2002年上期業種別部会長懇談会-繊維部会


林部会長代理発表

ポイント

  1. 綿花生産でブラジルは世界第6位、5%弱
  2. 綿花消費では世界第5位、5%弱
  3. 綿紡績設備は550万錘、4%弱
  4. 日系紡の綿糸糸売りマーケット・シエアーは17~18%
  5. 今年前半は綿糸市場の大幅な好転はのぞめず。輸出競争力も低下している

 

世界の綿花生産1900万トン - トップは中国

林: 本日は部会長、副部会長ともに所用で欠席させて頂いておりますので、代理で参りました。繊維部会は綿紡関係が8社、その他合繊紡・ウール・布地販売関係3 社の合計11社で、こじんまりした部会です。本日は部会内の、各社で分担していただいた商品ジャンルごとのレポートをまとめてお手元に配布しておりますの で、ご覧頂ければと存じます。説明する前に、簡単に繊維業界のあらましをご理解いただきたいと思います。

繊維の業界としては、繊維の原料か ら糸をつくり織物、あるいはニットの布にして、それを加工仕上げした上で縫製し、いわゆる衣服、2次製品にして流通段階を経て、消費者のところにわたす、 この全過程を含んでおります。川の流れに例えて、川上、川中、川下と言っているわけですが、そのうち、川上にあたるのが、繊維原料からだいたい糸、布まで の段階でありまして、私ども紡績会社、あるいは繊維部会の会員会社は川上に属しております。

綿糸の原料である綿花を直接扱っているのが1社ありますが、大体紡績を中心として糸を生産販売しており、2社が織物まで手がけていると言う状況であります。

次 に綿花・綿糸の関係で、世界におけるブラジルの位置付けをざっと見てみたいと思います。米国農務省が発表しました世界綿花の需給予想によりますと、 2000/2001年の生産は、全世界では1900万トン強となっております。国別では、一番多いのは中国で440万トン、世界生産の23%にあたりま す。2番目は米国で、3番インド、4番パキスタンと続き、ブラジルは第6位、89万2000トン、全体の5%弱と言うことです。綿花の需要、国内消費につ いては、世界で2000万トン消費されますが、やはり一番の消費国は中国で500万トン強。2番インド、3番米国、4番パキスタンの後、ブラジルは94万 7000トンで5位。これは5%弱。綿花の生産も消費も世界で見れば、5%弱のシェアを占めていると言うことです。

次に紡績の設備について は、短繊維リング紡績は世界で1億5500万錘(1999年末)と発表されております。1位はインド3690万錘、2位中国3380万錘、3位パキスタ ン、4位インドネシアと続き、ブラジルは550万錘、4%弱の生産設備のシェアになっております。ただ、この数字は私どもブラジルへ参りまして、きちんと した統計資料がなく、信頼性が薄いかと思っております。業界の中で、同業者、あるいはユーザー、その他で聞き込み調査をいたしますと、設備的には大体 450万から460万錘が、ブラジル国内で稼働しているのではないかと推察されます。

その中で、この繊維部会へ来ております紡績各社の生産 設備は約50万錘になり、ブラジルの中では1割強の生産設備を持っている事になります。ただし、ブラジル現地の会社の中で有力なところは、先ほどの川上だ けに止まらずに、縫製して最終、2次製品にし、ブランドを付けて売っている。大きいところは特にそういう一貫生産の会社が多いので、私どもの糸売りマー ケットで見ますと、逆に日系紡は1割より若干シェアが上がって、推定値では17-18%の綿糸の糸売りマーケット・シエアーじゃないかと考えております。

 

