「住宅新報社 月刊「不動産鑑定」2009年6月号・7月号掲載

2009年12月1日
株式会社緒方不動産鑑定事務所 大阪支所長
サンパウロ大学大学院工学研究科 不動産研究所 研究員

不動産鑑定士 秋山祐子
序文
企業活動のグローバル化、国際投資市場のボーダレス化に伴って、資本市場におけるインフラ整備が求められて久しい。会計基準は重要なインフラとして広く認識されているが、鑑定評価基準も同様である。
不動産は、所在する国や地域の自然的、社会的、経済的、行政的要因を受けてその価格が形成されるため、豊富な知識と経験を持つ専門家による評価が欠かせない。企業が活動を継続していく上で、不動産を売買する際や、所有不動産を担保にして融資を受ける場合、また、財務諸表作成時に不動産鑑定評価書が必要となる場合がある。そのほか、事業合併時の資産評価や、所有不動産を証券化する際にも不動産鑑定評価書が必要となる。ところが、日本とブラジルでは、不動産鑑定評価制度(鑑定士の資格等)も評価基準も異なる。鑑定評価書を見ても、内容を理解するにはそれなりの専門知識が必要となる。
2009年、住宅新報社の月刊誌「不動産鑑定」の6月号および7月号の2回にわたって「ブラジルにおける不動産鑑定評価」を掲載させて頂いた。雑誌「不動産鑑定」は、不動産鑑定士やアセット・ビジネスに携わる関わる方々を対象にした専門誌であるため、拙稿が一般の方々の眼に広く触れる機会はなかったと思われる。しかしながら、ブラジルの不動産鑑定評価制度およびその内容については、ブラジルに進出しておられる日本企業にとってお役に立つ情報であろうということで、今回、住宅新報社から転載許可も頂き、ブラジル日本商工会議所のサイトにてその抜粋をご参考資料として供することとする。

なお、日本の鑑定評価は、日々進化を続けてきている。その時々の社会的要請に応じて鑑定評価基準自体の改正が適時なされてきているし、評価に関するガイドライン(海外投資不動産鑑定評価ガイドラインや財務諸表のための価格調査に関するガイドライン等)も策定されている。また、国際評価基準(IVS)と日本の不動産鑑定評価基準に関する研究も社団法人 日本不動産鑑定協会の国際委員会にて現在進行中である。

また、原稿を書いた2009年春時点ではカバーされていなかったが、近時のブラジルの鑑定関係者からの情報によると、ブラジルにおいても、ブラジル技術基準協会(ABNT)は、ブラジルの資産評価基準NBR14653の総論部分である第1部(parte 1)を国際評価基準(IVS)と同等性を有する様に改定する方向とのことである。来年、2010年にNBR14653第1部の改定委員会を結成して改定作業に入り、改正案の作成、パブリックオピニオンの募集、最終決定投票等の所定の手続きを経て発効するまでに2年程度を見込んでいるとのことである。

「住宅新報社 月刊「不動産鑑定」2009年6月号掲載」

「住宅新報社 月刊「不動産鑑定」2009年月号掲載」

 

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