ブラジルの主要製造業の13部門のうち10部門は、COVID-19対応のワクチン接種率の上昇に伴って、既にCOVID-19パンデミック前の水準まで回復しており、特に今年上半期のセメント業界の生産は2019年同期比22.0%増加を記録している。
また今年上半期の紙・パルプ業界の生産は15.0%増加、プラスティック業界生産は7.9%増加、機械・装置部門の売上は27.6%と大幅増加を記録している。
今年上半期の粗鋼生産は4.0%増加、食品・飲料部門の売上は23.5%増加、電気電子部門生産は1.8%増加、化学部門は3.0%微増している。
今年上半期の家電販売は0.61%微増、繊維部門生産は0.71%微増した一方で、履物部門生産はマイナス14.5%、自動車部門生産はマイナス21.8%それぞれ二桁台の減少を記録、衣類部門生産はマイナス5.6%を記録している。
製造業部門関係者が最も憂慮しているのは、新型コロナウイルスの変異株パンデミックによる地方自治体などによる外出自粛や必需品以外の営業自粛などによる経済回復の足枷以外にも、半導体や電子部品の供給不足問題、旱魃による電力エネルギー問題、金利の上昇、高止まりする失業率、原材料費の高騰を挙げている。
また今年下半期の多くの製造業部門セクターはCOVID-19前の水準を上回る需要が期待されているが、特に電気電子部門などの耐久消費財部門生産の部品供給問題で生産調整を余儀なくされると予想されている。
現在の政策誘導金利は4.25%であるが、中銀では年末のSelic金利を6.75%と見込んでおり、金利の上昇に伴って製造業部門の投資が抑制される可能性をイタウー銀行エコノミストのPedro Renault氏は指摘している。
全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)エコノミストのFabio Bentes氏は、今年下半期は旱魃による電力エネルギー料金の値上げは一般消費者に価格転嫁されるために、消費の落込みの可能性を指摘している。
今年上半期の粗鋼生産は2019年同期比3.5%増加、年初の今年の粗鋼生産は前年比6.7%増加が予想されていたが、5月には11.0%増加に上方修正、現在は14.0%増加に相当する3580万トンに上方修正されている。
今年上半期の紙・パルプ生産は、食品部門のデリバリーやオンライン販売の大幅増加に伴って需要が大幅に増加した要因で、2019年同期比15.0%増加の199万トンに達している。