ブラジルの綿花生産は90万トン

以下、「回顧と展望」を簡単に見て行きたいと思います。

まず原綿関係(表1)。農務省の発表した数字ですが、00/01というのは2000/2001年。ブラジルの国内では、早いところは南のサンパウロ、パラ ナの方では2、3月から収穫が始まりますが、マット・グロッソ等、北に行くに従いまして、8月くらいまで穫れます。2000/2001年というのは米国流 綿花年度ですが、去年の収穫年度を示します。これは、前年70万トンだったものが94万トンに大増産、34%増産されました。これの中心はマット・グロッ ソ州で、33万5800が53万3900トンと6割近い増産になっています。ただし、この年の品質は、降雨の影響などで、どちらかというと悪かった、と言 うことです。

今年度の綿花生産見通しですが(表2)、昨年の94万トンから77万トンにまた減ります。その減る中心はマット・グロッソ州 になっています。このところ相場が安かった、天候不順もあり、その上、運賃も上がって、採算が悪くなっている。さらにその同じ農家にとりましては、綿花を 植えるよりも大豆のほうが儲かる、というような理由で減産見通しになっております。必ずしも今年の相場見通しはよくないけれども、一方的に下がるだけでは なくて、逆に減産見通しが強材料になるのではないか、という見方も出ております。

次に綿糸(国内)の状況につきまして。この分野は、部会関係会社が多いものですから、レポートを読み上げて報告に代えさせて頂きます。

 

綿糸(国内)の2001年下期の回顧

楽 観的な経済予測が支配して始まった2001年であるが、アメリカの景気後退、アルゼンチンの経済問題、電力危機等、景気の圧迫要因がブラジル経済を襲い、 さらには暖冬による冬物商戦の不調により、われわれ繊維産業において2001年上期は当初予想に反し、苦戦を強いられた。

下期についても6 月より始まった節電政策が、国内市況を取り巻く環境をさらに悪化させ、国内綿糸の販売単価は前年比2ないし3%程度下落した状況で始まった。また、国内大 手アパレルの中には生産調整を行うところもあり、国内綿糸市況は回復の兆しすらなく、各社節電による生産数量のダウン、それに伴うコストアップを吸収する ことが出来なかった。一方、断続的に切り下がった通貨は、繊維製品の輸入を抑制したものの、世界経済の停滞と同時多発テロ事件の影響で繊維製品全体の輸出 に大きく貢献することなく、また、ブラジル国内の需給バランスを好転させることもなかった。表シーズン(綿糸の場合は、夏、冬でいうと夏物衣料に使われる ことが多いので、9月、10月頃から糸の出荷が始まる。従って、年間でいうと、この頃が糸の需要シーズンで「表シーズン」といっている。)である10月に 入ると、それまで低迷を続けていた国内綿糸市況も若干回復し始め、各社コーマ糸についてはタイトなバランスで推移し、1~2%の値上げを実施しながら在庫 についても適正規模を維持することができた。しかし、カード糸についてはこの時期に入っても好転せず、弱含みに推移した。したがって2001年下期につい て、全体としては大幅な綿糸市況の悪化があったわけではないが、昨年と比べコストアップ分を吸収できない低い水準であった。

 

2002年上期の展望

国内綿糸市場、今年上期は昨年並みか

引 き続きアメリカを中心とした世界経済の動向は、不透明感を強く残しているものの、2002年のブラジル経済は大方の予想で楽観的である。繊維産業において も、おおむね良好な予想がなされており、貿易収支については昨年の3倍以上の黒字を予測している。しかし、これらは、昨年並みのドル高レアル安を前提にさ れていると思われ、これらの予想通りに行くことが出来れば、低レベルな輸入と堅調な輸出需要で、国内綿糸市場の2002年上期は少なくとも昨年上期並み、 もしくはそれ以上で推移する事ができるであろう。しかしながら、今年前半における我々を取り巻く環境は不安要因も多い。繊維製品の輸出先として大きなウエ イトを占めてきたアルゼンチンの問題、昨年後半より一層の安値攻勢をかけている東南アジア諸国、いまだ解決しない節電と昨年以上に高騰が予想される電力費 など直面して解決して行かなければならない問題が残っている。昨年のように断続的な通貨の切り下げがあれば別だが、現状における我々繊維産業の輸出競争力 は昨年よりも低下しているものと思われ、さらに2002年上期は昨年不調に終わった冬物商戦の影響が出てくることも予想される。したがって、本年前半にお ける国内需給バランスの大幅な好転は期待できない。このような状況で、ブラジル紡績の一部には、市況を乱すところが出てくる可能性も十分考えられる。

