ブラジル経済情報 - 2004年11月

【ブラジル経済情報】 速報 11月30日

国内総生産、第3四半期は6.1%の伸び

(30日)ブラジル地理統計院(IBGE)が30日に発表したところによると、第3四半期の国内総生産(GDP)の伸びは昨年の同期比6.1%で、過去8年間における最高。前期比は1%の伸び。今年第1~第3四半期は5.3%の伸びとなった(エスタード通信)。


サンパウロ市内のガソリン販売店に手入れ

(30日)サンパウロ市警察は、今日30日から市内のガソリン販売店取り調べを行う。溶剤混入ガソリンを売る店が増え、知らずに使った消費者が迷惑を蒙ることは早くからマスコミによって取り上げられている。当局では今回120名を動員、訪問先の店からサンプルを抜き取り、これを検査に回すもの。保安局によると、最低100店を対象とする(エスタード通信)。


国家保安軍、ビトリア市の治安維持に出動

(30日)ビトリア市内のバス10台焼き討ち事件のため、21日からブラジル陸軍部隊が大ビトリア圏内巡回に乗り出しているが、今日30日から新設の「国家保安軍」が出動、軍隊と交代する。国家保安軍は各州軍警兵、消防隊員の選りすぐりをもって構成されるエリート部隊。市内では連邦、州政府による麻薬密売業者の暴力犯罪取締りが行われているが、これが妨害されており、麻薬犯罪者らを収容する刑務所問題もからんでいる。

市内の商店街では、19日から店主らに麻薬犯グループから脅迫電話が寄せられていたが、トレビザ(家電量販店)が27日夜、焼き討ちにあった。29日早朝にはビマギ(シュラスカリア関係)では爆弾が破裂、鉄扉が曲がり、ガラスが飛び散った。29日、店主たちは怖れて店を閉めた(UOL通信)。


米、ブラジルの輸入低調を問題視

(29日)世界貿易機関(WTO)が4年に一度行う貿易査問会で29日、ブラジルの貿易政策が問われた。米国にとって好機会。ブラジルの輸出が伸び、輸入が低調なのをとらえ、ブラジルが輸出を伸ばし、輸入を抑えて行く現行方針には限界がある。ブラジルはサービス及び工業財の部門を開放する必要がある、との意見。また、ワシントン、ブリュッセル、東京はブラジルに対して金融サービス、運輸、電気通信、情報の諸分野の開放を求めた。豪州は鉱業分野の解放を、スイスはこれら分野解放が外国からの投資に魅力的とし、チリもサービス部門の解放を求めた(30日付けエスタード紙)。


【ブラジル経済情報】 速報 11月25日

PMDB離反食い止めに政府躍起

(24日)最大政党のブラジル民主運動党(PMDB)が、10月末の市長選挙(第2回目投票)結果を見て、連邦政府との連立から身を引く動き。ルーラ大統領は24日、同党の下院議員76名中の64名を昼食会に招き、引き止めにつとめた。内閣改造を目前に控えているところから、PMDBに大臣ポストをふやす方針だが(現在2名)、同党は一枚岩ではなく、ルーラ大統領派、サルネイ上院議長派、カルドーゾ前大統領派等に分かれる。上院議員は22名おり、政府は離反を何としても阻止したいところ。

政府側は昼食会後、「PMDBは引き続き政府支持の姿勢」としているが、同党の独立方針貫徹の気運をくずすことは出来なかった模様。来る12日の党全国大会の結果待ち。


政府ドル買いに出る - 対外債務返済への外貨調達

(24日)中銀は24日、国庫が今年12月から来年6月までが期限の対外債務返済にあてる約30億ドルを国内市場で調達すると発表した。このドル買い情報により連日下げ続きだったドルは上向いたが、0.4%の上げR$2.755で引けた(エスタード紙)。


ペトロブラスのタンカー42隻建造プラン動き出す

(24日)トランスペトロ(ペトロブラス系)は今日24日、合計42隻、総工費約40億ドルのタンカーの入札に関する業者資格選考告示を配布に踏み切る。発注は2回に分け、最初は22隻で向こう60日以内に最終告示(エジタール)を出す。残り20隻はそのあと。国内在外国企業にも応募が認められる(エスタード紙)。


