ブラジル経済情報 - 2006年12月

【ブラジル経済情報】 速報 12月21日

11月の公的負債は1兆816億レアルに上昇

11月の公的負債総額は、国債起債が買戻しを66億レアル上回り、また負債利子120億3,000万レアル増加したために、前月よりも186億3,000万レアル増加の1兆816億6,000万レアルに膨れた。

国債の内訳は、確定金利連動国債比率が1999年以来の35.16%に上昇、Selic金利連動国債は、Selic金利低下と共に前年11月の 53.91%から38.92%と大幅に下げてきており、インフレ指数連動国債は14.46%から22.40%に上昇したが、為替連動国債は、2.58%か ら1.32%と殆ど起債されなくなってきた。

発行されている国債の平均償還期間は、10月の30.27ヶ月から30.96ヶ月、また起債される確定金利連動国債の平均償還期間も前月の19.34ヶ月から28.70ヶ月に伸びてきている。(21日付けエスタード紙)


来年の最低サラリーは380レアルで合意

マンテガ財務相が来年の最低サラリーを4.8%調整の367レアルで、労使中央機関(CUT)幹部との間で交渉していたにも関わらず、ルーラ大統領はインフレを大幅に上回る8.57%調整の380レアルでCUTと合意した。

国立社会保険院(INSS)にとって、最低サラリーが1レアル上昇すれば1億9,000万レアルから2億レアルの負担になり、380レアルになれば57億レアルから60億レアルのインパクトを与える。

2008年以降の最低サラリー調整は、GDP増加率にインフレ指数である広範囲消費者物価指数(IPCA)を合わせたものが上乗せされ、2010年までこの方式採用で合意されている。(21日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


IT・通信業界へのヘッドハンターがトップ

今年のリクルート業界のエグゼクチブ部門のヘッドハンターでは、IT/通信業界、特にソフト部門でオラクルとSAPを充分にこなせるマネージャーや技術者の需要が大きかったが、この傾向は来年も続く。

法律事務所関係では、政府関連事業請負企業からの法律相談に対応する弁護士の需要が多く、また好況の建設・不動産関連企業への営業や企画部門へのマネージャー職の需要も高かった。

海外資本のスーパーに対抗するための小売業界のマネージャー職や耐久消費財製造マネージャー、また海外から進出した民間投資銀行の金融部門マネージャー、 2005年からリオ州では石油や天然ガス生産現場での海外エンジニアに替わるブラジル人エンジニアの需要が増加している。(21日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


中銀は2007年度の経済成長率を3.8%に設定

ルーラ大統領は2007年の経済成長率5.0%達成のために、経済エコノミストグループが新経済政策を討議中であり、発表は来年1月にずれ込む予定であるが、20日に中銀は来年の経済成長率を3.8%に設定した。

また今年の経済成長率も最高でも3.0%と見込んでいるが、インフレに関しては3.1%と設定中央値4.5%を大幅に下回っており、これは1999年にインフレ設定値を設けて以来、初めて中央値を下回った。

今年の鉱工業成長率3.3%に対して来年は4.7%、農畜産部門は2.8%及び3.7%、サービス部門は2.4%で来年も同じ成長率に設定している。しかし中銀は来年のインフレを3.8%と設定しているが金融業界では4.3%、2008年は中銀の4.5%に対して金融業界は5.4%を見込んでいる。(21日付けエスタード紙)


【ブラジル経済情報】 速報 12月20日

11月の税収は308億7,300万レアル

11月の国税局の国立社会保険院(INSS)の徴収金を除いた税収は308億7,300万レアルで、11月の月間記録を塗り替えたが、前月比では法人税 及び純益に対する社会納付金(CSLL)の支払いや石油採掘のローヤリティ収入の減少などで、14.52%の大幅減収であった。

11月の税収の内訳は輸入税が19.78%、海外への利益送金に対する所得税が52.74%とそれぞれ大幅に増加したが、投資利益に対する所得税23.91%、法人税7.31%とそれぞれマイナスを記録した。

また今年11ヶ月間の税収は3,535億1,100万レアルで、インフレ指数IPCAを差引いた実質増加率は昨年同期比4.62%で、今年のGDP予想値2.8%を上回っている。(20日付けエスタード紙)