 

繊維部会資料

表-1)  国内の綿花生産量(1000t)

ESTADOS 00/01 99/00
SAO PAULO 60.0 55.2
PARANA 58.2 43.0
MINAS GERAIS 29.4 38.7
GOIAS 113.3 90.6
MATO GROSSO 533.9 335.8
MATO GROSSO DO SUL 66.5 43.8
小計 861.3 607.1
BAHIA 61.4 45.6
NORTE/NORDESTE 17.6 47.6
合計 940.3 700.3

註:CONAB資料 (2001/12)

(表-2)国内の綿花生産量(1000t)

ESTADOS 01/02 00/01
SÃO PAULO 53.0  60.0
PARANÁ  33.0  58.2
MINAS GERAIS  26.0  29.4
GOIÁS 100.0 113.3
MATO GROSSO 405.0  533.9
MATO GROSSO DO SUL  59.0  66.5
小計 676.0 861.3
BAHIA  77.0  61.4
NORTE/NORDESTE  17.0  17.6
合計 770.0 940.3

注:CONAB資料(2001/12)

 

表3  2002年需給予測(1000t)

期初在庫        198.0

国内生産        770.0

輸入          120.0

供給合計       1,088.0

消費          860.0

輸出          100.0

期末在庫             128.0

 

繊維部会の添付資料

綿糸(輸出)

回顧

昨年上期は、前期より輸出市況悪化が継続し低調であったが、期央より大幅レアル安、国内市況の低迷を受け各社共輸出に注力した結果、輸出成約は目覚し い進捗を遂げた。然しながら、9月11日のニューヨーク同時多発テロ発生以後は、米国はもとより中南米・欧州の各国が共に、経済先行き不安を理由に買い控 えに入り、輸出市況に暗雲が垂れ込めた。その後年末に掛け、急速なるレアル高・亜国経済の破綻等悪材料が相次ぎ、輸出商談は事実上ストップしたままの年越 しとなった。

 

2002年上期の展望

亜国経済の破綻・米国景気回復の遅れ・東南アジア諸国の安値唱 え等、当国輸出を取巻く環境は必ずしも良くない。これに加え、レアル高による値合わせ難・採算悪化と、利益面でも厳しい状況下にある。唯一希望が持てるの は、通貨統合が成った欧州市場であろうか。以上の材料を勘案すると、残念ながら上期においての輸出の回復はさほど期待できないと思われる。(レアルが、再 び1USD=2.60を突破すると別の話だが)

しかし、国内市況も同時に不透明なものになっており、また、各社共ここ2~3年で輸出をスポット商売と捉えなくなって来ていることもあり、輸出指向が減ずることはない。少しでも市況が好転したならば、再び輸出は拡大に向かうものと考える。

 

綿糸(太番手)

