05年度初めての運輸サービス部会(平野候一部会長)に多数の部会員が参加、業界裏話など笑いが絶えない部会となった
05年度第1回運輸サービス部会が、2日正午から当会議所に15人が参加して、活動方針や04年度回顧及び05年度上半期の展望などについて盛んに情報交換を行った。
最初に平野部会長が05年度運輸サービス部会活動方針として、「会員増強」、「日伯経済関係強化」及び「日系移民100周年事業への取り組み」について説明した。
続いてそれぞれの業界の04年度回顧及び05年度上半期について、各業界代表者は次ぎのように報告した。
◎ 航空業界の04年度はTAM社及びGOL社が好調で、南米の国際路線への参入を準備している半面、ヴァリグ社の経営悪化及びVASPの倒産申告と明暗をわ けた。日本向け便ではUSAビザ取得問題などで減便が続いており、また米国経由を避けるケースが多くなってきた。グァルーリョス空港の出入国審査及び税関 検査は、世界で最悪と思えるほどひどく当局への強い要望が必要である。05年上半期展望では、昨年後半からの輸出好調が継続するので好調維持。日本向けは ビザ問題と日本の景気が大きく影響する。(日本航空-寺本久男さん)
◎ 海運業界の昨年度は、上期は船腹やコンテナ機器不足だったが、下期は回復し荷動きは旺盛だったが、コンテナ貨物荷捌き能力が低く、輸入貨物の引渡しの遅れ など事態が頻繁に発生した。05年度はカーニバルが例年より早いので、出荷停滞期は早めに終了し、2月半ばには回復する。数年先を見越した港湾施設拡充に 官民合同プロジェクト(PPP)の活用を期待したい。(日本郵船-藤江一郎さん)
◎ フォワーダー業界の昨年下期の回顧では、東アジアからの輸出増大で米国西海岸での港湾作業に支障をきたし、リードタイムの遅延など影響が出た。サントス港 での貨物取扱い拡大に伴い、対処できない港湾作業に支障をきたしており、インフラ整備が急務である。鉄鋼構内物流は世界的な鉄鋼需要拡大で、笑いが止まら ないほどホクホクであるが、労使問題も急増し、痛し痒し。今年の展望は恒例の税関ストも予想されるので、生産部材の在庫確保を準備することも考える。また 物流費のコストアップが懸念される。(日本通運-平野候一さん)
◎ クーリエ業界の04年度下期は、昨年末から米国経由の物件に対するテロ対策事前申告手続きが厳しくなり、飛行便が米国を経由するだけでも発送人、受取人、 物件内容などの詳細な事前申告を飛行便到着四時間前までに行う義務に変更されたために非常に混乱している。米国のFEDEX社はカンピーナスのヴィラコッ ポス空港で、自ら政府に働きかけ通関を開始した。ブラジル空港インフラ業務公社(INFRAERO)に対して7センターボ/Kgの格安料金で利用してお り、何時になるか分からない税関の改善を待つのではなく、積極的にブラジル政府と交渉し、解決をする心意気が必要である。今年の上半期の展望では、昨年か ら輸出入業者登録(RADAR)が義務付けられているが、審査に半年以上かかっており、登録できてない企業も多く問題になっている。(ヤコン・コンサルタ ント-山下日彬さん)
◎ 旅行業界の04年下期の回顧では、統一運賃採用による国際線航空運賃の一律値上げ、また原油高による航空燃料の高騰による5%の運賃調整が10月に行われ た。米国ビザの取得のための面接義務やタックスが高価で、旅行者には大きな負担となった。また、ブラジルの空の玄関口であるグァル-リョス空港の入国審査 問題は、観光立国や国連常任理事国入りを目指す国とは思えないほどお粗末である。テロ警戒などで海外旅行を控えた旅行者が、東北伯地域のリゾート地に殺到 しており、ホテル予約ができないほど盛況であった。今年上期の展望として、海外旅行はインド洋津波やテロなどで昨年同様に低調であるが、過去10年低迷し ている南米への渡航者の需要が見込まれている。国内は昨年同様好調が予想されている。(ツニブラ-大滝昌之さん)
◎ ホテル業界の昨年の回顧では、ホテルの平均稼動率は50%に達したが、エコノミー及びスーパーエコノミークラスのホテル稼動率は、70%を上回り好調だっ た。ホテル業界の中で国際チェ-ンホテルのシェアは2.78%、国内チェーンホテルが5.29%と、一般の想像より遥かに低いシェアしか確保していない。 またホテル業界の04年度の成長率は約3.77%で、07年までこの程度の成長率で推移すると予想される。今後の展望では、昨年同様30件以上の国際イベ ント獲得を目指している。(ブルーツリーホテル-広瀬純子さん)
◎ 情報通信業界の04年度下期の回顧では、携帯電話が記録的な加入者増加で6,560万台となった。またインターネットを使ったWEBシステム構築要望も多 かった。05年度の展望では、IP電話事業参入準備をする会社の増加、情報通信業務のアウトソーシング化に拍車がかかり厳しい競争を強いられ、他に選択の 余地がない。(KDDI-小島久生さん)
参加者は平野候一部会長(日本通運)、大滝昌之副部会 長(ツニブラ)、森田透副部会長(Sankyu Logistics)、広瀬純子(ブルーツリーホテル)、寺本久男(日本航空)、平井逸郎 (JAPEX)、小島久生(KDDI)、青砥修吾(大阪商船三井船舶)、藤江一郎(日本郵船)、坂本エドワルド(全日空)、堀池紀之(SUZUYO)、青 島孝雄(THANK YOU EXPRESS)、山下日彬(ヤコン・コンサルタント)、櫻井淳(サンパウロ総領事館領事)、平田藤義(商工会議所事務局長)の各氏。