総務委員会(上野秀雄委員長)並びに企画戦略委員会(林 正樹委員長)共催による2013年上期の業種別部会長シンポジウムは、2013年2月22日午後1時から6時までインターコンチネンタルホテルに、150人が参加して開催された。
前半の司会は上野秀雄総務委員長が務め、初めに近藤正樹会頭が開催挨拶で、本シンポジウムは会議所のメインイベントの一つであり、2月と8月、年2回開催、全部で11の部会があり、それぞれの部会はこのシンポジウムに向け、万全 の準備をして本日に臨んでおり、部会の活動の中で大きな柱であり、 ブラジルのマクロ経済はもちろん、各業界、 産業の実態の動向、しかもホットな最新の状況を一度に把握でき、特に今、世界経済の減速の影響がどれくらいあるのか、そしてブラジルの景気回復はいつになるのか、それぞれの業界の今年の展望などビジネス展開の参考になると非常に貴重なシンポジウムであると説明した。
初めに金融部会の山崎展生部会長は、2012年の回顧として世界経済の低迷、政策タイムラグ、一過性要因として南部の旱魃、トラック環境規制、アルゼンチン経済の低迷、政府介入による銀行スプレッド引下げ、公立銀行のクレジット拡大、国内産業保護、2013年の展望として米国の消費者信用改善、欧州の最悪期脱出、ブラジル経済は景気循環プラス、労働コスト、為替レート、コントロールされているインフレ、設備投資回復の恐れ、ブラジル保険市場の動向、保険料の推移などについて説明した。
コンサルタント部会の田島パウラ部会長代理は世界のCEO1330人へのインタビュー結果として、自社の短期的見通しと世界経済の見通しの双方について依然として慎重な姿勢、事業の成長を犯す潜在的な経済及び政策の要因、今後12カ月間における事業の成長に最も重要な国として中国、米国に次いでブラジルは3番目にランクずけされており、ブラジル市場のポテンシャリティ、2015年まで継続的な成長、国内消費市場では北部並びに北東部に注目、ワールドカップやオリンピック向けインフラ投資、ブラジルの自動車市場、地域別民間ヘルスケア浸透率などについて説明した。
自動車部会の岡本紀子部会長代理は四輪車業界動向としてブラジル政府の新自動車政策のInovar-Auto 、IPI減税政策、販売実績、支払い形態、販売比率、生産/輸出実績、新規生産開始メーカーの投資計画、二輪の販売実績や推移、月別販売推移、部品業界の動向などについて説明した。
機械金属部会の西岡信之部会長は鉄鋼業界、電力・社会インフラ、プラント機器、造船、建設機械、産業用圧縮、農業機械、各種切削工具、機械部品・計測機器、潤滑油・金属加工業界の昨年の回顧と今年の展望を説明、造船業界では昨年6月に日本のI社がアトランチコスール造船所と造船技術支援契約を締結、12月から造船技師を30人以上派遣、バイア州のE社技術者を日本に受け入れて研修実施、Senaiより Jicaに造船技術協力の依頼があり、部会造船分科会として協力、J-DeEP技術研究組合の概要などを説明した。
電気電子部会の篠原一宇部会長は2012年の回顧、販売動向、白物家電の市場変化、デジタル化の効果、為替の変動による部材調達コストへの影響、IPI減税政策、上院議決第13号の関連規則、移転価格税制の新マージン、固形廃棄物処理法の動向などについて説明した。
貿易部会の伊吹洋二部会長は半期ごとの輸出入の推移、主要商品別輸出入、ブラジルの主要国別輸出入額並びに内訳、ブラジルの地域別輸入額、対内直接投資、 バランスの取れた輸出先、国別対内直接投資並びに内訳、対日貿易、ヨーロッパの財政危機の影響、第一次産品を 中心とした輸出などについて説明した。
化学品部会は藤下温雄部会長が、20業種の回顧と展望、IFRS適用による会計上の利益減少、ブラジルコスト、保護主義政策、売上・利益の増減並びにパーセ ンテージ、為替変動による影響、欧州経済危機、ブラジル経済の失速や消費減少、人件費の高騰、アルゼンチン産との競合、綿花価格 低下による作付面積の低下、国家衛生監督局(ANVISA)による登録審査の遅延の影響などについて説明した。