今年は対外投資が対内投資を上回る

第4四半期に決済されたヴァーレ・ド・リオドーセ社の180億ドルでのカナダ資本インコ社の買収で、今年の対外投資は260億ドル、対内投資が180億ドルで初めて対内投資を上回る見込みとなった。

リオドーセ社以外にも国際戦略を果敢に進めているペトロブラス社の今年1月から9月までの対外投資は、前年同期比110%増加の39億ドルに達しており、鉄鋼のゲルダウ社やゼネコンのオデブレヒト社も盛んに国際戦略を展開している。

今年1月から9月までの対外投資は、前年同期比226%増加の78億ドル、対内投資は僅か2.1%増加の117億ドルであったが、年末には20%増加の180億ドルに達すると予想されている。

また第3四半期のGDPに対する投資比率は、Selic金利の低下、法人向けクレジットの拡大、建設・不動産業界の回復やレアル高による機械・装置類の輸 入増加で投資が増加したために、前年同期の20.4%から20.8%に上昇、これは1995年以来では2004年の20.9%に次ぐ高率となっている。(20日付けエスタード紙)


空港混乱継続でバス製造会社がフル生産

ブラジリア航空管制塔問題でフライトキャンセルや遅延で空港混乱が継続して、航空機利用から長距離バス利用に切替える乗客が増加してきており、長距離バス製造会社のマルコポーロ社では、早くも来年の売上の15%増加を見込んでおり、フル生産体制を敷いている。

10月20日から始まった空港混乱で、すでに長距離バス利用者は10%増加しているが、バス発注から引渡しには90日間かかるために、当分の間は長距離バスの搭乗率は高くなる。

南大河州カシアス・ド・スール市に本社のあるマルコポーロ社は、生産台数の40%が輸出であり、ラテンアメリカでは大きなマーケットシェアを占めており、来年はロシアやインドにも進出するが、中近東からは実質的に撤退した。(20日付けエスタード紙)


第一次ルーラ政権では497万人の雇用創出

大統領選挙の公約として任期4年間に1,000万人の雇用創出を謳ったルーラ大統領であったが、2003年1月から今年11月までの正規雇用は498万人で50%に満たなかったと就労・失業者管理局(Caged)では発表している。

しかしルイス・マリーニョ労相は、インフラ部門への投資プロジェクト実施や好調な建設・不動産部門や農業部門での大幅な雇用創出が期待でき、また連邦政府の上下水道などの公共投資増加などでも大きな雇用が創出可能と述べている。

11月の雇用は前年同月比135%増加の3万2,579人で商業やサービス業で雇用が増加、特に商業部門は11月としては1992年以来の8万7,427人を吸収、今年11ヶ月間では0.35%増加の154万6,179人であった。(20日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


【ブラジル経済情報】 速報 12月19日

パルプ輸出は日本を抜いて6位に上昇

今年のパルプ輸出は昨年比12.1%増加の610万トン、日本を抜いて世界ランク6位が予想されており、来年の輸出は8.2%増加の660万トンが見込まれている。

今年のパルプの生産量は、北米を中心にパルプ生産工場の閉鎖が相次いでおり、また好調な国内需要で昨年比7.2%増加の1,110万トン、来年は主に中国の需要で輸出が牽引して、5.9%増加の1,175万トンが見込まれている。

また今年の製紙生産量は昨年比1.8%増加の875万トン、国内消費は5.3%増加の772万トンであったが、国内需要を満たすために製紙輸入量は24.7%増加の96万トンに達した。

来年の紙・パルプへの投資は生産工場新設や増設で、2012年までの投資総額の144億ドルのうち30億ドルの投資が予定されている。(19日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


Selic金利低下で確定金利投資からハイリスク投資へ

2005年9月の政策金利(Selic)19.75%から先月には13.25%まで下げ続けており、確定金利付ファンドや銀行間取引ファンド(DI)の 投資金が、マルチマーケットファンドや株投資に移行しだしたが、投資金の35.5%は未だに確定付ファンドに集中している。

Selic金利低下に伴い、参考金利(TR)付きポウパンサ預金の収益率の方が上回ってきており、銀行業界は参考金利見直しを連邦政府に迫っている。

今月11日までのファンドへの流入金は688億5,000万レアルで、そのうちのマルチマーケットファンドへは、501億1,000万レアルであったが、 確定金利付やDIファンドからは、138億9,000万レアルが流出しているが、現在の投資ファンド総額は9,041億8,000万レアルで、来年上半期 には1兆レアル突破が予想されている。(19日付けエスタード紙)


