Ciesp支援、サンパウロ総領事館主催の西川りゅうじん氏の講演会が8月17日午後6時から開催された
サンパウロ工業センター(Ciesp)支援、サンパウロ総領事館主催の西川りゅうじん氏の講演会が、8月17日午後6時からCiespビルの講演会場に200人が参加して開催された。
進行役は中谷アンセルモ国際課重役が務め、初めにCiespのクラウジオ・ヴァス会長、続いて西林万寿夫総領事が西川りゅうじん氏の歓迎の挨拶をおこなった。
西川りゅうじん氏は、初めに2008年は日本移民100周年にあたり、ここまでよくがんばってきた日系人に敬意を賞したい。また日系人を受入れてくれたブラジルに感謝、今では日本中でブラジルの魅力が紹介されており、ブラジルからの出稼ぎが28万人に達しており、中には大成功している日系人も多いと紹介した。
「入」とも見える2人組みのシルエットを見せたが、ワールドカップ決勝戦でのジダン選手の頭突きのシルエットであり、これをビジネスチャンスと見た中国人ビジネスマンは、デザイン登録をして1,500万円で売り出しており、商魂たくましいを解説した。
ブラジルとの試合では、ジーコ監督に敬意を賞して1点プレゼントしてくれた可能性はあるが、そのあとはブラジルサッカーの底力を見せられたが,ロナウジーニョ選手は日本製品とフランス製品のために活躍できなかった。それは試合直前までプレイシテーションに夢中になっており、またフランス製の子猫と毎晩遊んで体力を消耗していたので活躍できなかった理由を紹介して、笑いの渦に包まれた。
ブラジル選抜を率いたパレイラ監督が引退、だれも首相になると思わなかった小泉首相も9月に引退するが、離婚したままでファーストレディのいない首相ははじめてであった。小泉首相の後援会で引用したダーウインの言葉「生残る生物は変化に対応できる生物である」の言葉通り、ブラジル企業家はハイパーインフレを生き抜いてきた。日本も10年間失われた時期であったが、今後の大きな変化に対応できる企業が生残っていく。
小泉首相の引退に伴う総裁選で最も総理のイスに近い安倍晋三官房長官は、一度も大臣の経験がないので日本国民は期待と不安を持っている。総裁選出馬の麻生太郎外務大臣は日伯議員連盟会長で、昔サンパウロに1年間働いたことがあり、谷垣禎一財務相は消費税を上げるといっている。また民主党は風力発電といわれており、風が吹かないと動かない。
日本経済も漸く長い不況からの脱出の兆しが見えてきたが、タクシーの運転手さんに景気を聞いたところ、忙しいと答えが返ってきたので良かったですねというと、運転手さんは客を探すのに忙しいといっていたと笑わせた。
GDP2位の日本はあちこちでクレーンがたっており、また日本女性は掃除機で吸うようにブランド物を買い漁っているが、以前が良すぎた。2002年から新たな黄金期になってきたと政治家は言っているが,企業家も経済回復していると感じ、設備投資を考慮、銀行での貸出しや個人消費も伸びてきている。
日本の一家庭当りの平均年収は400万円、資産が4,000万円、金融資産が1,500万円で大きな市場があり、元気がないとはいえない。中国は世界の工場といわれているが、人件費が安いためであり、ブラジルは人件費が安く,資源やセンスなどを持っており、BRICsではブラジルと中国は共食いになる部分が多いが、日伯間では日本にないものがブラジルにあり,補完の関係にあり、インドでITが伸びたのは米国との時差であり、日伯間の時差もおなじであると説明した。
ブラジルから日本へは鉄鉱石、鶏肉、パルプ、エチルアルコール、大豆、オレンジジュースやマンゴーなど一次産品輸出が多いが、日本の輸入に占める割合は僅かに0.68%に過ぎない。物の見方の例えとして、ある商人がある国に行き、誰も靴を履いていなかったので靴は売れないと思い、他の商人は無限の商売のチャンスと感じた。ここがポイントであり、日本でチリ産ワインやアルゼンチン産ワインが売れており、特にチリ産ワインのブランドが高くなってきたが、ブラジル産ワインが日本で売れないわけがない。それは誰もブラジル産ワインを知らないからである。ブラジルの技術力を知ってもらう必要がある。日本市場で宣伝しなければもったいない。日本側の対応が目に見えて改善されてきており、商品に付加価値を付けてソフトウエア、ファッション、宝飾品、オーガニック食品や家具などを売込むチャンスであると強調した。
