中国はブラジルを追い越してラテンアメリカ地域で自動車販売トップ(2023年12月4日付けヴァロール紙)

10年前までは、ブラジル国内の自動車メーカーはブラジル国内市場の需要がだけで充分に利益を出しており、自動車を輸出するのに多大な努力は必要なかった。ブラジル製自動車は近隣諸国の需要が保証され、それを補完する役割を果たしていた。

しかし過去10年以降は、ブラジルの国内市場は大幅に縮小し、必要な生産能力を満たすには不十分になってきている。さらに悪いことに、ブラジルはラテンアメリカ市場におけるリーダーシップを失い、昨年以来、中国はブラジルを追い抜き、ラテンアメリカへの最大の自動車輸出国となっている。

ラテンアメリカ地域における自動車輸入に占める中国のシェアは10年間で4.6%から21.2%に上昇した。一方、ブラジルは22.5%から19.4%に低下した。Penta-transactionとComtrade(国連)の2022年のデータではここ数カ月のブラジル輸出の連続減少から判断すると、今年状況が逆転することはほとんどないと予想されている。

全国自動車工業会(Anfavea)の発表によると、2023年のトラックやバスをふくむ新車輸出台数は、42万台に留まると予想している。

今年の新車輸出台数は前年比マイナス12.7%に留まると予想、パンデミックのピークだった2年間の大幅な減少を除けば、2015年の輸出量に戻っている。これはまた、自動車の海外販売のピーク時の58%に相当する。 2005年の新車輸出台数は72万4.100台に達していた。

アルゼンチン、チリ、コロンビア、パラグアイ、ペルー及び売り具合向けの米国およびカナダ製の新車輸出のマーケットシェアは17,9%とブラジルに近いが中国にマーケットシェアを奪われている。日本及び韓国製新車のマーケットシェアは12,8%まで減少している。

全国自動車工業会(Anfavea)では、ブラジル製新車輸出のトップは常にアルゼンチンであったが、今年7月はメキシコ向け新車輸出がトップとなっている。

アルゼンチン政府は外貨準備金の不足に加え、今年、メルコスールからの自動車を除外せずに輸入製品に7.5%の税を課したため、ブラジルとの二国間自動車協定に違反している。

アルゼンチンでは、国内で生産された自動車のみが価格統制プログラムの対象となったためにドル不足と相まって、ブラジル製新車売上の減少に繋がったとBright Consulting社のCassio Pagliarini氏は指摘している。

アルゼンチン政府が今年7月から、中国からの輸入品の代金支払いに中国通貨である人民元で行われることを認め始めた。

中国がブラジルを含む中南米でも自動車輸出を拡大している要因として電気自動車とハイブリッド車の両方の電動車をいち早く発売して果敢にマーケットシェア拡大を行っている。

過去 20 年間、ブラジルの自動車生産に占める輸出の割合は平均 25% ~ 28% の間で推移していたが、42万台出荷という予測が現実になれば、今年のシェアは過去10年間で最低となり、18%未満となる。

初めのグラフは2005年以降のブラジルのラテンアメリカ地域への新車輸出台数の推移。

2番目のグラフは2005年以降のブラジルの自動車貿易収支の推移

3番目のグラフは2013年及び2022年の各国のラテンアメリカ地域のマーケットシェア比較

4番目のグラフは2022年の主要各国の自動車生産台数

 

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