ブラジルはソフト輸出のオフショアアウトソーシング市場

インドは米国のITサービスのオフショアアウトソーシング市場を独占してきたが、すでに飽和状態になってきており、海外ソフト開発会社は下請けとしてコスト競争力やITインフラを持っているロシア、メキシコ、アルゼンチン、ヴェトナムやブラジルに注目しだした。

インド最大のITサービス企業タタ・コンサルタンシー・サービス社(TCS)およびEDS社は、ソフト輸出拠点及びローカル市場参入のためにブラジルに進出、TAM航空、ペトロブラスやブラジル・テレコン社と契約している。

TCS社のグローバルサービス担当重役によると、ブラジルはラテンアメリカや米国向けのソフト輸出拠点になるポテンシャリティがあり、インド以外の海外14拠点のうちでも中国及びハンガリーに匹敵するレベルにあり、将来性はあるが人材確保が今後の課題になる。(19日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


第二次ルーラ政権は幸先良い船出

5,800万人の支持を得て再選されたルーラ政権に対する全国工業連合(CNI)及びIbopeの調査によると、インタビューした57%が第一次ルーラ政権を高く評価しており、50%を超えたのは政権初期の2003年3月以来となった。

またルーラ大統領に対する信頼度評価では68%に達しているが、28%は大統領を信頼していない。2003年6月には大統領への信頼度は76%のピークに達したが、メンサロン危機の2005年末には43%まで低下していた。

また第二次ルーラ政権に対しては、57%が第一次政権よりも良くなると評価、68%が政権運営を高く評価しており、第二次決選投票で77%の支持を集めた北東地域では、76%が高い評価をしている。

第二次ルーラ政権では医療・健康部門へのプライオリティ-が最も高く、続いて雇用創出、治安、教育となっているが、2003年3月の調査では雇用創出がトップで、食料確保支援が続いていた。

またダータフォーリャの歴代大統領調査ではルーラ大統領が75%の支持を得ており、2位のカルドーゾ大統領12%、クビチェック大統領11%、ジェツリオ・ヴァルガス大統領8%などを大きく引離す歴代最高の大統領の評価を得ている。(19日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


【ブラジル経済情報】 速報 12月18日

ブラジルの世界貿易占有率は1.2%に上昇

今年のブラジルの輸出の伸び率は昨年比17%増加で、世界平均の8.2%を上回る予想であり、貿易総額は2,154億3,000万ドルと世界貿易に占める割合は、昨年の1.1%から1.2%の上昇が予想されている。

しかし今年の輸入額は昨年比25%増加、来年は機械・装置類を中心に20%の増加が見込まれているのに対して、来年の輸出は僅かに10%増加に留まると予想されている。

MBアソシアードスのエコノミストは国際コモデティー商品が高止まりにあるが、欧米や日本の金利上昇予想や商品取引業界にそろそろ新しいトレンドが出てきていると指摘している。

しかしロドリゲス元農務相は、農産物コモデティー価格は今後3年間、現在の水準を維持するが、在庫減少傾向にある小麦とトウモロコシの商品価格に注意する必要があるとコメントしている。(18日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


来年は中規模銀行の上場が目白押し

建設不動産、情報産業、最先端産業やアグロビジネス業界に次いで、来年は中規模銀行のサンパウロ証券取引所への上場が目白押しの予想となっている。

クルゼイロ・ド・スール銀行を筆頭に、9月にUBSに1億5,000万ドルで買収されたBicBanco銀行が上場を予定しており、80行で構成されているブラジル商業銀行協会(ABBC)のうち12行が行なっている給与天引き型ローンの営業許可獲得を狙っている。

レアル高が継続する為替や政策金利の低下で、投資家の資金が株投資に流れており、他の中規模銀行よりも早く上場して有利な資金獲得を急いでいる。(18日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


第一次ルーラ政権の鉱工業の平均伸び率は3.55%

第一次ルーラ政権下の鉱工業伸び率は年平均3.55%であったが、4年間の累計では14.95%であり、政権初年度の2003年は僅かに0.04%の伸び率にとどまったが、翌年の2004年は8.30%と大幅に上昇した。

