ブラジル経済情報 - 2004年12月

【ブラジル経済情報】 速報 12月22日

PPP法案成立は来年3月以降へ

官民合弁の民活的公共事業施行を規制する「PPP法案」は、21日の上院本会議で可決されたが、下院議会でさる3月に可決された内容が手直しされたため下院議会に差し戻され、来年3月から再度審議の運びとなる。PPPはコンセッション契約で支援方と管理型に分かれる。前者はサービスを享受するユーザーから料金を徴収するほか、公的パートナーが民間パートナーに行う支払いを含む。後者は公的機関が直接、間接的ユーザ-であるサービスの提供に関する契約で、工事の施工や施設づくりも含む。

PPP式工事は工費2,000万レアル以上であること。公的部門の参加率は事業の80%まで。人的開発指数(IDH)が全国平均を下回る地方における事業の場合は例外で90%まで認められる。連邦、州、市の支払う料金額が全体の70%を超える場合、事業実施には立法府の承認が必要。PPPの最高年数は35年とする。PPP事業に費やす連邦の出費総額はその純年間収入額の1%を超えてはならない。州、市についても同様で、それぞれは契約前にその旨を上院議会及び国庫に報告しなければならない等々(22日付けエスタード紙)。

なお、21日の上院議会は遺伝子組み替え大豆の栽培を認めるとする暫定措置令223号を可決した。大統領のサイン待ち。


為替切り下げしないとパロシ財務相

1ドルが20日にR$2.70を割り、フルラン通産開発相がドル安続きで来年は輸出鈍化、貿易黒字が04年度比37%減の200億ドル止まりと警告しているが、パロシ財務相は21日、エスタード紙記者との会見で、ドル安は世界的傾向。政府が為替市場に介入することはない、と言明している。ブラジル・リスクは388ポイントに低下している。


ブラジルの国内総生産高、世界第12位

ブラジルの国内総生産高(GDP)は、今年末に5,980億ドルに達し、いままでの世界第15位から12位にあがる。GRC・ビゾン・コンサルタント会社の予測。6年前にブラジルのGDPは7,880億ドルで世界第8位だった。

なお、トップは米国1兆1,746億ドル、ついで日本4,780億ドル、ドイツ2,734億ドル。04年度末現在予測(22日付けエスタード紙)。


【ブラジル経済情報】 速報 12月20日

全国小売、10月に8.46%の伸び

ブラジル地理統計院(IBGE)調べによる10月の全国小売は前年同月比8.46%の伸び。9月の同指数が9.25%だったので、10月は前月の伸びを下回ったことになる。今年1~10月は9.27%、過去12ヵ月では7.76%の伸びとなった。しかし、小売の伸びを促進させた与信に限度があり、所得増も余り期待できないとあって、今後は伸び幅が縮み、月間6%から8%になろう。


メルコスール・サミット終わる

さる17日のミナス州オウロ・プレットにおけるメルコスール・サミットにおいて、新たにペルー、エクアドル、コロンビア、ベネズエラが準加盟国となった。同会議では対外共通関税修正にはふれず、また、財貨輸入関税統一リスト、自動車及び砂糖問題も議題に上らなかった。これに代わって域内4ヵ国における対外共通関税(TEC)の二重課税廃止(パラグアイにとっては厳しい)や加盟諸国政府の買い付け入札に域内国の企業がそれぞれに参加出来るようにすることで規制を定めた。他に域内小国の競争力強化を目的とする(パラグアイとウルグアイ対象)構造基金が創設された。これはしかし早期実現はない。インド及び南部アフリカ関税同盟(Sacu。南ア含む)からの輸入品に対する関税の引き下げも決定。次期半期の議長国はブラジルからパラグアイに移った。


