ジェトロ・シカゴセンターの眞銅竜日郎所長の「中間選挙後の米国政治経済の展望」セミナーに25人が参加して開催

ジェトロサンパウロセンター(澤田吉啓所長)、コンサルタント部会(都築慎一部会長並びに日伯経済交流促進委員会(澤田吉啓委員長)共催の米国セミナーが2011年2月23日午後2時から4時まで25人が参加して開催、ジェトロ・シカゴセンターの眞銅竜日郎所長が「中間選挙後の米国政治経済の展望」と題して講演した。

眞銅講師はルーラ政権から引き継いだジウマ・ロウセフ大統領に注目しており、今年1月の大統領就任式にはヒラリー・クリントン国務長官、2月にはティモシー・ガイトナー財務長官が訪伯、3月にはバラク・オバマ大統領が訪伯を予定しており、ブラジルとの関係改善を重要視していると説明した。

眞銅講師が自ら作成した170ページに及ぶ非常に貴重な資料を基に「米国経済の現状と展望、超大国の特徴」、「中間選挙の結果と今後の政策課題」、「オバマ政権の経済・通商政策」並びに「チーム・オバマの顔ぶれ・米国と世界を動かす人材」の4セッションについて説明した。

初めに「米国経済の現状と展望、超大国の特徴」セッションでは中国のGDPは日本を追越して世界2位になったが、米国のGDPは依然として中国や日本の3倍の規模であり、少子高齢化の進行する日本に対して米国の人口は毎年300万人増加、今後景気回復に伴って経済が成長すると巨大エコノミーが生ずる好循環経済を継続すると米国経済の懐の深さを強調した。

世界金融危機で日本経済のマインドは非常に悪いが、米国は新築住宅の在庫消化は緩慢で住宅価格は一般的に落ち込んだままであるが、商業地域での落ち込みは観光地などよりも回復傾向にある。

オバマ大統領は未だに9%近い失業率の高止まりを憂慮しているが、新車販売台数は5年ぶりにプラスに転じてきているのは長期間に亘る倹約疲れの兆候も表れてきていると説明した。

また懸念されるデフレ、北アフリカや中近東で拡大している地政学的リスク、輸出には追い風となるドル安の為替、米中の貿易不均衡、懸念されるリセッション入りなど色々な要素が複雑に絡んでいるが、米国の消費者志向の変化として、「手の届く贅沢」、高感度ナンバーワンのオバマ大統領夫人の志向に合いそうな商品「ミッシェル・インデックス」並びに「新たな常識(New Normal)」嗜好の消費が拡大してきていると説明した。

続いて「中間選挙の結果と今後の政策課題」セッションでは2008年の大統領選挙では民主党のオバマ氏が大勝したが、実態は共和党が勝利した南部や中西部とは政治的に分断、9月11日のWTCや国防省本部庁舎テロによる米国民へのダメージ、イラク戦争やアフガニスタン戦争に対する米国人の意識やコスト、ティー・パーティ運動など一般的に知られていない一面を説明した。

また2年間のオバマ政権の成果としてあまり評価はされていないが景気対策法、ヘルスケア改革、ブッシュ減税延長を含む減税法成立並びに金融規制改革などを実現して公約を着々と実行、2011年一般教書演説では再選を前提とした演説を行って強かな政治駆け引きを行っている。

「オバマ政権の経済・通商政策」セッションでは対アジア、日本、中国政策として巧みな外交政策を展開、貿易による雇用創出,韓国とのFTA、環太平洋戦略経済連携協定(TPP)の重視、巧みなアジア諸国に対する通商政策などを説明した。

最後に「チーム・オバマの顔ぶれ・米国と世界を動かす人材」セッションではオバマ大統領の若くて多様な人種の閣僚人事、大統領候補の座を激しく争った最大のライバルであるヒラリー・クリントン氏の国務長官としての閣内の取り込みの意図、巧みな大統領首席補佐官など主要ブレーンの選択、注目される若手キーパーソンなどについて米国での豊かな経験、洞察力や幅広い人間関係から出てくるセミナーの説得力に参加者は圧倒されて惜しみない拍手が眞銅講師に送られて、素晴らしいセミナーが終了した。

「中間選挙後の米国政治経済の展望」資料1 ジェトロ・シカゴセンターの眞銅竜日郎所長
「中間選挙後の米国政治経済の展望」資料2 ジェトロ・シカゴセンターの眞銅竜日郎所長
「中間選挙後の米国政治経済の展望」資料3 ジェトロ・シカゴセンターの眞銅竜日郎所長
「中間選挙後の米国政治経済の展望」資料4 ジェトロ・シカゴセンターの眞銅竜日郎所長

左は講演者のジェトロ・シカゴセンターの眞銅竜日郎所長/ジェトロサンパウロセンターの澤田吉啓所長

配布された170ページに及ぶ資料を見ながら講演者の話に熱心に聞き入る参加者

中央奥は米国セミナー開催の挨拶を行うジェトロサンパウロセンター所長の日伯経済交流促進委員会の澤田吉啓委員長

 

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