福嶌 教輝 在サンパウロ日本国総領事の歓迎会も兼ねた9月の懇親昼食会に140人が参加して開催

9月の懇親昼食会は、2012年9月14日正午から2時過ぎまでインターコンチネンタルホテルに140人以上が参加して開催、ブラデスコ銀行チーフエコノミストのオタヴィオ・デ・バーロス氏が講演、司会は平田藤義事務局長が務めた。

初めに1977年に商工会議所監事に選出され、2000年10月から監事会議長となり、2010年12月末まで34年間にわたって任期を継続、また1988年に国際経済協力貢献者として日本の通産大臣表彰を受け、2001年に日伯修好100周年記念基金監査役に任命されたほか、2008年には日伯友好親善促進貢献者として、日本政府から外務大臣表彰を授与された山田唯資氏の8月25日の急逝に対して、参加者全員で1分間の黙祷を捧げた。

続いて特別ゲストとしてブラデスコ銀行チーフエコノミストのオタヴィオ・デ・バーロス 氏、 在サンパウロ日本国総領事の福嶌 教輝氏、早稲田大学特命教授(南米都市再生事業調査団団長)の伊藤 滋氏、元会議所専任理事/南米都市再生事業調査団事務局の林 恒清氏、大阪・サンパウロ姉妹都市協会 会長 / 元会議所副会頭の岡田茂男氏、サンパウロ日伯援護協会会長の菊池義治、氏、日伯文化連盟 副会長のロベルト・ヒライ氏,サンタクルス病院理事長のレナト石川氏、ブラジル全国青年会議所副会頭 /日本ブラジル青年会議所前会頭のファビオ・カワウチ氏、国外就労者情報援護センター(CIATE)理事長並びにHospital Santa Cruz 副理事長の二宮正人氏などが紹介された。

近藤正樹会頭は福嶌教輝総領事の歓迎の辞で、欧米や中国は軒並み経済が大幅に停滞している影響で、ブラジルも大きく影響を受けて今年の国内総生産伸び率は年初の目標である4.5%を大幅に下回るが、先進国よりも底堅い堅調な成長が期待でき、また連邦政府による一連の景気刺激策の効果や金利の引き下げ、海外からの直接投資、ワールドカップやオリンピックなどの大型インフレ設備投資などで、未来の大国が現実の大国になりつつあり、遠くて近い国のブラジルの重要性を官民一体となってオールジャパンで取り組んでいきたいと述べた。

メキシコやアルゼンチンで勤務した経験があり、ラテンアメリカに精通している福嶌教輝総領事は、昨日の早朝に到着したために右も左もわからないが、10年前と比較して若者が多くて活気のあり、ブラジルがどんどん発展してゆくエネルギーを感じていると述べ、1996年からアルゼンチン大使館に勤務、同年12月に在ペルー大使公邸占領事件が発生、発生翌日から現場に入って、田中克之サンパウロ総領事の陣頭指揮のもとで、翌年3月まで張り付いた経験があると述べ、最後に企業のビジネス環境整備や障害となっていることなどで困った時は気軽に相談して下さいと述べ、後藤隆元会頭が乾杯の音頭を取った。

福嶌教輝総領事は1958年8月27日、メキシコ生まれ、京都大学法学部を卒業、1981年に外務省に入省、1996年に在アルゼンチン日本国大使館の一等書記官となり、1998年に同館の参事官、同年8月には大臣官房領事移住部法人保護課法人特別対策室長、2000年に中南米局中南米第一課長、2003年に在メキシコ日本大使館参事官、2006年に在イタリア日本国大使館公使、2008年に大臣官房参事官兼欧州局、2010年には在スペイン日本国大使館公使を務めた。

渉外広報委員会の金原良有副委員長は、「ブラジル略語集改訂版スポンサー募集案内」について、この略語集は、事務局が2003年に新聞や雑誌などから約2400の略語を収集し作成、2003年初頭に出版、その後、引続き事務局が新しい略語を都度収録、ブラジル経済成長に伴い日本企業進出の増加しており、ブラジルにおける最新ビジネスツールが必要となってきていた経緯を説明した。