(1) 2001年下期の回顧

①ニット関係

2001年下期の太番手ニットは、総じて良くなかった。

それには、幾つかの要因が重なっている。

電力配給制が敷かれたことによって失業者が増加し、消費者の将来に対する

不安が増して、消費が大きく減退した。今年の冬はさして寒くならなかったので、消費者が冬物衣料の購入を控えた、ことなどが上げられる。

しかしながら、紡績、ニット、縫製共に、先行きに対しての懸念と用心から

過剰な生産はしていないので、今年度へ持ち越した在庫は多くない。

実販売値段についても決して良くはなかった。しかし、原綿価格が安価に推移し

たので、(収益で)惨憺たる結果にはならなかった。

②     織物関係

デニム用(ジーンズ)だけが輸出・国内とも好調であった。

工業用布帛は、基本的に自動車部門が低迷し、販売に活気がなかった。

ニュヨークの同時多発テロも、将来に対する不安を助長し、消費が落ち込んだ。

アルゼンチン向けは寝装等の太番手が多いが、アルゼンチン危機が深刻化して極端に減退した。

(2)2002年上期の展望

①ニット関係

ニット用太番手は2001年上期に比較して、さらに減少すると予想される。

と言うのは、今年は選挙用のTシャツの需要が好調であると予想されることから、紡績はより細番手向けの生産にウエートを置いている。

太番手の在庫が少ないこと、電力配給制が解除される見込みで期待もあるが、なお、本格的な冬の寒さが到来せず、来ても長く続かないのでないかと懸念されている。

②布帛関係

デニム関係は引き続いて好調を維持すると思われる。

年末はバミューダ(パンツ)や一般のシャツが年末に良く売れた。

ガソリン価格が下がったので、昨年下期よりは自動車関係が良くなると期待される。

 

横編セーター原糸・W幅織物用原糸

(1)2001年下期の回顧

2000 年ブラジル経済に対する明るい将来予測と共に、市中の婦人衣料もジーパン・Tシャツ一辺倒から、カラーストレッチパンツとファショナブルなセーター(日本 でいうサマーセーター)ブームへと移行し、ブラジル横編業界は空前の好況を享受した。2000年におけるブラジルの編機導入台数は、日本の大手メーカー社 製だけで500台を超えたと言われ、総数量ではその2~3倍と推測されている。

しかし、2001年に至り、電力危機の到来、アルゼンチン危 機とそれに伴うレアルの大幅下落は、これら新投資設備の操業難・設備投資代金決済難につながり、信用不安を呼び起こした。加えて暗い店頭イメージは消費の 低迷に拍車をかけ、クリスマス商戦に若干の持ち直しはあったものの、2001年下期、業界は低調なまま新年を迎えた。

一方、W幅織物は輸入 品流入の勢いが鈍り、下期は比較的堅調に推移したが、ブラジルにおいては、重衣料市場が縮小しきっている事から、衣料素材はレーヨン・ラミー等シャツ・タ イプの薄地に限定され、カーテン・椅子張り等、家具用途を加えても需給関係が目立って改善される程には至らなかった。

(2)2002年上期の展望

こ れに対し、2002年は産地ニッタ-・機屋の操業開始が大半、1月第3週(今週)であり、短納期・短サイクルの早い回転を特徴とする業界である事から、年 初の動向を見ず判断する事は難しいが、カーニバル明けの2月中旬まで、あるいは第1四半期中の回復は難しい、とする見方が支配的となっている。

し かし、東北伯を除き、電力不足の解消が予測され、アルゼンチン危機にもブラジル経済が大きくは動揺せず、通貨の安定が現実のものとなれば、消費の回復と共 に横編み市場も活発化すると考えられる。今日、横編みセーターはブラジルの衣生活に適合したアイテムであり、発展途上の産業である事から、総じて言えばこ れらの事情を勘案して、2002年度は緩やかな回復基調に乗るものと業界内部では予測している。

外衣用途の織物業界は、国内市場が縮小していること、輸出中心に転換するにはコスト構造的にかなり困難と思われる事から、期待は家具・室内装飾品に偏ることとなり、横這いの状態が続くものと思われる。

 

ブラジルのシルク業界について

(1)2001年の回顧

2001年のBrasil経済は、年初よりArgentine経済が深刻化し、その影響もあって為替が安定せず、大きく上下に変動した。10月には瞬間的ではあったが、US$1.0がR$2.8を超え、現在は辛うじてR$2.3を保っているというのが現状である。