部門別では資本財の年平均伸び率は7.51%であったが、累計では33.58%、中間財3.05%及び12.78%、消費財3.54%及び14.93%、耐久消費財10.55%及び49.37%、非耐久消費財1.85%及び7.61%であった。

情報機器部門は年平均26.73%及び157.92%、自動車部門は10.21%及び47.53%とそれぞれ大幅に伸びたが、衣類・アクセサリー-5.38%及び-19.85%、履物・革製品-3.50%及び-13.30%とそれぞれマイナスを記録した。(17日付けエスタード紙)


【ブラジル経済情報】 速報 12月08日

マナウス経済特区のロジスティックに問題

昨年のノキア社はマナウス経済特区で生産したセルラー電話を10億ドル輸出したが、今年11ヶ月間では税関検査官のスト、ブロクラシーや海外直行便の不 足などの影響で、半分の5億1,400万ドルまで低下しているが、国内向けは商品流通サービス税(ICMS)免除の恩典で利益は充分に補っている。

それに対してコンペチターのモトローラ社は、サンパウロ州のジャグアリウーナ市でセルラー電話を生産しており、昨年は9億6,200万ドルの輸出であった が、今年はすでに13億4,200万ドル輸出しており、工業保税倉庫特別情報化制御システム(Recof)が機能しているヴィラコッポス空港から輸入部品 を24時間以内に受取って生産しており、また輸出にもなんら障害がない。

ノキア社は輸出用セルラー電話の生産拠点をメキシコのレイノッサ市への移転を考慮しているが、逆にモトローラ社はメキシコのチワワ市からブラジルのジャグアリウーナ市に世界戦略の一貫として輸出拠点を移している。(8日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


農産物輸出は記録更新

今年11ヶ月間の農産物輸出は、昨年同期比13.4%増加の452億,8500万ドルで記録を更新したが、輸入も30%増加の59億6,900万ドルとなっている。

小麦の輸入が昨年同期比49%の大幅増加で8億5,900万ドルとなったが、今年11ヶ月間の農産物貿易収支黒字は、393億1,600万ドルで記録を更新した。

輸出の牽引車は砂糖・アルコールであり、今年11ヶ月間の輸出量は2.0%減少しているにも関わらず、昨年同期よりも26億1,400万ドル増加の69億2,100万ドルを達成したが、粗糖の国際商品価格の52%、精糖の60%増加が追い風となった。

またアルコール価格は62%増加、輸出量も30.8%増加、アルコール輸出額は昨年同期比111.7%の大幅増加となっている。(8日付けエスタード紙)


建設・不動産業界は4年間で2,060億レアルを投資

建設業界は今後4年間に、2,060億レアルの建設・不動産、下水道、エネルギーや運輸関係のインフラ整備を見込んでいるが、これを達成するためには連邦政府が経済支配介入納付金(Cide通称-燃料税)の使用用の改正をしなければならない。

建設業界は連邦政府が望んでいる年率5.0%の経済成長率達成には、インフラへの大型投資が必須であり、ルーラ第2次政権では連邦政府の勤続期間保証基金(FGTS)から460億レアル、民間から1,600億レアルの投資を見込んでいる。

投資の内訳は運輸部門へ468億レアル、大衆住宅建設408億レアル、電力エネルギー272億レアル、下水道などの環境・衛生整備240億レアル、不動産部門への投資672億レアルとなっている。(8日付けエスタード紙)


【ブラジル経済情報】 速報 12月07日

今年の乗用車生産台数は263万台で記録更新予想

年末に近づくにつれて、自動車の輸出台数が減少してきているにも関わらず、今年の乗用車生産台数は、昨年比4.0%増加の263万台で記録更新が予想されている。

2003年以来年率10.2%の伸び率を記録してきたが、今年は4.0%の伸び率にとどまるが、来年の経済成長率3.5%と仮定すると、乗用車生産台数は273万台に達すると予想している。

今年の自動車輸出は、昨年比マイナス5.0%の85万台が予想されているが、為替損益を補填するための輸出価格値上げで、輸出総額は121億ドルの記録更新が予想されている。

また国内販売は継続する金利低下、低価格の長期ローン販売が功を奏して、業界予想の昨年比10.0%を上回る11.6%増加の190万台で、来年は1996年の194万台を上回る200万台の予想で、記録更新が期待されている。(7日付けエスタード紙)