政府、07年までに115億レアルを投資か

連邦政府は今週末までに公共投資対象工事リストをまとめて国会に提出する予定。IMFと約束している一次財政黒字(金利のぞく)に含めないですむ分で、05年度は輸送、灌漑、開発研究等に27億レアルを追加する。これを併せ07年までに16のプロジエクトに合計115億5000万レアルが投資される。輸出振興のため道路関係の場合、すでに予算に14億レアルが設定されているが、これに25億レアルの追加となる模様(20日付けエスタード紙)。


【ブラジル経済情報】 速報 12月13日

ドル安、米経済の行方とブラジル

世界的な流れのなかでブラジルもドル安。さきごろは一時R$2.70を割りそうなところを中銀が買い出動して押し上げた。ブラジルの新聞もドル安の行方を懸念する。強いドルを標榜しながらのドル安容認の米国。各国が外貨準備をドル中心からユーロに切り替えるのではないかに対して、「世界の準備外貨ユーロの合計は従来13.5%だったのが03年に19.7%に増えただけで、まだドルが圧倒的に多い。また、11月までに対円でドルは7.5%切り下がっているが、8,400億ドルの国債準備のうち7,200億ドルを米債券に投資している日本は、米国庫債の方がドイツ国債よりも利回りが大きいし、今後も米金利は上がる。反対にEUの金利は下がる可能性さえあるとの見方から変更の動きはなさそうである」との観測。

ブラジルにとって、ドル安が今後もつづけば輸入が増え、輸出に支障をきたす。農産物のなかで大豆は11月までに31%近く低下、綿花は40%近い値下がり、トウモロコシは同15,7%である。一方の生産コストは04/05農年度に6割近いアップ(ブラジル農務省発表)。今年並みの農産物輸出を来年継続することは困難視される(12、13日付けエスタード紙)。


公共債務の対GDP比率初の低下

ブラジルの上記比率は03年に58.7%だったのが、今年は53%か54%に低下見込み。1994年に30%だったのがその後、高金利と為替切り下げのために上昇していたもの。公式記帳外にあったエスケレット(骸骨)と呼ばれる債務を表面化したのも原因だった。1999年に財政一次収支黒字をGDPの3.23%に引き上げ、上記比率の上昇を食い止めた。03年に同黒字は4.32%に達し、今年は10ヵ月で5.6%に来ている。IMFとの約束目標は今年4.54%である。90年代の経済危機要因の一つが取り除かれようとしている。

しかし、IMFの元チーフエコノミストのkenneth Rogoff氏は、公共債務とGDPの比率は20%がのぞましいという。前途遼遠である。なお、同氏は、今回の世界的ドル安現象を見越し、警告を発していた(13日付けエスタード紙)。


アルゼンチンとの貿易紛争、メルコスール首脳会議危ぶまれる

メルコスールは創立10周年を迎え、その式典をかねてミナス州オウロプレット市で今週「メルコスール・サミット」が開催されるが、先週の亜伯の「セーフ ガード」をテーマの交渉が不調に終わり、クスコにおける南米サミットに亜のキルシネル大統領をはじめパラグアイ、ウルグアイ大統領が代表を送るだけで揃っ て欠席したことが影響する。17日の首脳会談が気がかり。サンパウロ大学のジルベルト・ヅパス教授は、メルコスールの容体を病院の集中治療室(UTI)に運ばれた患者に例える(12日付けエスタード紙)。


【ブラジル経済情報】 速報 12月08日

ルーラ大統領信頼度高まり63%へ

(7日)全国工業連合(CNI)が調査機関Ibopeに依頼した政府支持率調査(11月24-29日)結果は、経済回復により大統領信頼度が前回58%から63%に上昇したと伝えられる。政府評価におけるポジチブとの回答も同38%が41%に。同調査では、2006年の大統領選挙におけるルーラ大統領の支持率は42%。一方、野党PSDB(ブラジル民主社会党)のセーラ次期サンパウロ市長が立候補した場合33%の支持率で、決選投票に持ち込まれる予想である(エスタード市)。