(Brasil製糸は、生産量の95%を輸出しているため、為替の変動に大きく影響を受ける)。

また、年央には電力危機が発生し、20%の節電を骨子とする消費制限令が打ち出され、国内の景気後退はいよいよ決定的となり、心理的にも引き締めMOODが支配的となった。

更に、9月には米国を襲った同時多発TERROが追い打ちをかけ、米国をはじめとする世界経済の冷え込みが一段と強まった

こ のような状況下でのBrasil製糸の2001年は、生糸・撚糸の輸出数量(予想)が、1,363t(22,716俵)(対前年同期比8%減)で、輸出金 額(予想)が3,899万US$(平均28.6US$)(対前年同期比15%減)となる見込みであるが、為替が20%を超える切り下げとなったため、 Brasilの製糸各社は黒字となる見込みである。

(2)2002年の展望

2002年の見通しは、Brasilでの生産の60%以上を輸出している日本の市況が改善するかどうか、にかかっている。

昨 年11月の丹後産地の白生地生産高は11万273反、前年同期(10万6,022反)比4%増となっており、それだけ生糸消費が増えたということである が、これが末端の消費に結びついているかどうか、となれば、和装の需要が落ち込んでいる全体の動向から推して、白生地段階までの動きと考えられる。

生糸相場も下記の通り昨年、一昨年に比し下落しており、一刻も早い消費の回復が望まれるところである。

生糸相場(1kg)

1月限 2月限 3月限 4月限
00.1.10 4065 4147 4119 4089
01.1.10 2770 2803 2937 2964
02.1.08 2627 2651 2638

2672

(単位・円)

一方、現在の小泉内閣では、景気回復に直結するような政策が打ち出されていない中で景気低迷が長引くと予想され、生糸相場も商いが少なく低調である。

いずれにしても、2002年も不透明が続くものと思われる。

 

化合繊(短)

(1) 2001年下期の回顧

7 月の繊維部会での「下期の展望」では、レアル貨の対ドルレートは3レアルも予測されると申し上げたが現実は年末には2.3レアル台にまで落ち、ドル建ての 現地ポリエステル原綿は値上げが止まった状態。しかし、年間通じては18%強の切下げで、ドル価格引下げを相殺するかたちとなって、決して原綿コストダウ ンが期待できる状態ではなかっ た。                                                                   

代 表的な台湾・韓国製ポリ綿の中国向け価格は、2000年7月~8月の高値0.88ドルが0.68ドルにまで下がり、供給過剰感が強いとの情報であるが、ま だまだ当地ポリ原綿価格は世界相場より高いのが現 状。                                                                                   

ビスコース原綿は、原料値上げを口実に上昇傾向にあったが、下期は多少スローダウンしてきた。

6月から電力カットに入り、これもコストを上げる要因となった。途中電力競売価格も下がり始めたことで、当初騒いだほどではなかった。                                                   

売 値については、世界的な綿花相場の下落を背景とした綿糸との競合もあって、化合繊(短)だけがコスト増を理由に希望する値上げが通るわけではなく、下期も 引き続き厳しい環境下での商売であったといえ る。                                                                                      

(2) 2002年上期の展望

ここに来て、当初ブラジルをも巻き込むかと云われたアルゼンチン問題も、目下は他山の石のよう に却ってブラジルのファンダメンタルズが上がるという異様な現象となってい る。                                                                                                                                 

昨年度は、貿易収支も現政権初の黒字化達成もあって、レアル貨は強い傾向にあり、輸出振興に支障のないと思われる現状の2.3レアル台は継続することを期待したい。

ポリ綿の世界相場もすぐには上がる傾向になく、原料コストも常識的な範囲でおさまれば、2001年よりは多少良化するであろう。                                                               

基準金利も下がり消費が復活し、米国など世界経済が回復基調でも示せば、上期後半からは化合繊(短)のみならず、繊維業界は明るい見通しが見えて来るであろう。

電力問題も、水不足解消に向かいつつあり、昨年のような危機感が過ぎ去ったことも幸いといえる。

ただ、やはりアルゼンチン問題はついて回るであろうから油断はできない。

 