フライト中止や遅延で膨大な被害

今年9月まで好調に業績を伸ばしていたTAM航空及びGOL航空は、10月25日から始まった大幅なフライト中止や遅延で、売上げがそれぞれ8.0%及び8.2%減少、搭乗率も50%まで減少しており多大な損害を受けている。

アーネスト&ヤング社の入札担当者は、フライト遅延で入札時間に間に合わずに、入札に参加できなかった。ま たフレウリ・ラボラボリーでも最も精度の高い精密検査を要する場合、地方都市で採血したサンプルを3時間以内にサンパウロの中央研究所へ予想しなければな らないが、フライトキャンセルや遅延でサンプルが使えなくなり、再採血などで患者への負担が大きいうえに、経費を負担しなければならない。

またワーゲン社の連邦政府担当者は、空港カオスの様子をテレビで見たために、ブラジリア行きをキャンセルして、テレカンファレンスの導入を検討している。また機内への機内食運搬および清掃業のSwissport社は、フライト遅延による従業員の待機時間延長による残業代コスト負担が10%から15%増加している。(7日付けヴァロール紙)


鉱工業成長率は僅かに0.8%の伸び止まり

10月の鉱工業の成長率は、前月比0.8%で予想を大幅に下回る伸び止まりとなったが、前年同月比では4.8%の伸びを記録している。

また今年10ヶ月間の伸び率は僅かに2.9%、最終12ヶ月間でも2.7%しか伸びていないために、今年の成長率の3.0%達成が危惧されている。10月の鉱工業の部門別伸び率は、資本財が前月比マイナス1.6%であったが前年同月比9.3%、中間財はマイナス0.2%及び1.8%、耐久消費財は3.2%及び12.0%、非耐久消費財は0.4%及び5.4%であった。

今年10ヶ月間の部門別成長率は、耐久消費財6.9%、資本財5.5%、非耐久消費財2.9%、中間財は2.0%であったが、レアル高の為替及び輸入品急 増で、今年10ヶ月間の履物部門はマイナス5.75%、衣類マイナス5.3%、家具・木材製品マイナス7.2%とそれぞれマイナスを記録した。

好調なローン販売及びクリスマス商戦向け受注が旺盛な耐久消費財の自動車販売は昨年同月比13.6%、家電10.0%それぞれ大幅に増加しているが、特に白物家電は20.3%、今年10ヶ月間でも12.2%増加している。

10月のテレビ、ビデオや音響製品などの茶色物家電はマイナス3.5%であったが、今年10ヶ月間では14.0%と大幅に伸びている。(7日付けエスタード紙)


11月はポウパンサ預金増加

11月のポウパンサ預金は昨年12月に次ぐ26億4,400万レアルが流入して、預金総額1,756億9,300万レアルを記録した。

Selic金利が0.5%下げて13.25%まで下がってきており、利益に対する所得税免除及び管理費のかかる投資ファンドの利益率に近づいてきていることもポウパンサ預金への流入に繋がっている可能性も否定できない。

しかしポウパンサ預金への流入は月末2日間に集中しており、第13ヶ月サラリーの第1回目の支払日と合致しており、投資ファンドからの逃避かどうかわからない。今年11ヶ月間ではポウパンサ預金から13億レアルが流出しているが、年末までには13億レアルのプラスが予想されている。(7日付けエスタード紙)


【ブラジル経済情報】 速報 12月06日

応用経済調査院は経済成長率を2.8%に下方修正

応用経済調査院(Ipea)は政府機関として初めて、今年の経済成長率を3.3%から3.0%以下の2.8%に下方修正したが、来年の経済成長率を3.6%に据置いた。

経済成長率を下方修正した主因は、レアル高継続で輸入製品の増加率が予想を大幅に上回り、資本財及びサービスの輸入が、前年比14%の予想を上回る16.8%であったが、輸出は前年の11.6%から4.6%と大幅に落込みが予想されている。

また継続する金利の低下及び実質賃金の上昇で、今年の一般小売消費は前年比4.2%増加が見込まれているが、レアル高で輸入品に急増したために、国内生産は消費増加分を下回った。