中銀のドル買いで為替2.74レアルへ - 株価は下落

(7日)中銀のドル買い出動で、7日の相場は終値が1ドル=2.748レアルだった。前日比1.07%アップ。中銀は明らかにしていないが、6日に500万~1,500万ドル、7日に5,000万~7,500万ドル買い上げたのではないかと推測されている。一方、ボベスパ平均指数は、同日行われた大規模電力競売が期待外れだったために電力株が下落。また、国際鉄鋼価格がピークに達したとの見方から鉄鋼株が売られたのも原因で2.51%の下げを演じた。引け値は25,000割れの24,998ポイントだった。


電力競売、価格は政府予想よりも28%安つける

(7日)政府は7日、既存発電所の電力を競売に付し、合計17,008メガワット平均をR$720億で売買した。政府が当初予想した金額を28%下回った。安値は配電会社の消費者価格に転嫁されるが、売り手側にとっては不利で新発電プロジエクトへの投資意欲がそがれるとされる。発電業者一部はメガワット/時あたり110レアルを予想したが、93レアルを超えず、時間がたつにつれドンドン下がった。2005年契約は平均R$57.51/MW。同06年は同67.33。07年同はR$75.46だった。火力発電には妙味がないという業者もいる(エスタード紙)。


南米サミット、メルコの亜・ウ大統領欠席

(8日)今日からペルーのクスコで開催される南米サミットは、「南米共同体」設立をめざすが、メルコスール加盟国アルゼンチンのキルシネル大統領、ウルグアイのバトレ大統領は欠席。パラグアイのドウアルテ大統領も7日夜まで出席未確認。フオクス墨大統領はオブザーバーとして招かれていたがこれも欠席。12カ国の政治・貿易統合をめざすイベントにしては力強さに欠ける。ルーラ大統領は午前中に出発、正午にクスコ到着予定(エスタード紙)。


【ブラジル経済情報】 速報 12月02日

貿易、11月は27億ドルの黒字

(1日)11月の貿易収支は輸出81億5,900万、輸入60億8,200万で20億7,700万ドルの黒字だった。1~11月の黒字累計は301億9,600万ドルで、政府の今年度目標の320億ドルにあと1歩である。過去1~12月はすでに329億ドル強で、今年の政府目標額を超えた(エスタード紙)。


経済指標好転で株価高騰、ドル安さらに

(1日)国内総生産(GDP)が第3四半期に前年同期比6.1%アップ、輸出は引き続き好調などを受けて、ブラジル・リスクは2日に402ポイントに下がった。一時は396ポイントに来た。同日、国際市場でC-ボンドは0.56%アップ、額面の101.25%で取り引きされた。

ドルはさらに下押し1ドルが2レアル71で引けた。サンパウロ平均株価は0.42%上げ、ボベスパ指数は2万5000ポイントを突破、2万5,234ポイントで終わった。出来高は15億7,600万レアル(エスタード紙)。


自動車販売好調、年内154万台達成か

(1日)さる11月の自動車販売台数は13万8,800台で、前年同月比6.5%増。前月比も1.4%増である。乗用車、軽商用車、バス、トラックを合わせたもので、今年の販売台数は140万台。昨年の同期比11.3%増である。 乗用車及び商用車(販売全体の90%を占める)だけで131万台の販売。

メーカー別に見ると、トップはGMでシエアー24.4%。ついでフイアット23.8%。以上はエスタード紙の速報。公式数字は全国自動車工業会(Anfavea)が近く発表予定。


ペトロブラス、新精油所建設を早める動き

(1日)ペトロブラスは、07年に着工を予定している新精油所を今後、燃料消費が急増すれば早める方向にある。04年に燃料消費量の伸びは2.4%と予想していたが、すでに3.5%伸びた。05年に経済成長がさらに高まれば着工前倒しに踏み切る。カンポス油田に近いサンパウロ、リオ、エスピリト・サント3州が新プラント誘致を争っている。

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=33267