2000年下期業種別部会長懇談会-電気電子部会(レポート)

電気電子部会は次の4つの分会から構成されています。

第一分会「家電および耐久消費財」
(パナソニック・ド・ブラジル 喜多川雅彦)

第二分会「部品」
(TDK・ド・ブラジル 鈴木雅博)

第三分会「通信・電力・産業」
(Industrias Hitachi 出石峯敏)

第四分会「精密・事務機器・輸入販売」
(ミノルタ コピアドーラ・ド・アマゾナス 北野孝明)

( )内は分会長

本レポートは各分会の回顧と展望及び副題について報告します。

1.第一分会「家電および耐久消費財」

(1)00年上期の回顧

2000年に入り為替の安定、インフレの抑制、金利の低下など経済が安定に推移すると共に市場が回復してきた。

カラーTVは99年上期比30%増の220万台、オーディオは70%増の100万台と市場が回復してきた。ビデオデッキは99年上期比4%減の53万台と減少した。これはDVDが急速に伸び、ビデオデッキの分野と競合するためと判断している。

AV、家電の業界では、市場は99年に底を打ち上昇に転じたと判断している。99年上期は通貨の切り下げの影響で、1~4月は正常な販売活動が困難な状況にあったことから、00年上期は業績が大きく伸びている。

第一分会の各社の売上は昨年同期比で平均48%の増となった。

(2)00年下期の展望

金利が一層低下したことやこのまま政治、経済が安定に推移すれば、市場も堅調に回復するだろうと予測している。

下期の需要は99年下期比でTVは9%増の260万台、オーディオは5%増の130万台、ビデオデッキは10%減の53万台と予測している。第一分会の各社では、00年下期の売上を99年下期比で平均約10%の増を予測している。

2.第二分会「部品」

(1)00年上期の回顧

携帯電話関係の部品が昨年に引き続き大きく伸びた。携帯電話では、99年上期比3倍近くも生産をのばしたメーカーがあった。

経済の安定と共にAV、CATV、自動車関連の部品も比較的好調に伸びてきた。

第二分会各社の販売実績は99年上期比で平均58%の増となった。

(2)00年下期の展望

政治、経済の安定が続けば携帯電話は依然好調に推移し、AV家電や自動車関連もさらに回復するだろうと予測している。

一方で、携帯電話はヨーロッパ市場では在庫が溜まり始め、部品発注の取り消しも行われているとの情報もあり、今後の推移に注意する必要がでてきた。

第二分会各社の下期の平均売上は99年下期比18%増と予測している。

3.第三分会「通信・電力・産業」

(1)00年上期の回顧

通信関連では非常に大きい伸びとなった。この背景には民営化された電話会社は2001年末までに、それぞれの電話網整備の目標値を達成しなければならず、この期限があと1年半と迫ったためと思われる。

通信関連では97年のピークを上回る受注を抱え、設備の増強、同業他社の買収などにより生産増を図った。しかし、部品不足や通関ストで生産が追いつかず、売上が伸ばせなかった企業もあった。

電気関係では発電、送電は政府プロジェクトで予算面から停滞、変電、送電が比較的安定に成長した。

第三分会各社の売上は99年上期比で平均19%増となった。

(2)00年下期の展望

通信関連ではよほどの大きな変化がない限り、引き続き強い需要が続き、大きな伸びが期待できると予測している。

第三分会各社の下期売上は昨年同期比平均38%増と予測している。

4.第四分会「精密・事務機・輸入販売」

(1)00年上期の回顧

経済安定で市場が回復し、IT投資やオフィスオートメーション化が活性化してきた。

また工業ミシン業界でも業界の政府への働きかけが功を奏し、ミシンの輸入関税が引き下げられ市場が活発になった。しかも安いミシンより縫製品質を上げるために高級なミシンの引き合いが増えた。

第四分会の各社の売上は昨年同期比で平均36%増となっている。

(2)00年下期の展望

他の分会同様、下期は為替や金利に大きな変動がなければ、市場も堅調に推移すると予測している。

下期の各社の売上は昨年同期比で平均19%増と予測している。


5.アンケートの結果

「回顧と展望」をまとめるにあたり、各社にアンケートをお願いしている。この中で今までと大きく変化した点を報告する。

(1)販売構成比の中で輸入販売が増加した。
これまで現地生産品と完成輸入品の販売比率は安定していたが、00年上期は99年上期比で現地生産品が-15%、輸入品販売が+17%と変化した。原因としては新製品の切り替え(例えばフラットテレビなど)や客先納入品の変化などがあげられた。


6.「いま、対伯投資を伸張させるために何が必要か」

上記について討議を行った。要点を以下に記す。

(1)いわゆるブラジルコストといわれる税制と高い金利の中でメーカーとしては事業をやれる環境にない。金利16%ではこつこつと溜めた利益や原価低減が吹き飛ぶ。

現状が装置産業優遇の政策にある所から素材産業、部品産業としては事業を行う環境にないといえる。

(2)ブラジルで無借金で事業を行うには、日本の本社からの資本の増強が必要であるが、日本に今そのような体力がない。

(3)新製品、新技術の進展でDVDさらにはデジタル放送に代表されるデジタル化など新しい投資の機会が増える。

(4)複写機業界では米国X社イコール法律といわれるぐらいX社が強い。アメリカでのレンタルバックを再生して旧式の機械を安くブラジルでレンタルしている。日本の最新式の機械は高いと敬遠される。複写機業界では事業の拡大が非常に困難な状況にある。

ブラジルコストが常識範囲内になり、平等に競争できる環境にならなければ投資の伸張につながらないのではないか。

以上

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=30751