Ipea では民間消費支出を9月の4.3%増加から今回は4.2%増加に下方修正したが、公共支出は1.8%から2.0%に上方修正、公共投資(FBCF)は 6.0%で横ばい、鉱工業成長率は3.5%から2.8%、インフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、3.2%から3.1%にそれぞれ下方修正し た。

輸出は1,360億ドルから1,371億ドル、輸入は924億ドルから928億ドル、貿易収支黒字は436億ドルから442億ドル、経常収支黒字は106億ドルから130億ドル、為替はR$2.19からR$2.18にそれぞれ上方修正している。

2007年の公共投資は7.4%増加、鉱工業成長率は4.1%、IPCAは4.3%、貿易収支黒字は372億ドル、平均Selic金利12.4%、平均ドル値はR$2.25 を予想している。(6日付けエスタード紙)


ルーラ政権4年間で銀行の純益は倍増

ブラジルの50大銀行の今年9ヶ月間の純益総額は、前年同期比21.2%増加の234億レアル、ルーラ政権初めの2003年9ヶ月間の純益は127億レアルと4年間で倍増した。

ルーラ政権4年間の銀行の純益は、カルドーゾ政権8年間の純益を上回っているが、消費者ローンの拡大、エフィシエンシー・レシオ増加に伴うサービス収入の増加、IT部門への投資によるコスト削減が純益増加に繋がっている。

しかし今年第3四半期の純益は、ブラデスコ銀行、イタウー銀行及びウニバンコ銀行がそれぞれ買収・合併に要した資金を決算したために、昨年第3四半期の69億レアルから60億レアルに下げている。

今年9月の総資産は、昨年同月比17.3%増加の1兆5,839億レアル、純資産は17%増加の1,451億レアル、預金総額も14.4%増加の6,669億レアルとなっている。(6日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


Hering社はフランチャイズ店舗増加

衣料メーカーのHering社は,今年5月に米国のコンサルタント会社Bain&Companyと契約して、消費者や小売販売業者対象に調査を行なったが、まだまだ人気ブランドであることが判明した。

この調査結果及びコンサルタント会社のアドバイスをもとに、フランチャイズ店舗の拡大路線を選択、売上げの45%を占めるフランチャイズ店舗からの売上げを60%まで引上げる。

現在のHering社のフランチャイズ店は139店舗、小児服専門店は38店舗で、5年以内に倍増する計画である。また既存のフランチャイズ店に対して店舗改修に低金利の融資を行なう予定である。(6日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


ブラジル産和牛を倍増

ブラジルの和牛及び交配種は1万頭が飼育されているが、そのうち南マットグロッソ州で80%が飼育、残り20%はサンパウロ、バイアとゴイアス州で飼育されている。

月間100頭から150頭の和牛が有名レストランを中心に卸されているが、3年以内に年間5,000頭を市場に卸し、また海外への輸出も視野に入れているために、飼育頭数の倍増が急がれている。

有名レストランRubaiyatでは、自社経営の牧場で5,500頭の交配種の飼育を計画して、アルゼンチンからのヨーロッパ原産のAugus種の高級牛肉の輸入量低減を検討している。和牛は霜降り部分が多くて柔らかいために、30%から40%もブラジルのネローネ種の高級牛肉よりは割高である。(6日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


【ブラジル経済情報】 速報 12月05日

7億5,000万レアルの外債発行

4日、ブラジル連邦政府は、レアル建の償還期間15年物のグローバルBRK2022を7億5,000万レアル分起債、今年3回目のレアル建外債発行で13億レアルを海外投資家から集めた。

今回の外債の年利は11.663%で、前回9月の同外債の年利12.466%から更に低下しているが、海外投資家は強いレアル通貨にかけている。

今回の外債発行でブラジルのカントリーリスクは更に低下、また連邦政府はレアル建外債BRL202以外に、今年7回の外債発行で47億5,000万ドルを集めている。(5日付けエスタード紙)


11月の対アルゼンチン貿易収支黒字は3億5,100万ドル

11月の対アルゼンチン貿易収支黒字は、今年8月の4億2,400万ドルに次ぐ3億5,100万ドルを記録、また今年11ヶ月間の累計貿易収支黒字は、昨年同期比5.9%増加の34億9,000万ドルを記録している。