海賊版取締り審議会発足

()トマス・バストス法相は24日、所有権侵害・海賊版撲滅審議会のメンバー就任式を挙行した。7省、国会、連邦警察、道路警察、民間社会の代表者らをもって構成されている。政府調査によると、全国で海賊版取引に動くお金は年間560億レアル。タバコ、酒、燃料、CDなどで、メルコスールに浸透、とくにパラグアイでさかん。ブラジルでは正規労働者200万人がこれらの取引によって失業しており、脱税総額は年間推定84億レアル。海賊版の製造業者や密輸業者を逮捕するほか、販売店を閉鎖させるために05年から活動開始(エスタード紙)。


【ブラジル経済情報】 速報 11月22日

大ビトリア圏の警備に軍隊出動 - ミナス州で土地なし農民5名射殺

(22日)さる18日から21日にかけて、大ビトリア圏内で10台ものバスが焼き討ちされた。エスピリト・サント州のパウロ・ハルツング知事は軍隊の出動を要請、昨日から軍隊によって市内に厳戒態勢が敷かれている。公立校の夜間授業は中止、夜間の運行バス台数は減り、州警兵隊が護衛にあたる。軍隊が引きあげるめどは立たない。

州警兵隊の機動部隊が刑務所警備を固めたのに抗議する囚人らの指導による、当局のもぐり運送業者抑圧への反抗、あるいはこれらの業者間の対立など原因が挙げられている。

一方、ミナス州ではジエキチニョニャ渓谷のノ-バ・アレグリア農場(フエリスベルグ郡。ベーロ・オリゾンテ市から731km)では20日夜、覆面武装集団が土地なし農民(MST)のテントを襲い、テントを焼き5名を射殺、13名を負傷させた。州警兵隊が出動した(エスタード通信、エスタード紙)。


先進国、債務国規制

(21 日) ベルリンで開催されていた先進諸国と開発途上諸国による世界20ヵ国中央銀行総裁会議(G20)は21日に終了したが、ブラジル提案の将来、金融危 機やデフオルトに瀕した債務国の取らなければならない措置、対する貸手国の対応を定める規制が承認され、パロシ伯財務相及びメイレレス伯中銀総裁は満足の 態度だった。アルゼンチンは欠席した。①デフオルトの場合、債務国は特定債権者を優遇してはならない。債権者側は短期クレジット、銀行間クレジットラインを保持する。②一方的な行動に出ない。常に交渉による解決に努力する。③金融危機に陥った国は、経済回復に向けてとる政策を常に明確にする。貸手国による債務国の金融経済関係指標へのアクセスが保障されること。④債権国、債務国双方の間に立つクレジット委員会を設ける等々。


京都議定書発効はブラジルに有利 - 懸念もあるが

(19日)、ジエトウリオ・バルガス財団(FGV)において持続性研究センター(CES)主催の環境会議が開催された。ロシア上院議会が04年10月27日に「京都議定書」を承認したことを受けて、京都議定書発効はブラジルにとって非常に有益といった点が協調された。カーボン・クレジット市場に参加できる点。一方、同議定書の第2期、2012年から必ず開発途上国にも地球温暖化防止のためのガス排出量削減が義務付けられる。それはブラジルの場合、アマゾニアにおける熱帯雨林の伐採防止義務となって現われるといった点が懸念された。


【ブラジル経済情報】 速報 11月18日

Selic金利、年17.25%へ

(17日)中銀通貨政策委員会(Copom)は17日、経済基本金利(Selic)を0.5ポイントパーセント引き上げ年17.25%とした。先行きインフレ懸念が原因。1有力エコノミストによると、広範囲消費者物価指数(IPCA)が月0.4%から0.45%であればよいが、0.50から0.55%のレベルに来たため、ドル安、原油価格下落にも拘わらずSelicは引き上げられた。1専門家は「金利引上げは投資家の投資意欲をそぎ経済回復を妨げる。今年のクリスマス商戦に響く」と悲観的な見方をする。