今年8月に行われた常任理事会において、①改訂版を作成する事、②作成は会員企業のサンパウロ新聞社、及びニッケイ新聞社にても新語を集録している為、協力を求めながらより完成度を高める事で同2紙に外注、③製本費は3月の総会にて承認済みの会議所予算、1.5万ヘアイスにて手当てする事が承認されたが、この改訂版を作成する外注費用として見積もりを実施したところ、5.5万ヘアイスが必要となっている。

この場を借りてスポンサー、協賛企業を募集、1口1.000ヘアイスから何口でも可能で協賛頂いた企業名は巻末に記載、出版会は来年3月を予定しており、商工会議所事務局にて販売、新規進出企業や既存企業の皆様のツールとして活用してほしいと説明した。

企業経営委員会の上野秀雄委員長は、「日本語労働法セミナー」開催について、9月26日午後4時から6時まで、フラビオ押切弁護士を講師に迎えて、ブラジル労働法の根底にある考え方や日本とは異なる文化・価値観から駐在員が戸惑う労務の諸問題、労務訴訟を未然に防ぐために押えておくべきポイントなどについて、易しく解説するセミナーを開催するので奮って参加して下さいと案内した。

ブラジル住友商事の岡 省一郎社長は着任挨拶で世界が注目するブラジルにこのタイミングで着任したのは非常にラッキーであると挨拶、新入会員紹介ではMAZDA MOTORの杉浦崇宏氏は、自動車部品の国産化比率やメキシコからの輸入自動車に対するメーカーへの割当制の導入などで困惑しているが、ブラジルの自動車市場は非常に大きいので頑張りたいと述べ、LICKS ADVOGADOSのオットー・バニョ・リックス氏は自社の業務などを案内した。

3分間スピーチでは、ジェトロの紀井寿雄調査担当ディレクターが「2012年度在中南米日系企業進出企業 経営実態調査協力のお願い 」について、この調査は中南米に進出する日系企業の動向を把握するために毎年実施、昨年は82社から回答があったことなどを説明して、経営実態調査への協力を要請した。

国際交流基金サンパウロ日本文化センター の深野 昭所長は、「まるごと日本語講座」の案内 」について、 長年、海外での日本語普及事業を行ってきた国際交流基金の経験とノウハウにもとづき、運営する講座であり、当基金の研修を受けた講師が学習コースを設計し、授業を実施、受講者は「JF日本語教育スタンダード」のレベルに基づいて、「日本語で何ができるか」という形で自分自身の熟達度を知り、具体的な目標を持って日本語が学べるようになると案内した。

ブラデスコ銀行の高橋大輔氏並びにJones Haruki Morimoto氏が「ブラデスコ銀行新サービス 」について、名称はプライム アジアンで所在地はAv.Paulista 1450 4F、対象となる顧客はAv.Paulista支店に口座を所有、サービス内容は日本語による口座開設、インターネットバンキング、海外送金など各種プライムサービスを説明した。

サンタクルス病院の石川レナト理事長は「サンタクルス病院」について、 1939年4月に同病院は誕生、名称も所在地に由来した「サンタクルス病院」と命名、同仁会は本部をサンタクルス病院内に移し同年10月には名称を”Sociedade Brasileira de Beneficencia Santa Cruz”(サンタクルス救済会)に変更、病院は地上5階、地下1階、ベッド数200の立派なもので、当時のブラジルでは最新の設備を誇り、総工事費のかなりの部分は母国である日本から受け、残りを当時はまだ経済基盤の弱かったブラジル国内の日本人が寄付した。