ブラジルの出超は42ヶ月間連続で記録しているが、11月のアルゼンチンからの輸出は、前年同月比19.9%増加の7億2,200万ドル、小麦が50%増 加でトップ、その次には石油製品やナフサなどの石油化学製品であったが、米国に次ぐブラジルへの輸出国2位の地位を中国に明け渡した。

11月の対アルゼンチン輸出額は、前年同月比17.7%増加の10億7,300万ドル、主な輸出製品は自動車、トラック、自動車部品、セルラー、プラスチック製品や自動車用鋼板やエンジンであった。(5日付けエスタード紙)


ブラジルの競争力は最下位

アメリカ商工会議所のBRICs諸国及びメキシコ対象の2000年度の国際競争力調査では、ロシアが最下位で、ブラジルは4位であったが、今年はメキシコと並んで最下位にランクを下げた。トップは中国でインド、ロシアが続いている。

この競争力調査は世界銀行の24項目調査、国連及びインターナショナル・トランスパレンシーのコスト、汚職度、ブロクラシーなどの多項目に亘ってチェックされている。

ブラジルの競争力で足枷になっているのは、世界で最も高い金利、企業設立や税関通過のブロクラシー、インフラや高い汚職度であるが、海外からの直接投資、安価なエネルギーコストなどは競争力を押上げている。(5日付けエスタード紙)


サンパウロの高速道路の通行料金は割高

ブラジルの貨物輸送の40%が全国で最も整備されたサンパウロ州内高速道路を利用しているが、高速道路の通行料金はキロメートル当り0.12レアルで、他州の0.07レアルよりも大幅な割高になっている。

またサンパウロ州内を三つの国道が縦断しているが、そのうちのサンパウロ市-クリチ-バ市間を結ぶ国道BR-116号線及びサンパウロ市-ベロ・オリゾンテ市の国道BR-381号線は民営化されて、通行料金が徴収される予定となっている。

またサンパウロ市内を迂回するためのサンパウロ環状線道路は、民営化が予定されているが、サンパウロ市役所が市内のマルジナル道路を民営化すれば、大半のトラックが環状線道路を利用するために、混雑が予想されて交通渋滞緩和にならない。(5日付けガゼッタ・メルカンチル紙)


【ブラジル経済情報】 速報 12月04日

来年の消費者ローンは30%増加予想

連邦政府は投資増加による経済成長率5.0%を目指して、経済政策を来週中に発表するが、現在の経済成長率の牽引車は消費者ローンであり、Selic金利が13.25%まで下がってきており、来年の消費者ローンは25%から30%の伸びが予想されている。 

今年10月までの消費者ローンは、昨年同期比21.8%増加の1兆8,900億レアルに達しており、来年も5年連続で二桁の伸び率が予想されている。

今年10月の消費者ローン月利は、昨年同月の7.58%から7.43%、年利は140.31%から136.32%とそれぞれ低下してきており、また自動車ローン支払いが平均24ヶ月払いから30ヶ月払いと容易になってきており、最長では72ヶ月払いとなっている。(4日付けエスタード紙)


ブラジルの製鉄業界も再編を迫られている

ミッタルスチールとアルセロールの合併により、世界の鉄鋼生産量の10%を占める1億1,000万トンに達する巨大製鉄会社誕生で、ブラジルの製鉄業界も早急な再編を迫られている。

ブラジルの3大製鉄所の一角を占めるCSN製鉄は、生産量が500万トンのCorus製鉄から81億ドルのオファーを受けており、インドのタタ製鉄と買収劇を争っているが、買収に成功すれば世界ランク48位から一挙に13位に上昇する。

またゲルダウグループは北米での地位を固めており、今年は5億7,800万ドルを投資して6製鉄所を買収、ウジミナス製鉄も500万トンの製鉄所建設を検討している。

世界10大製鉄所の生産量は世界総生産量の40%を占め、総計2,000ヵ所の製鉄所で12億トンの鉄鋼を生産している。(4日付けエスタード紙)


セメント業界はコークスの替わりに工業ゴミを活用

セメント業界は石油価格の高止まりや環境問題などで、輸入コークスや天然ガスの替わりに中古タイヤ、工業用溶剤や汚染土壌の活用を始めており、47ヵ所のセメント製造工場のうち36ヵ所ですでに開始している。