2002年から日本でのブラジルのイメージが変わってきた。健康でおしゃれなブラジルが注目されだした。付加価値の商品が正当に評価されだした。ブラジル人はブラジルの文化、や製品などに自信を持つこと、無尽蔵の資源、広大な国土、多種多様な文化などすごいの一言に尽きる。ブラジルには海外最大の日系コミュニティーがあり、日本には28万人の出稼ぎがおり、どういう風に売込むか調べやすいしコンタクトが取れる。
一方日本には資源もない、国土が狭い、文化は画一的でしかもサッカーも弱い、日本は何もないから工夫して、海外に売り込むしか方法がない。地上デジタル方式の日本方式採用や二酸化炭素排出権取引など日伯間の経済関係も増加してきている。
また日本ではニューズウイークやヴォーグなどファッション雑誌などで、カナリア色のブランド特集が組まれており、水着、ビーチサンダル、化粧品、靴やバッグなどハイセンスなブラジルブランド商品が人気を集めている。日本男性は美人のブラジル人モデルにイグアスーの滝のような涎を流しており、Havaianaのビーチサンダルをハワイ製品と思い込んでいる。ブランドの語源は焼きゴテであり、ブラジルが注目されてきている今の熱いうちに手を打たないとブラジル製品のブランド化にならない。
サッカーでもビジネスでもチャンピョンになるのは簡単ではないが維持するのはもっと難しい。また営業やマーケティングなどの攻めとロジスティック、財務、人事や品質管理などの守りの両方出来ないと勝てない。紳士服、女性服、子供服はそれぞれ売り方が違い、同じ方法で売ることはあり得ない。政治では有権者を見方に付けた政治家が勝ち、ビジネスは消費者を見方に付けたほうが勝ちである。
輸入再開した1月の米国産牛肉の最初の商品で危険部位が見つかり、約束を破ったと輸入禁止したが、8 月9日に再開された米国産牛肉に対して、80%の消費者が危険部位の混入を心配、50%は米国産牛肉を買わないと主張しており、日本では物づくりにおいて安全、安心、信用が一番重要である。
日本では健康や環境に優しいライフスタイル、LOHAS志向が強く、焼酎がヒットしたのは赤ワインよりも血栓を溶かす効果があり、今では日本酒の消費量を上回っているが、10年前はデートのときに焼酎を注文した男性は振られた。日本は世界中で健康に良いものを探しており、グァラナ、マテ茶、グァバなど健康に良いものがたくさんあり、ピンガが売れないはずはない。また日本政府はガソリン燃料へのエタノール混入率を3%から10%に上げることを検討しており、決まるまでに時間はかかるが決まると速いのでビッグチャンスであると強調した。
六本木ヒルズは住宅棟や映画館もあり、2003年の開業からすでに5,000万人が訪れており、家賃は100万円であるが30 代の若い経営者で一杯であり、来年開業の東京ミッドタウンは家賃が500万円であるが、競争率は30倍であり、そんな人にジェット機を買ってもらう。ハイエンド層をターゲットにして高いものを売る。また独身女性が多いので消費も大きくターゲットにすればよい。
表参道ヒルズは2月にオープンしたがすでに650万人が訪問しており、原宿や青山で最もおしゃれなところであリ、日本も多様化してきている。また日本人は人と違うことを求めており、サンタ・カタリーナ産ワインをオンラインショップで販売し始めたら良いのではないか、大きなビジネスチャンスが来ているのでゲットして欲しい。私はブラジル大好き人間であるが、アルコールが切れてきたので、燃料補給させて下さいと講演を終えた。
質疑応答では日本からなぜブラジルに留学生が来ないのか、日本は教育に力を入れてきたが、仮に大統領になったら何をするかなどの質問に対して、的を得たアドバイスをテキパキとしていて、大きな拍手が送られた。