運輸サービス部会は森田透部会長が、物流業界全体並びに各セクターの回顧と展望、景気 減速による貨物の動きの鈍化、アルゼンチン輸入規制による輸出ボリュームの減少、RADAR取得方法の変更、鉄鋼メーカーのコスト競争力低下の影響、中国の経済減速の影響、IT技術者の不足、中小航空会社のシェアアップ、改善されない空港・港湾インフラ、人材不足並びに人件費の高騰によるコスト高、好調が期待されているワールドカップやオリンピック開催による旅行やホ テル業界、クラウドサービスへの移行加速、トラック運転手の休息に関する法律施行による影響などについて説明した。
繊維部会は金屋悦二部会長が、国際・国内原綿の推移、米国の旱魃被害で穀物価格が高騰して綿花から穀物生産への転作増加、天候不順の影響、国際競争力の低下、為替の変動、綿糸貿易、クリスマス商戦の低迷、ブラジル国内の綿花生産、中国からの繊維関連輸入品の増加、服地の小売販売の動向などについて説明した。
建設不動産部会は三上悟部会長が、ブラジルの建設投資、建設物価指数、建設労働者の最低賃金の推移、セメント使用料の推移、建築資材価格の動向、集合住宅販売軒数の推移、人件費の高騰 並びに困難な人材確保、ワールドカップ並びにオリンピックによる建設部門への影響、主要都市での新築住宅販売軒数、サンパウロの住宅家賃と世界主要都市と の比較、住宅建設価格の上昇率の推移などについて説明した。
食品部会は天野一郎部会長が、部会各社の動向、輸出並びに原料価格の動向、国家固形廃棄物法関連の最近の動き、ANVISA第24号決議について、規制含有物並びに含有量、リスク、賃金上昇、ブラジルコスト、ブランド力の強化、販売戦略の見直し、国際コモディティ商品の砂糖相場の推移、ドル高の為替とヨーロッパの債務危機の影響、インフレ圧力などについて説明した。
講評では在サンパウロ総領事館の福嶌教輝総領事が、現場で苦労されている皆様に対して講評はおこがましいですが、昨年は全体的に多くの業界にとっては厳しかったが、今年はスピートは遅いが2011年間並みの回復を期待している。
ブラジルコストなどビジネス環境は厳しいが、コンサルタント部会の発表で、ブラジルは中国、米国に次いで注目されており、対内直接投資は600億ドルを超えて期待されており、またサッカーのワールドカップやオリンピックなどのインフラ整備部門の投資があり、今後、北東地域が有望であり、昨年は保険、医薬品、調味料、即席麺などは好調であったが、昨年厳しかった繊維業界にも明るい兆しがでてきている。
商工会議所の会員数は340社を超えて史上最高、日本進出企業数も過去最高の215社に届こうとしているが、日本からの中小企業のブラジル進出が足踏みしており、1月末にFIESP(サンパウロ州工業連盟)と会議所は合同で意見交換会を開催、今後はビジネスの障害となっているブラジルコストの削減など他の商工会議所ともタイアップしてブラジル政府に要請、また今年はジウマ・ロウセフ大統領の訪日や日本の政治家の訪伯など一層緊密な両国関係の強化に努めたいと説明、上野秀雄総務委員長は閉会の辞で長い時間の清聴にお礼を述べ、この部会長シンポジウム開催に尽力された部会長や部会関係者に感謝を表し、次回の部会長シンポジウムは8月20日を予定、部会長シンポジウムに対する意見や要望があれば事務局に申上げていただきたいと説明した。
リンク → 各部会のプレゼン資料
会場一杯の150人が参加
左から上野秀雄総務委員長/林 正樹企画戦略委員長
開催挨拶を行う近藤正樹会頭
室澤智史JICAブラジル事務所長/藤井晋介副会頭
左から近藤正樹会頭/在サンパウロ総領事館の福嶌教輝総領事
左は伊吹洋二貿易部会長
左から坪井俊宣経済担当領事/平田藤義事務局長
左から西岡信之機械金属部会長/岡本紀子自動車部会長代理
左からパウラ田島コンサルタント部会長代理/山崎展生金融部会長
在サンパウロ総領事館の福嶌教輝総領事