代替燃料活用のパイオニアであるヴォトランチン・セメント社では、1991年から工業ゴミを活用しており、今では16ヵ所のセメント工場のうち11ヵ所で実施しており、今年は9%に相当する34万5,000トンの代替燃料を使用、来年は15%まで比率を上げる。

欧米では1970年代から工業ゴミの代替燃料の使用が進んでおり、スイス、ドイツやベルギーでは、工業ゴミの使用率が40%以上に達しており、米国では年間120万トンの工業ゴミが使用されている。(4日付けヴァロール紙)


【ブラジル経済情報】 速報 12月01日

メキシコ向け自動車輸出枠撤廃

ブラジルとメキシコは、自動車通商協定の輸出枠を撤廃、2007年から自動車は自由貿易となり、ブラジルへの自動車業界への投資増加が予想されている。

現在の両国間の自動車通商協定では、メキシコへの輸出枠は年間21万台であり、2000年からメキシコに輸出された自動車は、100万台で100億ドルに達するが、メキシコからの自動車輸入は、僅かに3万4,200台で10億ドルであった。

今年10ヶ月間のメキシコへの自動車輸出額は、すでに20億ドルに達しているが、輸入は僅かに3億7,000万ドルであるが、ドル安の為替はメキシコからの自動車輸入に拍車をかけており、今年は2万2,000台が予想されている。

メキシコからの輸入車は、主に中型車のフォード社のFusion車やワーゲン社のBora車が主力であるが、2007年は3万7,000台、2008年は4万8,000台の輸入が見込まれている。(1日付けエスタード紙)


履物業界は生残りをかけて北東部で生産

安価な中国製や為替の影響で、大きなダメージを受けているブラジルの履物産業の中心地であるサンパウロ州のフランカ市では生残りをかけて、安価な製品の生産拠点を北東部に移している。

世界の履物産業の65%を占める中国製履物は、主な輸出先である米国市場を奪われているブラジルの履物業界は、中国製合成革靴に対抗するために、生産コス トを下げる目的で賃金コストが25%安いセアラー州に進出、Democrata社はセアラー州カモシン市に、今年4月に製造工場を増設、日産1万足の 45%を生産している。

またフランカ市では、イタリア、オランダやスペイン向けの高級革靴製造に絞り込んで、中国製品が席巻できないニッチ市場開拓で生残りをかけている。(1日付けヴァロール紙)


11月の投資は金が7.23%でトップ

11月の投資は金が7.23%の利益を上げてトップとなり、今年11ヶ月間の収益は17.23%で株に次いでおり、サンパウロ平均株価指数 (Ibovespa)は、国際石油価格の高値継続や米国の金利の見通しが明確のシナリオが追い風になって、6.80%の利益を上げ、今年11ヶ月間の収益 は、25.34%でトップを維持している。

中国の高い経済成長率に牽引されて世界経済は好調を維持しており、サンパウロ平均株価は5年間継続して上昇中であるが、証券取引所としては異例であり、今後の株価の動きに注意を要する。

確定金利ファンド及び銀行間金利預金(DI)ファンドの収益はそれぞれ1.20%、10万レアル以上の銀行預金(CDB)は1.06%、商業ドル 0.98%、並行ドル0.85%、5,000レアルまでのCDBは0.83%の収益で、インフレ指数の総合市場物価指数(IGP-M)の0.75%を上 回ったが、ポウパンサ預金は0.63%でインフレ指数を下回った。(1日付けエスタード紙)


第3四半期の投資率が上昇

第3四半期の経済成長率は前期比0.5%に留まったが、投資比率は予想の1.8%を上回る2.5%を記録、前年同期比6.3%と大幅に上昇、今年11ヶ月間でも6.0%の伸びを記録している。

経済成長率を大幅に上回る投資率の伸びは、第4四半期の経済成長率の物価上昇を伴わずに引上げる効果が期待でき、エコノミストは今年の投資伸び率を6.0%~6.5%、経済成長率を3.0%と予想している。

2005年の投資はGDP比19.9%であったが、今年は20.9%までの上昇を見込んでいるが、持続的経済成長率を達成するには、GDPに対する投資比率25%が必要である。

第3四半期の投資拡大は、活況の建設業界への投資及びドル安による資本財輸入増加が大きく寄与しているが、一方で輸入増加で繊維業界は大きなダメージを受けている。(1日付けエスタード紙)

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