第2四半期の3大民間銀行の純益総額は、クレジットが牽引して170億レアルに達す(2021年8月4日付けエスタード紙)

今年第2四半期のブラジル民間銀行の大手3行であるブラデスコ銀行、イタウーウニバンコ銀行並びにサンタンデール銀行を合わせたの純益総額は、前年第2四半期の純益100億レアルを67.3%上回る170億レアルに達している。

今年第2四半期のブラジル民間銀行の大手3行の純益の大幅な増加要因として、クレジット部門の拡大、コントロールされている延滞率並びに国内経済の緩やかな回復が挙げられる。

一方マクロ経済シナリオの観点からみると、予想を上回るインフレ指数並びに突発的な経済活動の鈍化リスクを銀行経営陣は憂慮しているにも拘らず、COVID-19パンデミックの影響で、鈍化していたクレジット需要が依然として堅調に伸びている。

COVID-19パンデミックの影響で、地方自治体による外出自粛や必需品以外の営業活動自粛要請からパンデミック以前の通常の日常生活への緩やかな復帰並びにCOVID-19対応のワクチン接種の拡大が、第2四半期の純益増加の追い風となっている。

しかし今年第2四半期のブラジル民間銀行の大手3行の純益の大幅な増加要因としては、比較対象の昨年同四半期が、COVID-19パンデミックの影響で大手3行の純益の大幅減少していたことに加えて、クレジットの延滞率増加に備えるための貸倒引当金の大幅増加が指摘されている。

今では、COVID-19パンデミック時のクレジットの不渡りに備えるための貸倒引当金の削減が可能となる。ブラデスコ銀行並びにイタウー銀行の第2四半期のクレジット部門の90日以上の延滞率は、今年第1四半期並みに推移したが、サンタール銀行の延滞率は若干増加傾向となっている。

今年第2四半期のクレジット部門の延滞率は増加を見込んでいたが、COVID-19パンデミック以前の水準を下回っており、2022年は現在の水準で推移するとイタウー銀行のMilton Maluhy頭取は共同記者会見で説明している。

イタウー銀行の今年第2四半期のクレジット残高は、前年同期比12.0%増加の9,091億レアルを記録、今年の当行の純益増加を牽引すると予想、個人向けクレジット部門は22.3%増加、法人向けクレジット部門は9.3%増加を記録している。

前期同様にサンタンデール銀行のクレジット残高は、個人向けクレジット並びに中小企業向け法人クレジット部門が牽引して、前年同期比14.4%増加の5,103億1,400万レアルを記録している。

一方ブラデスコ銀行の第2四半期のクレジット残高は、前年同期比9.9%増加の7,265億レアルを記録したにも拘らず、他行の二桁台の伸び率を下回る一桁台の伸び率に留まっている。

個人向けクレジット部門の伸び率は、住宅ローン、クレジットカード部門並びに公務員並びに年金・恩給受給者向けの給与・年金口座連動型クレジット部門が牽引して、21.0%増加を記録している。

大手民間銀行は揃って銀行業務のエフィシエンシー向上や銀行業務のデジタルトランスフォーメーション化を進めており、イタウー銀行では銀行業務のデジタル化で1,200人の従業員を削減、サンタール銀行も1,620人の従業員削減を実施している。

銀行業界の取引のデジタル化やリモート業務の増加がインパクトを与え始めていると2022年に副頭取のMario Leão氏にバトンタッチするサンタンデール銀行のSergio Rial頭取は説明している。

大手民間銀行では、業務内容のデジタル化に反比例するように、銀行支店の閉鎖が加速化してきており、今年第2四半期のブラデスコ銀行及びサンタンデール銀行では、200支店を閉鎖したが、イタウー銀行では、先行して支店閉鎖を進めていた経緯があった。

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