日伯法律委員会(岩尾 玄委員長)課税・通関ワーキンググループ(天野義仁グループ長)主催による「移転価格税制の基礎」セミナーは、2021年7月22日午前9時から10時まで講師にEY Brasil社の笹澤誠一氏を迎え、120人が参加して開催。ブラジルの移転価格税制は、OECDのガイドラインの規範に沿っておらず、二重価格税制になっているケースもあり、本社担当者の理解を得るのに苦労していると笹澤誠一氏は説明した。
初めに移転価格税制は、海外の関連企業との取引を通じた所得の海外移転防止の制度、所得配分の適正化のため、関連会社との取引に掛かる取引価格を独立企業間価格(ALP)で行われたとみなして所得計算すると説明した。
また意見価格税制のリスク例として、各国の税率が異なる場合を説明。また移転価格税制の特徴、BEPS 行動13 (国別報告書、マスターファイル、ローカルファイル)、BEPSプロジェクト、BEPS 最終報告書(15の行動計画)、BEPSへの実務対応、一般的な分析プロセス、OECDガイドラインとの主な相違点として独立起業価格の算定方法、PRL法やCPL法において、利益率の固定、リスク分析の不要、製品等の種類ごとに利益計算、事前確認制度の取扱い、国外関連者の広い定義範囲、対象外のロイヤリティ支払いについて説明。
輸入では、PIC(独立価格批法)並びにCPL(原価基準法)、PRL(再販売価格基準法)、セーフハーバーのそれぞれのディスアドバンテージ及びアドバンテージ、移転価格算定に必要な情報。特定の算定方法と運用では、利子およびコモディティ、サービス、Backto Back取引、輸入及び輸出取引の実務上の対応などについて説明した。
笹澤誠一氏は、最後にブラジルの移転価格税制の纏め、今後の見通しではOECD加盟に向けてのシナリオなど懇切丁寧な分かり易い講演に、天野グループ長は、丁寧なお礼を述べて講演会は終了した。