第2回三井物産冠講座にヴァーレ社のアグネリ最高経営責任者を招いて講演

ブラジル三井物産は昨年10月に続いて第2回目となる三井物産冠講座を2009年3月24日午後5 時から6時30分までサンパウロ総合大学法学部の大講堂で開催、300人以上の聴衆を前に、ヴァーレ社のロジェール・アグネリ最高経営責任者が「米州とア ジア-豊饒と枯渇」と題して、今後のアジアとの相互補完関係の重要性について講演した。

初めにアグネリ最高経営責任者はヴァーレ社の成功の多くは日本企業との長期的パートナーシップによるところが大きく、これが飛躍的な開発能力向上の原動力のひとつとなったことは疑う余地がないと日本とのパートナーシップの重要性を強調した。

南米は世界でも農産物や鉱物資源の最大の宝庫で、日本企業の投資はヴァーレの飛躍にとっても非常に重要であり、露天掘りの鉄鉱山では世界最大のカラジャス鉱山の鉄鉱石の日本への輸出開始は1955年で日本とヴァーレのパートナーシップのさきがけとなった。

三井物産はヴァーレ・グループのヴァレパールに資本参加して共同事業を展開しているが、「日本は他の国民にはない長期ヴィションを持っているが、パートナーのヴァーレも同じフィロゾフィーを共有している。」とアグネリ社長は強調した。

ヴァーレは南米最大の民営化企業で、今年現在の時価総額は700億ドル、世界30カ国以上で事業を展開、鉄鉱石やパレットの生産並びに輸出では世界最大、ニッケル生産は世界2位、マンガン、銅、ボーキサイト、アルミナや石炭などの生産でも世界有数である。

日本企業はヴァーレ社と共同でブラジルや海外で資本提携しており、アルミではAlbras社、アルミナ(Alunorte社)、パレット (Nibrasco社)、ニッケル(PTI Indonesia 社並びにGoro Nikel社)、カオリン(PVSA CSI USA)、ロジスティックでは Log-in Logistica社に資本参加している。

ヴァーレ社は2004年から2008年にかけて 大型投資をして20以上の大プロジェクトを実施、2000年から2008年には買収案件に251億ドルを投資した。教育、国民の健康・衛生やインフラ整備 向上には投資が必要であり、世界最大級の鉄鉱会社を擁するオーストラリアの国民は生活水準が高いが、大企業のない国では難しく、利益のない企業は税金を産 まず、投資をして利益を上げる企業では雇用や機会が生まれると投資の重要性を強調した。

1997年末のヴァーレは時価総額では世界8位の鉱業会社であったが、今では世界2位に上昇、昨年の売上は385億ドル、そのうちアジアでの売上が41%を占め、日本は12%、ヨーロッパ20%、ブラジルは17%であった。

中国はヴァーレ社にとって最大の鉄鉱石の輸出先になり、また今後のアジアは世界経済の成長にとって重要な役割を果たし、世界の経済成長の66%は発展途上 国であり、特に中国は世界のコモデティ商品拡大を牽引、経済成長率の高いアジアの2007年末の外貨準備高は4兆2,400億ドルで世界全体の52%を占 め、そのうち中国は1兆9,000億ドルを擁して、とてつもないポテンシャルがあり、アジアの経済成長に欠かせない天然資源の豊富な南米とは相互補完関係 にあると強調して講演を終えて、サンパウロ大学のジョアン・グランジーノ・ローダス理事から記念プレートが贈呈された。

 

 

左はブラジル三井物産の高橋英裕リオ支店長/ヴァーレ社のロジェール・アグネリ最高経営責任者/中山立夫社長

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300人以上が詰掛けて熱心に講演を聞いた

090324 三井物産冠講座3

講演者のヴァーレ社のアグネリ最高経営責任者

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=31424