政府の債務はSelicの0.5ポイントパーセント引き上げによって、向こう12ヵ月間に20億レアル増える。今後もSelic引き上げがあり得るが17.5%が限度だろうとする見方、来年18.25%に行くという悲観的見方もある(18日付けエスタード紙)。


上院議会、司法改革法案を可決

(17日)の上院本会議で「司法権改革法案」第2回目の投票が行われ、賛成56票、反対2票で可決された。提案されてから可決までに13年の歳月が流れている。要点は新設される司法、検察審議会による外部からの裁判所、検察庁のコントロール(しかし、不正・汚職判事を退ける権限はない)、連邦最高裁(STF)が判事11名中の8名の賛同を得てとられた判決は第1審判事にとって判例になる(義務的)など。これによって最高裁の裁く件数は8割方減る。しかし、「骨抜きで改革とは言えない。バンソウコウを貼ったにすぎない。ノロノロ裁判は今後も変わりなく続く」と批評する判事もいる(18日付けエスタード紙)。


韓国の盧大統領来伯

(16日、17日)韓国の盧武絃(ロームヒヨン)大統領が11月16日に来伯した。盧、ルーラ両大統領の間で「メルコスールと韓国の自由貿易協定」締結をめざす共同研究約定、また、鉱物資源類及びエネルギー開発をめざす覚書が交わされた。

民間ではバーレ・ド・リオドーセによるポスコへの鉄鉱石供給契約。両社はマラニョン州に製鉄所を設立する計画。

来年第1四半期にブラジルの技術ミッションが訪韓、韓国から同ミッションが来伯、エネルギー面における新プロジエクトの可能性を調査する。他方、ペトロブラスとSK石油間で戦略協定が交わされた。

ブラジルが採用するデジタルTV標準についての話し合いもあった。ルーラ大統領が05年5月に訪韓するので、そのさいに情報技術分野における協力協定を交わしたいともする。中小企業家80名が来伯、ブラジル企業家とのコンタクトを行った。

投資する韓国企業

・ LG社 セルラー電話増産をめざしタウバテー工場増拡に5000万ドルを投資。年産240万個を05年405万個、06年には650万個に増大する計画。03年の売上6億ドル。

・ サムスーン社 国内テレビ市場の20%獲得目標。95年にいったん製造に着手したが中途で断念、捲土重来を期す。高価なAV分野に主眼をおく。今年は電算機モニター、セルラー、HDD等の販売で7億ドルの売上予想。

2.5-ベトナムのトラン・ドゥク・ルオング大統領来伯

ルオング大統領は16日に来伯した。エンブラエルは、ベトナムの航空会社にジエット旅客機を売り込むことに同国政府の了解を取り付けた。

ベトナムの国民総生産(GDP)は400億ドル(03年。世銀データ-)で、年間経済成長率が年平均7%。05年には8.5%成長期待。アジアで最もめざましい伸びを見せている。ブラジルとの年間貿易額は往復5000万ドル(以上、17,18日付けエスタード紙)。


【ブラジル経済情報】 速報 11月17日

ブエノスのシチバンク、ガリシア銀行で爆弾事件―1人死亡

(17日至急報)ラナション紙のオンライン情報によると、ブエノスアイレスのシチバンク支店で爆弾事件が発生、警備員1人が死亡した。ガリシア銀行支店でも仕掛け爆弾が破裂したが、人命に別状はなかった。しかし、店内客は一時パニック状態に陥った(エスタード通信)。


17日の為替、株式

()正午過ぎのサンパウロ為替相場は16日のR$2.80割れを継続、17日にはR$2.76レアルをつけている。一方、ボベスパ平均株価は1.8%の上げを示している。


アレンカール副大統領とラムスフイールド米国防長官会談

(16日)第6回米州国防相会議が今日17日からエクアドルの首都キト市で開会されるが、同会議に先立ち、ラムスフイールド米国防長官とアレンカール伯副大統領(国防相兼任)が16日に同市で会談した。ラ長官は、ブッシュ米大統領の優先課題である国際テロ防止戦略で、ブラジルをはじめ米州各国が汎米防衛委員会(JID)に協調するよう求めた。ラ長官は、自爆テロなどのテロ行動への最良の対応処方箋は、目下米国がイスラム諸国でとっている民主主義制度普及であると述べたとされる。ア副大統領は、自爆テロは新手のテロ戦術であり、ブラジルとしても懸念するが、軍諜報部を通して監視につとめており、その必要はないと感じると語った。同副大統領は今日の開会式に「武力による抑圧だけでなく、飢えと貧困をなくす事もテロ撲滅手段である」と演説する予定。米国案にはカナダが賛成しているのみ。