綿織物

(1)2001年の回顧

年初は昨年に比しブラジル経済上昇、特に食品、衣料分野の景気向上が期待され、

織物業界も、前年末の小売活況による店頭在庫補充の発注が見込まれ、出足は好調かに見えたが、糸分野の在庫過多による市況不調に引きずられるかの様に次第に市況が沈静化して、そこへアルゼンチン影響によるドル高、節電により、5月以降不況ムードへと反転した。

夏物の立ち上がりは少し遅れたが、年末販売への期待感は日増しに強まって縫製業社はフル操業となり、年末は期待通りの販売となった。

織物の種類別に見ると、ジーンズは輸出増大、国内活況で20%の値上げ、綿薄地不調、綿厚地最不調で値引き販売、合繊及び混繊薄地は比較的好調で5%の値上げ、で推移した。

(2)2002年の展望

昨年末の小売は非常に良かったので、年初から店頭在庫補充販売が期待されている。

昨年は、景気を食品業界に横取りされた感があったが、国内経済が上向く見通しから織物業界も昨年より少し上向くのではないか、と予測されている。

た だし、アルゼンチンへの輸出が止まるので, その分国内へ商品が流れ品薄にはならないだろう。特にジーンズは輸出依存度が高いので、ドル安による輸出減少で国内ダブつくかもしれない。一般綿織物は成 長が見込めないが、色々な素材を組み合わせた織物が薄地,厚地共に近年成長が著しく、この分野は今年も順調に成長すると予想される。

昨年のコスト・アップを吸収すべく各社5~8%の値上げを年初から試みている。

 

布地小口販売市場

ドル高、節電、暖冬、同時多発テロ、アフガン戦争、アルゼンチン金融危機、熾烈な価格競争・海外からの安売り攻勢、失業増加、消費減退。ゴルフに例えれば、 OB、ソケット、3パットが一度に起きたような最悪の2001年であった。織布の仕事を離れて1年半、詳しい市況報告は出来かねますが、概況を下記しま す。

(1)2001年の回顧

① TECELAGEM

WOOL、 WOOL混を主体とするKARIBEは健在。POLY100%もAMERICANAを中心に10数社が健闘中。VISCOSE混、リネン、ラミー混は衰退気味。

②ACABAMENTO

ESPORTEのMALHAは増加、織布は10%ダウン。

③CONFECÇÃO

イ)背広、替えズボンは横這いか多少減産ロ)JEANSとヤング向けは好調。

ハ)CAMISAは20~30%UP、とくにTENCEL調子が好評。製品輸入減少がプラス。

④VAREJO

上期は前年比ほぼ同じであったが、暖冬と節電の影響が出始めた8―9月はきわめて低調。12月も出足は好調であったが、最後は息切れで今ひとつ。全般的には5%減で不満の残る1年であった。

背広、替えズボンは不調、ヤング向けとCAMISAは好調でいずこもオジンより若者に的をしぼるべきと痛感させられる。上代を抑えられていても自分 の利益は落とさないVAREJOは、原料と加工費にしわ寄せし、メーカーはますます苦しく、コストが高くなる市内のCONFECCAOの生き残りは難し く、INTERIORへの移転をいずれ余儀なくされると思われる。

⑤IMPORTAÇÃO

急激なドル高で、下期は織物、製品とも大幅に減少。しかしながら、海外市況も最悪で、安売り攻勢が激しく、ドル高がカバー出来る結果となり、輸入は通常にもどったと思われる。

ただし、不正輸入業者は駆逐され、正規に輸入されるようになったのが特筆される。

(2)2002年の展望

川中、川下とも余剰在庫はなく、特に悲観材料もなく、まずまずの上期が予想される。

為替もR$2.50までに収まるよう期待したい。

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=30807