移転価格税制WGが収税局に対し実態マージン率の現状を報告(2010年12月6日

近々発令されると思われる暫定法発令に先立ち、ブラジル日本商工会議所の日伯法律委員会(松田委員長)所属の移転価格税制WGメンバーは、収税局との報告を兼ねた意見交換会に参加した。この意見交換会は在ブラジル日本大使館の献身的なフォローアップにより実現した。

収税局の参加者はモンベリ 法人所得税課長(去る4月16日の初回会合を含め2回目)、クラウジア・ピメンテル、サウロ・デ・ソウザ、フラヴィオ・テイセイラ、ロナウド・ラザロ諸氏。

日本側から説明のため平田事務局長/ホンダ:セルジオ・三宅氏/パナソニック:篠原副社長/デロイト:都築、フェルナンド・マトス両氏/セニブラ 高村(管理・財務担当取締役補佐)、ヴィトル・マルケス(管理・財務部長)/JETRO深瀬次長が出席。

なお、大使館からも今西参事官、前田書記官、佐久間書記官、河合専門調査員がフォローのため参加。

第3回貿投委会合時の初会合(今年4月16日)に比べ、今回はより建設的かつ具体性のある報告会であった他、また収税局が実態マージン率の報告を真摯に聞きながら、鋭い活発な質疑応答になった事が大きな前進。

昨年の暫定法MP478は投資環境整備の視点では企業から厳しい受け止め方をされ不評。特に税制の仕組みの理解度が低い新規投資家にとっては、ネガチブな投資判断要素である事を冒頭に説明、市場の実態を以下3点に要約し理解を求めた。

A) 価格下落の頻度、度合いに加え材料仕入れから製品出荷までのリードタイムが長いため適正なマージン確保が出来ない。

B) 過去5年間の平均値をベースにマージン率を設定するやり方では高すぎる。2008年の世界金融危機後の価格帯には充分に回復出来てなく又その見通しも厳しい。

C) 為替の変動調整は輸出だけではなく輸入にも大幅な切り下げがあった場合、製造リードタイムの長さ、市場価格が安定するまでの猶予期間の設定が必要である。

以上に対する収税局のスタンスは移転価格税制によりブラジル、2国間の貿易が阻害される事になってはならないと認識。OECD基準の国際ルールの採用は難しい。APAは当面考えていない。柔軟性と効率を考慮した制度を検討中との回答であった。

会議所の11業種部会の中でも特に自動車、電気・電子、機械・金属、化学品の4業種は移転価格税制の影響を最も蒙るため、去る11月18日アンケート調査を行い12月3日に纏め、6日収税局に対し業種別品目リストを提示。リストは製造販売、輸入販売に分けて作成、各々の業種の品名には関税番号の最上位2桁を付記、企業名を伏せ実態マージン率のみを報告。

去る4月の初会合においては業種別マージン率の提供を約束、本来なら上述4業種の個別平均マージン率の呈示だけでも良かったのだが、アンケート調査の結果、製造販売で機械3品目、化学品1品目、自動車3品目、電気電子9品目、計16品目を呈示した。

輸入販売では機械9品目、化学品4品目、2輪1品目、電気電子5品目、計19品目に及ぶ。機械、化学品を除く自動車、電気電子分野の担当者から各々マージン率の現状を説明、担当官等と活発な質疑応答を繰り返した。

多種多様な製品から構成、顧客により、競合により、新製品により、またコストや為替要因等で時代と伴に刻々変化するマージン率の特性について説明、最近の会議所訪問企業(進出意図をもFS企業を含め約200社)にとっては、ブラジルが採用する独特な移転価格税制を理解するのには極めて困難、7~8割の大半が進出の再検討を余儀なくされている現状やブラジル進出の日本企業数が日本から他のアジア諸国(中国、タイ、マレー、、、インド等)への進出数に比べ、極めて少ない事実について数値を挙げ説明、その理由が何に起因するのか示唆した。




 

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