの経済活動の主な原動力は引き続き内需であり、金融情勢が逼迫しているにもかかわらず、ダイナミックな雇用の伸び、インフレの低下、低所得層向け補助金増加で、一般家庭の家計支出は引き続き堅調に推移と見込んでいる。
2024年の農産物生産の記録更新予想、Covid-19 パンデミック前の2020年2月の水準を依然として1.8%下回っているにも拘らず、今年8月の鉱工業部門生産は回復傾向を示しており、今年9月のサービス部門生産は前月比マイナス0.3%、8月はマイナス0.9%を記録したが、9月の失業率はサービス部門が牽引して2015年6月以来の低水準となる7.7%まで低下している。
また政策誘導金利Selic引下による金融政策の緩和により、民間投資は2024年を通じて若干回復すると予想されている。一次産品価格は下落しているが、農産物は引き続き輸出拡大を牽引すると予想している。
今年のインフレ指数は4.5%まで低下、2024年は3.2%、2025年のインフレ指数は3.0%、2024年からのインフレ指数は目標範囲と一致する可能性があり、インフレ率の低下は、金融政策の対応の前進とサプライチェーンの混乱の正常化の結果となる。
OECD報告書は、ブラジルの金融政策緩和は2023年8月に始まったが、実質金利は依然として高止まりしており、2024年から2025年にかけて継続的にSelic金利を引き下げる余地が残されているとし指摘しており、2024年末までに9.2%までさらなる金利引き下げを想定、 2025年下半期までに7.8%まで下がると予想している。
財政政策は依然として拡張的だが、2024年には新たな財政枠組みで求められる財政プライマリー収支黒字目標のGDP比1%に達するまで段階的に健全化すると予想している。
ルーラ政権では2024年の歳入総額はGDP比1.5%に対して、歳出総額をGDP比1.0%に抑え込む目標を立てている。
今年末までの税制改革の導入と競争の改善が経済成長を押し上げる要因となり、連邦政府が消費税に加えて、所得税を改革し、税制の累進性を改善する余地があると考えてられている。
個人の医療費や教育費に対する現在の個人所得税控除には、分配に逆進的な影響があることに注意しを払う必要があり、ブラジル人の90%が所得税を支払う限度額を下回る収入しかなく、民間の医療沽券プラン加盟を計画しているブラジル人は僅か25%だけに留まっており、人口の大多数は公的医療制度に依存している。
経済協力開発機構(OCDE)は、温室効果ガス総排出量の主な原因として森林破壊を改めて強調しており、熱帯雨林違法伐採と失くすためには、森林法を含む環境保護法の厳格な適用が不可欠であると指摘している。
ブラジルにおける温室効果ガスの直接排出源としては、農業部門が 2 番目に大きいことに注意を払う必要があり、低炭素化実践に向けた農業クレジットをより適切にターゲット化することは、森林破壊と闘い、二酸化炭素排出量を削減する上で効果的であると指摘している。