なお、南米における各国の軍備予算は世界の他地域に比べて少なく、最高はチリの対国内総生産(GDP)4%。ついでコロンビアの同3.7%、エクアドル3%、ブラジルは2.3%。経済不況下のアルゼンチンは1.4%。

●JIDは米州各国の軍隊によって対ナチス、ついで冷戦下における対共産主義封じに貢献した。欧州における共産主義の瓦解後JIDは新しい役割を求めている。米国はラ米各国政府に対して、21世紀の軍隊が従来の国土防衛のみでなく、組織犯罪や汚職対策及び地域における司法上の不備を補うなどの役割を担う事を求めている。これは米国の大企業体の対ラ米投資関係利害を反映するもので、これら組織犯罪や汚職のはびこりが投資の妨げになっているというもの。犯罪関係統計数字は世銀データ-に基づく。治安→投資→経済発展をはじめて結びつけたものである(15、16、17日付けエスタード紙)。


サントス銀行、中銀介入下に - 投信は営業停止

(16日)12日に中銀が介入したサントス銀行(業界21位、エジマル・シジ・フエレイラ頭取)に執政官としてバニオ・アギアール氏が任命された。顧客は各自2万レアルまでの引き出しを認められる。一方、有価証券取引委員会(CVM)は、同行系投信の営業を30日間の停止処分に付した。同行の経営難は早くから噂されていて、最近取り付け騒ぎがあって中銀の介入となったもの。

中銀は、公的総資産6億レアルの同行は1億レアルの債務超過としているが、市場筋はこれを上回るのではと見ている。経営者らは身売りを考えている模様だが、大手銀行筋では食指が動かない模様。

なお、労働者党(PT、与党)がサンパウロの本部建築に集めた資金が同行に預金されたために党首脳部は困惑している。党首脳部は金額を発表していないが、1ショ-で40万レアルを集めたことが報じられている(16、17日付けエスタード紙)。


伯銀頭取辞任、社経開銀総裁も辞任意向

(16日)カシオ・カセビ・ブラジル銀行頭取は16日辞任を表明、パロシ財務相が同日辞任を発表した。ロサノ・ピント同行国際部門担当副頭取が後任に任命された。対外不正送金、コンサルタント不正雇用、労働者党(PT)本部建築融資のためとしての1ショー入場券のまとめ買い - 等で評判が芳しくなく、プラナルト宮、バロシ財務相の信頼を失っていたもの。

一方、メイレレス中銀総裁を表面だって非難した社会経済開発銀行(BNDES)のカルロス・レッサ総裁は、ルーラ大統領の判断で解任決定とされていたが(大統領補佐官はこれを否定)、先週末に辞任をほのめかした事か明らかになった(16日現在。17日付けエスタード紙)。


中国の勝利

(17日)のエスタード紙論評は、さきごろ来訪し、数々の商談をまとめ大きな成果を挙げて帰国の途についた中国の胡錦濤主席(Hu Jintao)との交渉においてブラジルが得たものについて焦点をあてている。

それによると、ブラジルは中国が「市場経済国」であることを認めた。これは貿易上の譲歩以上のものである。世界貿易機関(WTO)の加盟147国中ブラジルは23番目に、中国が市場経済国であることを認めた。ブラジルは中国から貿易上の譲歩以外に国連安全保障常任理事国入りへの支持を取り付けた。

