メルセデスベンツは中国資本Great Wall社にサンパウロ州イラセマポリス工場を売却(2021年8月18日付けヴァロール紙)

中国最大の国産SUVメーカーである長城汽車(Great Wall Motor)は、敷地面積が120万平方メートルのサンパウロ州イラセマポリス市のメルセデスベンツ社の自動車工場を一括の生産設備や工場建物全ての居抜き物件として売買契約を結んだが、買収金額は発表されていない。

長城汽車は1984年創業、中国の最大のSUV生産企業に成長。中国だけに留まらず、オーストリア、ロシア並びにブルガリアなどでも車販売している。

中国の大手自動車メーカーの長城汽車は、「長城」並びに「HAVAL」二つのブランドを擁しており、自動車の設計開発、生産及び販売・サービスなど一連の業務を行っている。

香港市場に上場する長城汽車の株価は、過去1年間で約5倍に上昇。同社の時価総額は3110億香港ドル(約4兆3700億円)に達し、時価総額が490億ドルの米国のフォードに匹敵するレベルとなっている。

長城汽車は、ブラジルでどのブランドの自動車生産をするか明らかにしていないが、中国資本の自動車メーカーがブラジル国内で自動車を生産するのは、Chery社に次いで2番目の中国自動車メーカーとなる。

Chery社は、先週急死した実業家Carlos Alberto de Oliveira Andrade氏が率いるCAOAグループのゴイアス州アナポリス市並びにサンパウロ州ジャカレイ市で、Chery社とライセンス契約を結んで自動車を生産していた。

メルセデス・ベンツ社は、今後すべての新車生産を電気自動車またはハイブリッド車に切り替えるにも拘らず、イラセマポリス工場の製造ラインの車両生産システムが、電気自動車またはハイブリッド車生産に対応できないために、昨年12月にブラジルでの自動車生産を停止していた経緯があった。

イラセマポリス工場は、4年前に自動車生産の操業を開始、昨年12月の自動車生産の停止発表時の従業員は370人であったが、工場閉鎖に伴って希望退職制度を導入していた。

メルセデス・ベンツ社は、地方自治体の優遇税制による企業誘致合戦で、イラセマポリス工場での自動車生産向けに2億ユーロの投資を行ったが、高級車のコンペチターのBMW社並びにLand Rover社も地方自治体の優遇税制に乗っかってブラジルに進出していた経緯があった。

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