第二次大戦後、病院の経営権は主にブラジル人が占めていたが、1990年代に日系人も参加できるようになり、日系の病院としての事業運営、病院の改修、近代化に取り組んで現在に至っており、2階から4階が病棟で、どの階も中央がナースステーションで左右にV字型に病室が広がる配置となっており、2階は一般病室のほか冠状動脈疾患集中治療室(CCU)、 集中治療室(IUC)、骨髄移植の病室があり、3階はベッド数が一番多く、4階は眼科専門の手術室があるために眼科の手術患者が多く、入院期間が短い(通常日帰り)のが特徴、5階は中央手術室と 一般と脳神経専門の集中治療室(ICU)があり、また日本語によるチェックアップなどを案内した。

大阪・サンパウロ姉妹都市協会会長 /元会議所副会頭の岡田茂男氏は、『2020サンパウロEXPOを成功させよう』について、 8月6日にサンパウロ市役所のカルロス・フクハラEXPO準備委員会事務局長一行が来阪し、当協会および大阪市役所を訪問、11月にジウマ大統領がパリで正式に立候補し、2013年11月に開催地が決定される予定となっており、当協会内に桜井悌司理事を委員長とする『2020サンパウロEXPO 応援委員会』を設置、桜井理事はJETRO時代から万博には精通しており、サンパウロ市に対し如何にアフリカ票を取り込めるかがKeyとアドバイス、サンパウロ商工会議所も既に応援の意思表明をしていると聞いており、さらに一歩進めて『サンパウロEXPO支援委員会』の設置をオファー、立候補予定国の中ではブラジルが最有力でドバイが対抗馬と述べ、今年1月に大阪でのスピーチコンテストで優勝した本年度の交換留学生の小島知子さんは、日本の留学生を積極的に支援してほしいと参加者に依頼した。

南米都市再生事業調査団の伊藤滋団長は、日本のゼネコンや不動産会社は海外で発生している問題などを知らないために、7年前に同調査団を結成、日本の建築会社では戸田建設がブラジルで40年間に亘って唯一成功しているために、なぜ成功しているのかを調査予定、またワールドカップやリオのオリンピックに関する都市開発の現状を日本に伝えたいと説明した。

ブラデスコ銀行のチーフエコノミストのオタヴィオ・デ・バーロス氏は、「ブラジル経済成長の謎」と題して、2010年のブラジルの国内総生産(GDP)伸び率は7.5%と非常に高かったが、連邦政府はインフレ圧力を抑制するために金融引締め並びに欧米の景気減速の影響で、昨年のGDP伸び率は2.7%、今年は2.0%を下回る予想、ヨーロッパの債務危機や米国の雇用創出問題などで先行き不透明感が増加しているにも関わらず、リセッションには突入していないと説明した。

先進諸国は先を争って金融緩和のために金利を低下、ヨーロッパのGDP伸び率は伝統的に低率であり、ドイツはギリシャ並びにスペイン、ポルトガル国債の多く抱えているためにドイツ経済に影響を与えており、ヨーロッパ連合国の経済回復は今後5年間が必要、米国経済は今後ゆっくりと回復、製造業部門の再生が必要であるが、不動産危機は脱出傾向を示している。

中国経済の停滞はしばらく続くと予想、バーロス氏は中国の過去10年間のGDP伸び率、工業製品の生産、輸出の推移、また過去12カ月間の輸入、消費、不動産販売の推移、過去12カ月間の国際コモディティである鉄鉱石並びに石油、アルミ、ニッケル、銅鉱石の価格の推移などを説明した。

ブラジルのGDP伸び率に足かせとなっている要因として南部諸州並びに北東地域の旱魃による農産物の減産、ジウマ大統領は、不正入札疑惑が持たれていた輸送インフラ局(Dnit)のジョゼ・エンリケ・サドク・デ・サー局長を罷免してジルマ政権にダメージを与え、今年初めから排気ガス規制がEuro5に変更されたためにトラック販売が大幅に減少、住宅の需給問題、エタノール生産企業の負債増加による生産減少、石油精製所建設遅延による石油の輸入拡大、アルゼンチンの保護貿易などとなっている。

