2001年上期業種別部会長懇談会-食品部会(レポート)

I.2000年の回顧

前 年(99年)からの厳しさを引きずる事が懸念された中、結果的にはブラジル経済の強さを示した1年といえよう。経済成長率、インフレ等の指標もほぼ年初の 見込み通り推移した。年央から耐久消費財の販売が好調となり、その後、我々食品業界も回復基調に入り、やや明るい状態で幕を閉じた格好となった。食品業界 全体での成長率は99年度比で2%程度に留まったものの、総売上額で1千億R$の大台に乗せた。

また、業界における再編も継続しており、00年はとくに米国BEST FOODS社のARISCO社買収(その後UNILEVERにBEST・ FOODS社が買収される)、DANONE社のPAULISTA社買収等々の大型買収が目立った。更に大手量販店による流通業界再編の動きも衰えず、メー カーにとってのコストアップ要因は増えるばかりである。

 

II.2001年の展望 ‐業界別動向‐

1.農産・畜産

ブロイラー

00年度の国内生産は590万トンと8%増となった。増産要因は開発の進む北部での生産増と狂牛病騒動の欧州向け輸出の増加。ただし、日本向け輸出は数 量は伸びず、価格は25%の下落となった。01年度も引き続き好調が予想され、600万トンの大台乗せが確実視されている。

大豆

00年度の生産は、中国からの大量買い付け、やはり欧州狂牛病騒動などの要因により、3300万トンと記録的な生産となった。  01年度も中国の業者による買いつけが継続することから3500万トン~3600万トンと拡大基調が維持されよう。

オレンジ

00/01クロップの生産量は120万トンであったが、輸出量は124万トンと過去20年の中での新記録となった。一方で価格の下落が深刻となり、12月には750US$/トン(FOB Santos)と4月に比べ4割以上の安値となった。

01/02は若干の減産予想の中、価格は2月に底を打ち、5月頃までに1年前の1.300US$程度までの回復が望まれる。

 

砂糖

00年度生産量は、00/01クロップで1550万トンと20%のダウンとなる見込み。輸出も504万トンと60%の大幅な減少となった。 一方で国内供給不足感から価格が急騰し、それが輸出意欲を削ぎ、結果として輸出減を更に加速した。

コーヒー

ブラジルの7月の降霜により価格面でいったん値を戻したものの、世界的な豊作予想を背景にNY定期市場価格は年初の120¢から年末には70¢まで急落した。コーヒー生産国連盟(ACPC)は、在庫留保による価格浮揚策に合意した。

しかし、いち早く6月より留保を開始したブラジルは、国内価格の相対高により国際競争力を失い、他の生産国にシェアを奪われる格好となった。

01年はブラジル及び中南米諸国の減産等により、価格は一時的には回復する可能性もあるが、一方でACPCの在庫留保策は各国の足並みが揃わず、その効果は今のところ出ていない。策の継続はブラジルの輸出低迷を意味し、相場を取るか数量を稼ぐかの岐路に立っている。

 

2.外食産業

00年度のインフレが比較的低く押さえられたことにより、消費の増加を促す結果となった。99年度までと異なり、明らかにレジャーや外食をする機会が増えている。また、サンパウロではブラジル人の「酒ブーム」が加速した。

 

3.加工食品

乳酸菌飲料

新製品投入を行った豆乳が前年比で大きく伸びたほかは、競合他社の安値販売攻勢にあい、主力の乳酸菌飲料は前年実績を割り込む厳しい結果となった。

収益面では、大手量販店の寡占化進展の中で値引き要求が厳しくなり、収益率の低下を余儀なくされると共に、今後の大きな懸念材料である。

01年度は、4~5%の成長と明るい見通しの中、品質のグレードアップや新製品の投入を積極的に行い、前年比10%以上を目標とする。同時に経費削減にも取り組まざるを得ない状況である。

 

即席麺

上半期は99年度に引き続き、厳しい状況となったものの、年央、とくに10月以降、消費環境が好転し、00年度の即席麺市場は前年比7%程度の伸びとなり、99年度に久しぶりに市場が縮小した流れを食い止めた。

この分野でも大手量販店の寡占化は、販売・収益面でメーカー負担を大きくしており、今後の動向からは目を離せない。さらに大手量販店では、プライベートブランドを廉価で積極的に販売しており、NBメーカーのシェア-を奪う傾向にある。

01年度は、明るい経済見通しの中、再び安定した成長軌道に乗ることが期待される。シエアー維持のためには、市場の活性化と新製品の継続投入が不可避である。

調味料

00年度は、3月までは前年比ベース(数量ベース)で推移したものの、それ以降はプラスに転じ、最終的には前年をわずかに上回った(101%、70,300トン)。

この業界でも新製品等を確実に投入した企業が大きな成長を達成した。

01年度も基本的には継続した成長が期待される。主力製品の拡販と新製品の発売等を確実に行う必要があり、これをできる企業とできない企業との間の格差が明確になるであろう。

以上

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