10月の懇親昼食会が19日正午からルネッサンスホテルに105人が参加、マサミ・ウエダ高等判事が「社会平和に向けた、市民、企業、社会、司法がいどむべき事」と題して、個人の力には限界があり、国民が団結することが不可欠であり、団結して初めて社会の調和が誕生するのであり、1908年から開始した日本移民のコロニー社会や商工会議所などは良い例であり、また商工会議所からの講演招待に対して厚いお礼を述べと共に、よく整備された会議所の定款や組織は素晴しい例であると説明、法律はコンセンサスの結果で遂行の義務があるが、日系社会の間では譲り合いの日本人の精神が残っており、権利を盾に主張しないために、余り裁判沙汰にしないが、ブラジルでは自分の主張、権利を盾に訴訟を起こすので、話合いで解決できる日系社会に学ぶことが多いと説明した。
例えば、ジュセリーノ・クビチェック大統領が、リオから未開地のブラジリアに首都を移転させる世紀の大工事を発表した時に、多くの政治家や国民から夢見る空想家と批判されたが、クビチェック大統領は、日本移民がブラジリアで野菜を供給するので、首都移転しても大丈夫であると、政治家などを説得したとの日本人に対する厚い信頼の逸話を述べた。
我々は困難な時代に生きており、またブラジルの経済発展が中々進まないのも、司法制度が一端の責任をおっており、早急な改革が必要であるが、危機は危険であるが、裏返せば構造改革のチャンスでもあり、20年以内にはBrics諸国の一因として、世界の大国の仲間入りを果たしているのは間違いないと述べた。
日進月歩で進むクーロン技術、再生医療の胚性幹細胞技術や情報通信技術などのように、司法改革も進歩しなければならず、悪法は良い結果を生み出さず、米国憲法は1787年に制定されたが、200年間に20回以下の改正しかされていないが、ブラジルでは1988年の新憲法から、すでに54回の改正が行なわれており、対話の精神の欠如であると述べた。
ブラジルの訴訟件数23万件に対して、日本では僅かに1万5,000件しかなく、すぐに裁判沙汰にするのではなく、日本人のようにお互いが合意できるように、話合いで解決するのが最善であると講演を締めくくり、田中信会頭から記念のプレートが贈呈され、盛大な拍手が送られた。
懇親昼食会は平田藤義事務局長が司会を担当、初めに特別参加のマサミ・ウエダ高等判事、サンパウロ総領事館の丸橋次郎首席領事が紹介され、連絡事項では渡邉裕司コンサルタント部会長が10月27日の焼酎・梅酒蔵元見学会の案内、山田唯資監事会議長が2008年度常任理事選挙の案内を行なった。
続いて3分間スピーチでは憩の園の吉岡黎明理事長が新イベント館の案内、アルモニア学園の和田忠義理事長が新アルモニア学園プロジェクト、Marshコンサルタント社のパウロ・バプチスタ副社長が駐在員幹部の経営上の義務について、マリンガ市のシルビオ・バーロス市長が日本公園建設について、サンパウロ新聞の鈴木雅夫編集長がいっこく堂ショーについてそれぞれスピーチを行なった。
会社代表交代では日本スチールの浅賀健一前社長が帰国挨拶、杉山俊美新社長が新任挨拶を行い、新入会員紹介ではエイシン・デスッパッショ社のマサハル・タニグチ代表、第一三共の林氏、サクラツールの吉原正浩代表、エゴンゼンタ・インターナショナルのレナット・ソウザ・ネット取締役がそれぞれ挨拶を行い、田中会頭から会員証を受取った。
講演、3分間スピーチや新入会員紹会を熱心に聞く参加者
田中会頭/マサミ・ウエダ高等判事/押切日伯法律委員長
中央が特別参加の丸橋次郎首席領事
帰国挨拶する新日鐵の浅賀健一前所長/奥は着任挨拶を行なった杉山俊美新社長
講演するマサミ・ウエダ高等判事