中銀が昨年8月から金利引き下げ並びにクレジット拡大を実施していなければ今年のGDP伸び率は0.8%から1.0%更に低下、製造業部門へのてこ入れでは社会経済開発銀行(BNDES)のクレジット拡大並びに連邦政府主導による銀行金利並びにスプレッドの低下、ドル高の為替、工業製品税(IPI)の減税政策並びに景気刺激策の導入、社会保障院(INSS)への積立金の20%の免除の代りに、売上の1%から2%を納付する積立金軽減措置の導入などで、今年のGDP伸び率は1.6%、来年は4.0%が予想されている。

今後のGDP伸び率を更に引上げるためには製造業部門の競争力の強化、公務員の削減、公共投資並びに民間投資の活性化、金利引き下げ、長期クレジットの導入、生産性とエフィシエンシーの向上、2013年から製造業部門の増産予想の要因として調整済みの在庫、経済活性化政策の効果の表面化、製造業にとっては理想に近い為替水準、輸入品に対する保護政策、過去最低の金利水準となっている。

2013年の農業部門はエルニーニョによる南部並びに中西部の降雨、米国の旱魃で大豆の国際価格が大幅に上昇してきているために、来年は大豆向け耕地面積の10%増加による25%の増産の予想されており、来年は製造業部門並びに農業部門の大幅なGDP伸び率が期待できると説明して講演を終了、近藤会頭から記念プレートが贈呈された。

平田事務局長は青年会議所が今年30周年を迎えたいきさつとして、1982年6月24日、当会議所主導で産声を挙げ、会議所内に拠点を持ったが、自立精神を養わせるため2003年にはその時期に最も適した場所でダイナミックに活動する事を薦めた結果、今日のように立派に成長、9月1日に30周年記念式典に出席、祝辞の後こちらも記念プレートを贈呈され、その御礼の意味もこめて30周年記念プレートを作成、本日会頭のダニエル・カワチの代理として参加している日本ブラジル青年会議所 前会頭で現在ブラジル全国青年会議所副会頭のファビオ・カワウチ氏へ近藤会頭から贈呈された。

オタヴィオ・デ・バーロス氏プレゼン資料(ポルトガル語)

在サンパウロ日本国総領事の福嶌 教輝氏 (Foto: Jiro Mochizuki)

ブラデスコ銀行チーフエコノミストのオタヴィオ・デ・バーロス氏 (Foto: Jiro Mochizuki)

歓迎の辞を述べる近藤正樹会頭 (Foto: Rubens Ito/CCIJB)

乾杯の音頭を取る後藤元会頭 (Foto: Jiro Mochizuki)

左からブラデスコ銀行チーフエコノミストのオタヴィオ・デ・バーロス氏/近藤正樹会頭 (Foto: Rubens Ito / CCIJB)

左から近藤正樹会頭/在サンパウロ日本国総領事の福嶌 教輝氏 (Foto: Jiro Mochizuki)
 

左から近藤正樹会頭/在サンパウロ日本国総領事の福嶌 教輝氏/伊吹洋二専任理事 (Foto: Jiro Mochizuki)

メインテーブルの在サンパウロ日本国総領事の福嶌 教輝氏 (Foto: Jiro Mochizuki)

紹介される伊藤 滋 南米都市再生事業調査団団長 (Foto: Jiro Mochizuki)

「2020サンパウロEXPOを成功させよう」と語る大阪・サンパウロ姉妹都市協会会長/元会議所副会頭の岡田茂男氏 (Foto: Jiro Mochizuki)

大阪でのスピーチコンテストで優勝した本年度の交換留学生の小島知子さん (Foto: Jiro Mochizuki)

左から近藤正樹会頭/記念プレートを受取るブラデスコ銀行チーフエコノミストのオタヴィオ・デ・バーロス氏 (Foto: Jiro Mochizuki)

左から近藤正樹会頭/記念プレートを受取る前会頭で現在ブラジル全国青年会議所副会頭のファビオ・カワウチ氏 (Foto: Jiro Mochizuki)

関係者一同で記念撮影 (Foto: Jiro Mochizuki)

140人が参加した9月の懇親昼食会 (Foto: Jiro Mochizuki)

 

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