フォーラム委員会(森谷伸晃委員長)主催のオンラインセミナー「ポストコロナ・ブラジル経済見立て」は、2021年11月5日午前9時30分から10時30分まで120人以上が参加して開催した。
司会は森谷伸晃委員長が務め、初めに日本経済新聞社の外山尚之サンパウロ前支局長は、テーマ「南米ポピュリズムの現状と今後」について、サンパウロを拠点に中南米諸国を取材で駆け回った経験から民主主義とポピュリズムに関心があり、大衆迎合の復権の危うさを危惧していると前置きして、過去4年間で左派政権から右派政権への傾倒、中南米・カリブ諸国のGDP伸び率の推移、アルゼンチンの政党の支持率の推移、SMSによるエコーチェンバー現象の影響、スマホ情報の鵜呑みの危険性、チリの為替変動推移、ラテンアメリカ諸国の自国債務のGDP比の比較及び内容、過去40年間のラテンアメリカ諸国の社会不安インデックスの推移、ラテンアメリカ諸国の累積債務解消と政治の近代化、日本にとっては無視できない資源豊富なラテンアメリカ、日本とラテンアメリカ諸国との関係の見直しなどについて説明。質疑応答では、為替変動、日伯関係の今後などが挙げられた。
続いて時事通信社の市川亮太サンパウロ支局長は、テーマ「ボルソナロ氏に勝ち目はあるのか 再選戦略を論じる」に、1年後に迫った大統領選挙のルーラ元大統領の返り咲きの公算の有無、ブラジル大統領選挙の概要、現在予想されている大統領候補は13人も最終的には7,8人予想、暴言に近い発言の多いボルソナロ大統領を「ハマコー」の愛称で知られ、「国会(政界)の暴れん坊」の異名をもつブラジル版浜田幸一元衆議院議員に例えるも、30年以上の政治キャリアを持つも金銭スキャンダルは皆無で民主主義を継承する傾向。決戦投票の可能性、ボルソナロ候補の再選戦略では、エレトロブラスや郵便公社の民営化への筋道、税制にもメス、貧困層の支持を得るために「アウシリオ・ブラジル」によるバラマキや支持層の個人トラック運転手への負担軽減、命取りになる可能性のあるインフレ対策などについて説明。質疑応答では今後のブラジルの在宅勤務の傾向、ルーラ大統領候補の外交政策などが挙げられた。
PDFボルソナロ氏 再選戦略を論ずる 時事通信社の市川亮太サンパウロ支局長