4月の労働問題研究会に33人が参加して開催

企業経営委員会(上野秀雄委員長)の労働問題研究会が2012年4月19日午後4時から6時まで33人が参加して開催、司会は平瀬ワシントン副委員長が担当した。

初めにSouza, Cescon, Barrieu&Flesch Advogados弁護士事務所労働法部門のマリア・ベアトリース・ジアス弁護士が「雇用契約の事前協議に関する労働裁判所の見解」について、主に雇用契約事前協議の有効性に対する労働裁判所の見解について特にクレジット、保護サービス、警察機関、法的機関の協議について説明した。

ジアス弁護士は従業員の採用に関する面接では、次の質問は避けなければならないと指摘した。
志願者の年齢を尋ねる質問
婚姻状態、子供、扶養者、家族に関する質問
妊娠やチャイルドケアに関する質問
身長、体重、そのほか体型的なことに関する質問
医療歴や健康状態に関する質問
性志向、宗教、国籍に関する質問
雇用機会に関する政策は多くは差別禁止規制の遵守を義務付けおり、違反すれば、訴訟や罰金など厳しい懲罰を受けるが、職務遂行に必要な能力や経験に関する質問は問題ない。


また従業員採用の方法として以下を説明。
一般的な面接
運転免許の取得でも利用されている心理テスト
企業の治安保持の職種以外は禁止されている呼吸・脈拍・血圧など複数の生理現象の、電気的または物理的なシグナルとして同時に計測・記録する装置を使ったポリグラフテスト
医者や患者と直接コンタクトのある看護婦などの職種に対するエイズ検査並びに薬物検査は認められているが、一般のサラリーマンには聞取り検査を適用

続いてKanamaru Advogados弁護士事務所のナターリア・ゴンサルベス・カルバーリョ弁護士は、「企業内における個人情報保護(従業員のインターネット、Eメール使用)」について、2002年5月にGE社は勤務時間中にインターネットへのアクセス時間が異常に多い従業員33人を解雇したことをきっかけに、個人情報の保護について色々な議論されてきていると説明した。

コンピュータ経済協会の調査によると、2003年に米国企業の従業員による勤務時間中のインターネットへの過剰アクセスで53億ドルが失われたと算出、ネットワークス・アンリミテッド社は、従業員数が120人規模の企業では従業員による1年間にスポーツ関連サイトのアクセス時間は2400時間と算出しており、企業側では過剰アクセス防止に頭を痛めている。

会社のパソコン、インターネットは、業務のために用意された会社の資産であり
従業員はこれらを業務以外の目的で使用することは原則的にできないが、勤務時間中の私的なメールの送受信や業務には関係のないWebサイトを見ることを制限することは個人情報保護、プライバシー侵害の問題が絡んでくるから非常に困難であると説明した。

個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドラインとして
①モニタリングの目的、すなわち取得する個人情報の利用目的をあらかじめ特定し、社
内規程に定めるとともに、従業者に明示すること
②モニタリングの実施に関する責任者とその権限を定めること
③モニタリングを実施する場合には、あらかじめモニタリングの実施について定めた社
内規程を策定するものとし、事前に社内に徹底すること
④モニタリングの実施状況については、適正に行われているか監督、または確認を行う
ことから、次の点に留意してチェックを実施すればよい。
・チェック目的が合理的であること
あくまでも私的利用の監視を目的に行わなければならない。
個人のプライベート情報の収集などにモニタリング結果を利用していけない。
・責任者とその権限を定めること。
・就業規則に明記し、事前に社内に周知徹底することなど注意点を説明した。

左からKanamaru Advogados弁護士事務所のナターリア・ゴンサルベス・カルバーリョ弁護士/Souza, Cescon, Barrieu&Flesch Advogados弁護士事務所労働法部門のマリア・ベアトリース・ジアス弁護士/平瀬ワシントン副委員長(Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

33人が参加したセミナーの様子


 

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