2月定例昼食会

2月定例昼食会が2月9日正午から102人が参加して開催された

ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)の2月定例昼食会が、9日正午過ぎから午後2時までソフィテル・ホテルで、ゲストにセルジオ・メンデス穀物輸出連盟会長(ANEC),丸橋次郎首席領事を迎えて開催された。

ゲストスピーカー紹介後、山田唯資監事会議長が昨年の第4四半期の会計・事業監査報告を行い、KDDIの久永公紀社長が帰国挨拶をして、事業を引継ぐUBIK社の岐部ルイス氏を紹介、スズヨロジスティック社の堀池紀之社長は村田エリカ新社長を紹介した。新入会員商会ではブラスティック・ブラジル支社のクラウジオ・エンド社長が挨拶を行なった。

その後の3分間スピーチではデロイト社最高顧問の鈴木孝憲氏が経済成長加速プログラム(PAC)の要旨と題して、第二次ルーラ政権の経済政策のアドバルーンであるPACプログラムでは、政権最終年の2010年までに5,039億レアルの大型投資を実施して、今年の経済成長率を4.5%、その後3年間は5.0%まで引上げる投資を行なって、貧困や所得格差や社会も歪みを極力是正するプログラムであると説明した。

またGDP比28.5%に相当する大型投資であり、輸送ロジスティック部門に11.6%相当の538 億レアル、電力・エネルギー開発部門に2,748億レアルの54.6%、電化整備・上下水道整備、住宅などの社会・都市部門投資は1,708億レアルの 33.4%が割り当てられるが、未だ各州知事との話し合いを行なわれておらず、各知事との駆け引き後では投資部門や投資先の地域変更が予想される。連邦政府からの資金供与は678億レアルが予定、残りは国営企業や民間からの投資を予定しているが、果たして民間からの投資誘致ができるのか分からない。

また連邦政府は通称小切手税と呼ばれるCPMF税などの徴収を2016年まで延期を予定しており、資金源と考えているようであるが、国会の審議を待たなければならないし、2017年までの中長期的には公務員サラリーや最低賃金の上限を、インフレ指数に参考金利指数等を連動させる動きもあるが、インフレが高騰した場合のリスクが大きいと疑問を投げかけた。

4年間で5%の経済成長持続するために、5,039億レアルの投資額を逆算して出したように思われるが、果たしてその数字が正確なものかもわからないと説明した。またPACによる減税額が66億レアルのみであり、昨年の税負担率はGDP比37.85%に達しており、どのように民間からの投資が誘致できるのか、大いに疑問が残ると結んで講演を終了した。

続いてセルジオ・メンデスブラジル穀物輸出連盟会長(ANEC)は、「ブラジルの穀物生産、インフラ、輸送並びに輸出の見通し」と題して、初めに最近の大豆の輸出について、大豆油のような加工品輸出が低下してきたのと反比例するように、大豆そのものの輸出が増加してきた。1997年に大豆も国際商品相場はピークであったが、ここ数年は高値で推移して売上げは伸びているが、レアル高の為替で大豆生産者は収益性を圧迫されている。

また大豆輸出量は最終10年間で3倍増になってきているが、ブラジルの輸送コスト面で、長距離のトラック輸送が60%以上を占めており、米国やアルゼンチンと比較しても輸送コストが20%以上も高くなっており、昨年のブラジルの穀物輸送は1トン当たり 56ドルであったが、米国は17ドル、アルゼンチンは14ドルと比較にならず、輸送ロジスティック面の解決が急がれている。また長距離のトラック輸送で輸送中に28%の損失を計上、米国の6%、アルゼンチンの7%の損失と比較にならない。

1996年の一次産品輸出促進のために設けられたICMS税免税のカンジール法発令後、セラード地域での大豆生産・輸出は大いに増加したが、2005年以降はレアル高の為替で収益性が激変してきており、大豆の大生産地であり、大豆輸出がブラジルで一番のマット・グロッソ州の輸出量は大幅に低下してきている。

また日本向け大豆輸出は、2005年の40%はアマゾナス州イタコアチアラ港であったが、昨年はサンタ・カタリーナ州サンフランシスコ・ド・スール港が50%、エスピリット・サント州のヴィトリア港画40%近くを占め、大豆輸出では米国向けが18.0%でトップ、アルゼンチン8.5%、中国は前年比23.9%と大幅に増加して6.1%、オランダ4.2%、ドイツ4.1%で殆どが二桁増加したが、日本向けはマイナス12.6%で、僅かに2.8%を占めたに過ぎない。

2004年のアジア向けの非加工の大豆輸出は45%のシェア、2005年は47%、昨年は 59%と大幅に伸びてきているが、日本向けは毎年シェアを落としてきており、特に中国向けが毎年二桁増加で、食糧確保を着々と進めてきているのに反比例するように、日本向け輸出が減少してきている。中国向け大豆油の輸出は毎年減少してきており、安価な原材料を輸入して、自国で加工してコストダウンを図っていると説明した。

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