企画戦略委員会(田中一男委員長)、コンサルタント部会(佐々木光部会長)並びに電気電子部会(松田雅信部会長)共催の「ブラジルに於けるデジタルTVの普及の見込みと中南米諸国での日伯方式採用の可能性に関する」勉強会が8月28日午前10時から11時まで35人が参加して開催、地上デジタルテレビ規格(SBTVD)に係る技術移転・標準化ワークショップで講師を務めた中京テレビの山中強司専務取締役、電波産業会の横尾忠晃理事が講演を行なった。
進行役は田中一男企画戦略委員長が務め、初めにテレビ実機提供のパナソニック社、セットボックス実機提供のプリモテックス社に御礼を述べた後、初めに横尾理事がブラジルに於ける日本方式採用SBTVD決定までの過程、SBTVDに係る技術移転・標準化、人材育成支援、電気電子産業支援並びにファイナンス分科会で構成される共同作業部会の役割について説明した。
また2003年末に開始された日本のデジタル放送関係では昨年末までに3,000万台のチューナー内蔵型のデジタルTVが普及しているが、未だに7,000万台のアナログTVが存在、アナログ放送が終了する2011年には3,000万台のアナログTVが存在すると見込まれているために、政府は格安チューナー対策などの必要性に迫られる。
日本の年間広告費は6〜7兆円規模であり、テレビ2兆円、新聞1兆円、インターネット広告が5,000〜6,000億円規模にまで増加してきているのに反比例して、新聞広告がシェアを失ってきている。視聴者が満足するコンテンツ、セルラーを通して低額な有料コンテンツ事業、格安コンテンツのダウンロードなども広がってきていると説明した。
続いて山中専務取締役は地上デジタル放送の魅力として16:9のワイド画面、リア・スピーカで臨場感と迫力を感じるハイビジョンの高画質、ゴーストのない鮮明な画像、1週間先までの番組情報がテレビで見られ、簡単な録画、暮らしに役立つデーター放送、インターネット接続などでの双方向サービス、複数番組のマルチ編成、高齢者・障害者に優しい字幕放送、通常ワンセグと呼ばれる携帯・移動体向けサービスなどを紹介した。
またブラジルに於けるデジタル放送の円滑な導入支援とともに、ブラジル政府と連携しながら他の南米諸国が日本方式採用に積極的な働きかけを行なっており、ウルグアイは昨年8月にヨーロッパ方式を採用したが、今回のワークショップには放送開始時期未定のアルゼンチンから政府関係者が多数参加、チリ、ベネズエラ、エクアドルなどは今年中の方式決定が予想されているが、米国やヨーロッパも導入売込みにしのぎを削っていると説明した。
質疑応答ではローヤリティ支払い、南米諸国の導入予想、放送用コンテンツ、セットボックス価格、デジタルTVとパソコンの融合、コンテンツの知財権などが質問され、最後に佐々木光コンサルタント部会代理のジェトロ・サンパウロセンターの原宏次長が閉会の挨拶として、デジタルTV放送はハード・ソフト両面ではビジネスチャンスが大きいが、注目されている割には導入している会員が少ないとコメント、またコンサルタント部会では9月中の政治セミナー開催を予定していると述べた。
左から講演者の中京テレビの山中強司専務取締役/電波産業会の横尾忠晃理事
熱心に講演を聞く参加者