第3四半期のGDP伸び率はマイナス0.1%でテクニカルリセッション入り(2021年12月2日のエスタード紙)

2020年第3四半期から9カ月連続で国内総生産は増加を継続していたが、今年第2四半期のGDP伸び率はマイナス0.4%、今年第3四半期は、マイナス0.1%と2四半期連続でマイナスを記録したために、テクニカルリセッション入りと判断されている。

しかし今年第3四半期のGDP伸び率は、前四半期比マイナス0.1%を記録したにも関わらず、Covid-19対応ワクチン接種の拡大に伴って、サービス部門の活性化に伴う雇用増加で、GDPの70%を占めるサービス部門のGDP伸び率は1.1%増加を記録している。

年央の旱魃による穀物生産へのダメージの影響で、第3四半期の農畜産部門は、前四半期比マイナス8.0%と大きな落ち込みを記録して、第3四半期のGDP伸び率の足枷となっている。

また第3四半期の鉱工業部門のGDP伸び率は、世界的な輸送機器向け半導体などの部品供給問題やコンテナ不足や海上輸送費の高騰などが足を引っ張って、前四半期比では同率となっている。

ワクチン接種の拡大による自粛緩和政策の導入に伴って、第3四半期の一般家庭消費の伸び率は前四半期比0.9%増加、美容院、映画館、バーやレストランでの消費が拡大してきている。

ワクチン接種の拡大に伴って、経済活動や雇用は徐々に回復してきている一方で、高騰するインフレによる実質賃金の目減りは、特に低所得者層の消費意欲を削ぐ原因となっている。

第3四半期の国内総固定資本形成(FBCF)伸び率は、連邦政府の財政悪化や来年の大統領選挙など不透明な見通しで投資意欲を削がれているためにマイナス0.1%を記録している。

9月のブロードキャストプロジェクションの調査では、上昇を続けるインフレ指数、中銀によるSelic金利の上方修正などの要因で、今年のGDP伸び率を4.8%、2022年のGDP伸び率を0.5%とそれぞれ下方修正を余儀なくされている。

与党は前政権の家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムに替わるブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向けの400レアルの財源確保のために、インフレ指数の計算方法の変更による歳出上限変更、司法の有罪判決から生じる連邦政府の支払いであるプレカトリオス向け緊急憲法改正案(PEC)による与野党の攻防などの影響で、サンパウロ平均株価の下落やレアル通貨に対するドル高の為替を引き起こしている。

2021年第3四半期のブラジルのGDP伸び率は前四半期比マイナス0.1%、農畜産部門はマイナス8.0%、鉱工業部門は0.0%、サービス部門は1.1%、FBCF部門はマイナス0.1%、一般家庭消費は0.9%増加、公共支出は0.8%増加を記録している。

前記同様に前年同四半期の比較では、4.0%増加、マイナス9.0%、1.3%増加、5.8%増加、18.8%増加、4.2%増加、3.5%増加、また過去12か月間の累計では、3.9%増加、0.2%増加、5.1%増加、3.3%増加、20.2%増加、2.1%増加、0.4%増加を記録している。

今年第3四半期のブラジルの国内総生産は2.2兆レアル、農畜産部門は1237億レアル、鉱工業部門は4554億レアル、サービス業部門は1.3兆レアル、FBCF部門は4305億レアル、一般消費部門は1.3兆レアル、連邦政府の公共支出は4062億レアルを記録している。

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=28539