(論評)弱気なインフレ対策

ジウマ・ロウセフ大統領と中央銀行執行部は、昂進するインフレへの懸念でいよいよ頭がいっぱいになったようだ。周囲の状況はもう、目に入らない。3月までの過去12か月間の蓄積インフレ率は6.59%に達し、インフレターゲットの上限である6.5%を突破した。この問題は、新聞と週刊誌の1面を飾り、ラジオとテレビでもトップニュースとして報じられた。これに対して中銀は、17日、通貨政策委員会(Copom)がブラジル経済基本金利(Selic)を年利7.25%から7.5%に引き上げるという、情けない方法で応えた。弱気な利上げは、今後のステップにおいても「慎重に」推進すると確約された。

こうした弱気さは、Copomが発表した声明にも現れている。声明では、高いインフレ率と、広範囲にわたる価格の上昇、さらに、なかなか低下しないインフレ圧力など、アナリストと民間の金融機関が昨年から何度も指摘しかつ周知の事実に言及した。さらにこの声明では新たな利上げの可能性を示唆しつつ、予防線を張ることも忘れなかった。つまり、「インフレを取り巻く状況は、国内外、とりわけ国際情勢において先行きが不透明」で、通貨政策に慎重を期すよう勧告したのだ。

防衛本能と言うものは、それが神秘主義的ものであれ、初めて目にした際には得体の知れないものと受け止めるよりも、懸念の方が先立つものだ。中銀スタッフは、高止まりして天井に張り付いている物価と不発に終わった経済成長のような大きな国内問題が、基本的に、あるいは主に、国外の要因によるものだと主張し続けている。この主張は、Copomが利下げを開始した2011年8月にも使われた。当時の説明によると、国際的な不況を受けて食料品とその他の1次産品の相場が値下がりすると見られ、これが、ブラジルのインフレにブレーキを掛ける一助になるのだとか。

この見通しは2012年に実証されたように誤りだったし、その誤りは、誤った状況判断に基づいて下された。政府の理論とは裏腹に、ブラジルのインフレは、明らかに過度の公共支出と急激な信用供与の膨張という要因に関連するもののため、低迷したGDP同様、何よりも国内問題の申し子なのだ。それは他のエマージング諸国と途上国の発展、そして、ブラジリアで偽りの議論がどれほど繰り返されてきたのかを見るだけで十分だろう。国際情勢が厳しくとも、大幅に低いインフレ率でさらに大きな経済成長を達成することが可能なのだ。チリとコロンビア、エクアドル、メキシコ、パラグアイ、ペルーは、それが可能だと証明している。

より大きな、かつ深刻な誤りは、精神的なバイアスだ。ジウマ・ロウセフ大統領は、自身の政権が成し遂げた偉業として利下げを宣言することに固執している。もし新たな利上げが必要になった場合、大統領の言葉を借りると、それでも他の政権下における金利を下回るだろう、とのことだ。

この妄語には、2つの誤解がある。実際のところ、通貨政策がより大きな効果を発揮することもあるが、それは、金融統合の結果である。10年前、信用供与はGDPの25%だった。それが現在では、2倍の水準に上昇している。利上げであれ信用収縮であれ、政府が何らかの通貨政策を講じることは、数年前を上回る効果を発揮する。こうした変化を共和国大統領の自発的なイニシアティブのゆえんと帰結させるなど、愚の骨頂だ。だが、いくら効果的な手段と言えども、それは使って初めて機能するのであって、大統領に従順な中銀が反応を示すには、遅きに失した。

しかもジウマ・ロウセフ大統領は、他国と比較して高い水準にある金利が継続されているのはブラジルが抱える大きな問題だなどと金融セクターで大鉈を振り回していることから、財界の一部では称賛の声を惜しまない。だがこの理屈は、問題の核心に対する注意をそらせてしまう。高金利は好ましくないものであり得るが、本当に重大な問題は、国民病のようなインフレが続くこと、それも世界の貿易に関係するほぼすべての国の水準を大きく上回っていることである。他国では、インフレの高まりは迅速かつ抜本的に根絶される。ところがブラジルでは、インフレターゲットそのものが4.5%にプラスマイナス2パーセントポイントの許容誤差が設けられている。この水準は、有害なインフレに含まれてしかるべき水準だ。政府が公共支出を垂れ流していることとインフレターゲットが茶番劇になってしまったことで、価格高騰に振るう大鉈として残された武器が通貨政策に巡ってきた。しかも、この大鉈があるにしても中銀は、方向感覚を喪失した大統領府に対して従順であり、ほぼ2年にわたって鞘に収めたままだったのである。(2013年4月19日付けエスタード紙)

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