しかし、中国が市場経済国であることを認めるのは、ブラジル政府が今後中国のダンピング行為に対して打つ手を制限されることにつながる。WTOの制約下におかれる。ブラジルの企業界からは受ける損失が大きいと非難されている所以である。察するに「戦略」という言葉の見解に中国側とブラジル政府側の間に大きな相違がある。ルーラ大統領は南南同盟のフアンタジ-に生きるが中国にはそれがなく、他国の空想をうまく利用して利益を得るという事のようだ。


【ブラジル経済情報】 速報 11月10日

ルーラ大統領、連立党議員らに6億レアル交付約束

(9日)政府発令の21の暫定措置令が、政府支持党所属下院議員らの不満が原因で審理・表決作業がおくれて3ヵ月になる。国会議員に割り振る予算は今年12億レアルも計上されているが、実施はその16%で、これが不満の原因。放置すれば政治危機に発展する可能性があり、ルーラ大統領は9日、政府支持党リーダーらと会議し、6億レアル交付を約束した。

上院及び下院議長の再選法案も原因。議長選挙は来年行われるが、再選にはその旨の補足案承認が必要。再選を狙うジョン・パウロ下院議長が何時、他議員らの意表をつき油断しているときに表決にかけるか分からない。とくにいま政府から離れようとするブラジル民主運動党(PMDB)議員らが警戒している。パウロ議長は、「下院議会空転が議長再選反対にあるのならば、補足案を引っ込める」と語っている(10日のエスタード紙)。


胡錦濤主席、12日ブラジリアへ - 企業人400人を引率

(9日)中国の胡錦濤主席が12日ブラジリアでルーラ大統領と会談。まず、ブラジル産牛肉輸入への中国市場開放は固い。中国はブラジルに対して、中国が市場経済国であることを公式に認めるよう求めるであろう。認めればブラジルに対する中国の投資が増えるという。ついで中国とメルコスールの自由貿易地域設立も交渉テーマにあがろう。問題はメルコスールの加入国パラグアイが台湾と国交を持っていること。ブラジル側からは、ブラジルの国連安保常任理事国入りへの中国の支持取り付け。これは日本とのかねあいから中国がどう回答するか。ブラジルはまた、中国の大豆輸入問題が全面的に解決するよう希望する(10日付けエスタード紙)。


GM、サンセバスチオン港から自動車輸出

(9日)伯GMは生産の20%を輸出しているが、メキシコ向け輸出をサンセバスチオン港に切り替え、飽和状態のサントス港積み出しよりも20%の経費節約になるとされる。最初の積み出しが9日行われた。当日はアルキミン州知事が出席した。


政府の抜本的な航空業界支援策詰め延期

(9日)国防相交代が原因。9日に予定されていたパロシ財務相、ジルセウ大統領官房長官とバリグ航空代表間会議も見送られた。市長選挙が終わり、インフラエロ公社によるバリグの空港使用料滞納分の支払い催促が始まろう。一方、バスピ航空は市場占有率が一時の9分の1、4%台に落ち、経営逼迫状態。身売りの話も出ている(10日付けエスタード紙)。


【ブラジル経済情報】 速報 11月05日

サンパウロ市のインフレ、ICV指数では0.53%

(5日)サンパウロ市の10月の生計指数(ICV)は0.53%で、9月の0.29%に比べて大幅アップ。調査元の労組間社会経済調査統計所(Dieese)は、殆どの品目において値上げが見られたという。燃料アルコール7.54%、ガソリン1.88%、ジーゼル油1.82%、砂糖1.26%、健保・医療保険料1.74%、外食費1.22%、食料0.72%など。Dieeseは、給料の引き上げではなく、クリスマスが近づいたのが原因だろうと見る。  一方、サンパウロ大学系FIPE調べによる10月の消費者物価指数(IPC)は0.62%で、これも9月の0.21%に比べて大幅アップである(5日付けエスタード紙、同通信)。


