緊迫したウクライナ情勢にも関わらず、なぜレアル高になる理由(2022年2月23日付けヴァロール紙)

ロシアがウクライナ東部の親ロシア派が事実上支配する地域の独立を一方的に承認し軍隊派遣の準備を整えていることに対して、米国をはじめとする各国は相次いで制裁措置を発表して、世界の金融市場のボラティリティが上昇している。

世界の金融市場のボラティリティ上昇時には、世界で最も安全な通貨の米国ドルが買われる傾向にあるにも関わらず、米国ドルに対するブラジルのレアル通貨は上昇の一途を続けている。

22日のレアル通貨に対するドルの為替は、ロシアとウクライナの戦争に発展する地政学的危機にも拘らず、前日比1.09%減少のR$5.0511と2021年7月1日以降では最高のレアル高の為替を記録している。

過去数週間に亘って、海外からブラジルの金融市場に大量の外貨流入が継続していることもドルに対するレアル高の為替になっている一因となっている。

今月2日、ブラジル中央銀行の通貨政策委員会(Copom) は、インフレ圧力の上昇に伴って政策誘導金利(Selic)を8回連続での引上げを余儀なくされ、現在のSelic金利9.25%を1.50%引上げて10.75%に決定している。

10.75%の政策誘導金利(Selic)は、2017年7月以降で4年半ぶりの二桁台のSelic金利となっており、今後も継続してSelic金利上昇が見込まれていることも海外からの投資流入に拍車をかけている。

またサンパウロ証券取引所に上場しているブラジル企業の株価は、海外市場と比較して割安になっていることも海外からブラジル株式市場に投資金流入が続いており、今年だけで既に550億ドル以上の海外資金流入を記録している。

ロシアとウクライナの紛争が激化すれば、海外投資家はロシアから引き揚げた資金をブラジルの金融市場に投資する可能性をSumauma Capital社のLucas Tambelliniパートナーは指摘している。

今年初めのレアル通貨に対するドルの為替はR$5.71とピークに達していたが、その後のレアル高の為替は金融市場関係者を驚かせているが、米国連邦準備制度理事会(FRB)による3月の利上げ開始示唆にも関わらず、更に上昇が予想されているSelic金利で、今後もレアル高の為替が継続する可能性をAZ Quest社のエコノミストのGustavo Menezes氏は指摘している。

今年初めからドルの為替はレアル通貨に対して9.39%下落、またメキシコペソに対しても0.95%安、南アフリカのランドに対しても5.45%安、コロンビアペソに対しても3.34%安、チリペソに対しても6.9%安を記録している。

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