ジルマ・ロウセフ大統領が公式に、ブラジル中央銀行の指揮権を掌握した。政府は2012年、基本金利を9%に引き下げる意向で、これについて大統領府のジルベルト・カルバーリョ事務局長はエスタード紙に対して、新たな利下げのための「余地がまだある」と説明した。この会見には行政府から別に高官2人が出席。ここで、明確な方針が示されたことで、種々の疑問が氷解した。つまり、大統領府に腹案があり、最終決定は大統領が下す、ということ。利下げペースの確保について同事務局長は、「慎重に」決定するとしており、主要な数値に関しては一切変更しない。中銀の事実上の独立性は90年代に採用され、ルーラ政権下でも第1次政権と第2次政権を通じて維持された。現在、連邦政府内部ではだれも明確に認めようとはしないが、この試みが終了したことになる。事務局長の表明に関して、それどころか8月最後の週以降に行われてきたロウセフ大統領とギド・マンテガ財務大臣の発言も含め、それ以外に解釈の仕様がない。
この一連の発言は、通貨政策委員会(Copom)が採用した利下げ発表の直後から始まった。一見すると、この判断は5対2の表決であり中銀の独立性が維持されていると解釈できないこともない。しかしわずか後、大臣と大統領の発言から、逆の解釈をすべきだということが確認された。彼らはひたすら、利下げが中銀の進むべき道だと力説し続けた。そして、9月30日には、大統領は国際的な経済危機の悪化への対策として利下げ容認の発言を行い、予想された以上に明確に、この事実を裏付けた。「今回は」と、大統領は口火を切って、「ブラジルは国外の状況に対する判断を誤ってはならない。蹉跌は容認されない」と発言しつつ、世界が不況とデフレに陥るリスクを考慮することを示した。これは、単なる願望を表明するようなトーンではなく、むしろ、中央銀行を政府の経済政策の武器のひとつに加えた人の発言だ。
財務大臣は3日、国際的な経済状況が悪化した場合に採用可能な対策に関して話をぶり返し、新たな利下げと銀行の法定準備預金の預金率の引き下げに言及した。彼がここで選んだ主語は「我々」だったわけだが、中銀と行政府の指揮権の分離に関しては一切無視していた。
利下げを指示するだけでなく、連邦の大統領はさらに、あらゆる状況証拠からして、インフレ・ターゲットの体制の緩和も実施する。中銀はこの事実について、先週発表した四半期報告書の中で別の表現を用いて認めている。発表された予測に基づけば、12カ月間の累積インフレ率がターゲットの中核(4.5%)に回復するのは2013年第3四半期(7―9月期)であり、しかもこの想定は提示された3つのケースの中で最も楽観的な場合だ。
インフレ対策の緩和は、大盤振る舞いの公約に加えて、効果的な緊縮財政、財源無き大幅な給与の引き上げとともに、市長・市議会議員選挙が実施される時期に導入されるだろう。同時に行政府は、国内のいくつかの業界でより競争力を高めるという無様な張りぼての口実で正当化した保護貿易政策を立ち上げる。競争力の促進にとって有効な施策は、きわめて粗末な公約や計画の中に埋もれてしまう。
先進国の経済危機の悪化に伴い、より良い通貨政策を求める質の良い議論が、間もなく起こるはずだ。第1ステップは、クレジットを拡大するために法定準備預金を縮小することだ。2008年と同様にドルを売ることで、外貨だての融資が払底した場合に補完策となり得るであろう。中銀は3年前、大規模な経済危機の初期にこれらの対策を緊急措置として講じており、大統領府が策定したバージョンと異なって財務省の対策よりも極めて効果的だった。
ところが政府は、迅速に対応することを優先した。中銀にリスクの高い対応を命じ、インフレの期待感をあおり、インフレ・ターゲット制度と通貨当局の信頼性を失墜させることを厭わずに。このような後退はブラジルに、きわめて高い代償をもたらすだろう。(2011年10月4日付けエスタード紙)