増給は実質6%が一応の基準か

(4日)サンパウロ、リオ、ポルト・アレグレ、ベーロ・オリゾンテ各市の銀行員労組は 4日、インフレ目減り分カバー及び実質1,8%から6.07%(取得給料額によって異なる)のアップを盛り込む銀行側との合意を受け入れた。 一方、単一労センター(CUT)系金属労も4日、サンパウロ州工業連盟(Fiesp)の第9グループ(機械、家電、他)とのベア交渉をまとめた。過去12ヵ月のインフレカバー分にプラス実質4%(給料2,950まで)。2,950レアル以上の給料には一律250.75レアルのプラス。他方、フオルサ・シンジカルは、同第9グループ及び第3グループ(自動車部品、ねじ、錬鉄)と鉄鋼、鋳造部門との間に過去のインフレ目減りカバー及び実質4%アップで合意している。あとは第10グループ(機械、鉄工等)が残るだけ(5日付けエスタード紙)。


不動産ローン資金、来年はR$120億へ

(4日)連邦貯蓄銀行(カイシャ・エコノミカ)のマトゾ頭取によると、今年の不動産融資資金合計額は100億レアルで、来年は120億レアル予想。同行は先週、マイホーム購入を奨励する方策を発表しているが、ローン利用者が増えるためには経済成長と共に経済基本金利のSelicを下げる必要があるとされる(5日付けエスタード紙)。


ビエガス国防相辞任、アレンカール副大統領が兼任

(4日)軍政時代の1974年に獄舎内で不慮の死を遂げ、拷問死ではないかとされていたウラジミル・ヘルゾグ記者らしき写真が外部にもれ出て問題となり、軍部が声明を出したが、その内容に納得が行かないとして、軍首脳部と意見対立していたビエガス国防相は4日辞任した。アレンカール副大統領が国防相兼任となった。なお、これが引き金となり、来年2月のカーニバル後に内閣改造、との推測がなされ始めた(5日付けエスタード紙)。


【ブラジル経済情報】 速報 11月03日

ブッシュ優勢、米大統領選挙

(3日)米大統領選挙の開票作業はきょう夕刻終了予定とされるが、中間発表ではブッシュ大統領が選挙人数で254を獲得、ケリ候補が252と接戦が展開されている。ブッシュ陣営では大統領は286人を予想、再選は固いと見ている。全米得票数総計はブッシュ候補51%、ケリ候補は48%である。

国際金融界ではブッシュ勝利の見通しからドル買いが始まり、日本時間の3日午後10時には1ドルが106円55銭をつけている。

ブラジルに対する影響だが、どちらが勝利しても余り大きな変化はない。ケリ候補が勝てば保護貿易ロビイストや労組とのつながりが強いため、今後のFTA交渉が厄介になるとする見方がなされている。なお、3日正午のサンパウロ市の為替相場は1ドルがR$2.84、ボベスパ平均株価は1.84%の上昇。


全国第2次市長選挙 - 与党はサンパウロ、ポルト・アレグレで敗退

(1日)第2次市長選挙は10月31日に行われた。

サンパウロ市では、セーラ候補(ブラジル民主社会党=PSDB)が333万票、54.86%を獲得、対立のマルタ候補(労働者党=PT、現市長)に9.72ポイントの差をつけて当選した。  一方、従来PT勢が強く16年間にわたって抑えて来たポルト・アレグレ市では、ジョゼ・フオガッサ候補(社会民衆党=PPS)が53.32%の獲得票で、前市長のラウル・ポンチ候補(PT)に6ポイントの差をつけて勝利。ついでクリチーバ、ゴイアニアなどの州都及びサントス市でもPT候補が敗退、連邦政府に大きな痛手。

とくにサンパウロ市では、ルーラ大統領がマルタ候補への投票を呼びかけ、選挙裁判所から罰金を言い渡された。また、主要閣僚が肩入れし、他方、政敵で不正対外送金の疑惑によって告発されているマルフィ候補に支持を求めるなど、なりふり構わぬ必死の攻勢に出たが、その努力も空しくマルタ候補は一敗地にまみれた。“マルタッシャ”とやゆされた税金攻勢に嫌気がさし、減税を公約したセーラ候補支持に回った有権者が少なくなかったのも原因の一つと見られる(各紙)。


貿易収支、10月は30億ドルの黒字

(3日)10月の貿易収支は、輸出88億4,300万ドル、輸入58億3,600万ドルで、30億ドルの黒字。今年1-10月黒字累計は281億ドルとなった。通産開発省(MDIC)発表。

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