7月の懇親昼食会は、2013年7月17日正午から午後2時まで120人が参加してインターコンチネンタル・ホテルで開催、司会は平田藤義事務局長が務め、初めに特別参加者として、国際公共政策研究センターの田中 直毅理事長、在サンパウロ総領事館の佐野 浩明首席領事、国際協力銀行(JBIC)リオ事務所の石塚 亮 代表、JICAブラジリア事務所の遠藤 浩昭次長、ブラジル日本商工会議所の田中 信第15代会頭、文協の木多 喜八郎会長、8月のリオ市で世界青年会議所大会が開催され、参加を予定しているブラジル青年会議所のラファエル・ジュン・マベ 会頭、アリアンサ(日伯文化連盟)のヒロユキ・ドイ 副会長、渡部 芳郎CIPPS主任研究員、平永 敬一郎CIPPS事務局員、8月の懇親昼食会の講演者の物流システム計画公社(EPL)のセザール・ナッシメント補佐官がそれぞれ紹介された。
連絡事項として、上野秀雄総務委員長は 企画戦略委員会との共催で8月20日午後1時から6時まで マクソウド・ホテルで恒例の業種別部会長シンポジウムを開催、11部会長がそれぞれの業界の2013年上期の回顧と下期の展望について発表、副題は「どうなる ブラジル経済 持続的成長に向けて」、シンポジウムでは各業界の課題、今後の対処、政府への要望などを含んだプレゼンテーションを行い、終了後はカクテルパーティが行われるので奮って参加して下さいと案内、また詳細は事務局から会員宛にメールで案内することを説明した。
着任挨拶では、AJINOMOTO DO BRASIL INDÚSTRIA E COMÉRCIO DE ALIMENTOS LTDA.の西井孝明社長は7月着任、メキシコ以南のラテンアメリカを担当すると挨拶、TERUMO MEDICAL DO BRASIL LTDAの藤田 誠社長は4月に着任、ブラジルの前はメキシコで6年間勤務、メキシコの商工会議所ではビジネス改善に力を発揮していたと説明、また5月に帰国した三瓶前社長は、都合で皆様に帰国挨拶できなかったことを説明した。
3分間スピーチではJICAブラジリア事務所の遠藤浩昭次長は、「中小企業海外展開支援を含むJICA民間連携事業と第2回中南米民間連携調査団」について、JICA民間連携全体像として、技術協力では50年間でブラジル人1万人を日本で研修、円借款ではPPPインフラ事業、海外投融資では、BOPビジネス連携促進で途上国の貧困の削減に協力できると説明、また7月22日に商工会議所会議室で開催されるJICA主催第2回中南米民間連携調査団との懇親会の案内をした。
新入会員挨拶ではUNITED AIRLINES INCのトム・赤松氏は、初めにサンパウロ担当のツル氏を紹介、サンパウロからの日本行きはヒューストン、ニューヨーク、ワシントン、シカゴ経由便があり、北米では日本語係員が多く勤務しているので利用を要請、GESPLAN ASSESSORIA CONTÁBIL S.A. LTDAのマウロ・デ・アンドラーデ氏は従業員が30人、盛和塾の稲盛和夫塾長(京セラ名誉会長)の経営哲学を実践していることを説明、SANDIA DO BRASIL LTDAの宮川 昭社長は、工業移住者としてブラジルに移住、1989年にサンディア社に入社、日常雑貨を日本から輸入している100円ショップで輸入業務の経験が18年あるので日本進出企業に活用していただきたいが、今後の実務は息子が引き継ぐと説明した。
田中直毅理事長の講演を前に、藤井晋介会頭は、理事長は2012年2月に業種別部会長シンポジウムで基調講演を行って大好評であったが、今回も忙しい中で再度、貴重な話が聞けることに感謝の意を述べた。
田中直毅理事長は、テーマ「日中韓の三国をめぐる歴史的位相並びにブラジル写真機プロジェクトについて」と題して、現在の日本と中国・韓国の関係は、竹島並びに尖閣列島の領土問題でお互いに主張を譲らないために平行線をたどっており、政府間の関係が硬直状態にあり、オバマ大統領は、安倍首相に解決の糸口を見つけるように要請していると説明した。
米国はヨーロッパ連合との貿易協定を進めているにも関わらず、キャメロン首相は、EU離脱を問う国民投票を実施する方針を示した時から、オバマ大統領は英国のEU離脱は受け入れられないと強調しているが、キャメロン首相は、加盟条件を再交渉することを主目的に政治的駆け引きを行っている。
オバマ大統領は人を介して安倍首相に韓国との関係改善を要請しており、また強固な朴槿恵大統領は、日本に対する態度が緩和するような流れになってきているが、韓国には二つの流れがあり、一つは中国との関係が非常に重要なこと、もう一つは海洋派の米国・日本との関係を重要視する流れがあるが、訪中した時に中国語で三国志の話をして大歓迎された朴槿恵大統領に対して、中国は聞く耳を持たないピョンヤンよりもソウルとの関係が良くなってきており、一方日本はソウルとの関係改善を打開しようとしているが、簡単ではない。
日本と中国との政府間との折衝は全く行われておらず、尖閣列島に対する日本の態度を改めないと政府間交渉はできなくて政府関係の打開は難しく、ワシントンからみれば対話と協議によって日中間の打開ができないのはなぜかと見られており、東アジアの日本の立場は難しくなってきている。
その上、中国の決済システム全体が麻痺する危険性の高い金融システミックリスクが表面化してきたが、中国政府との関係がこじれているために経験豊富な日本政府からアドバイスはできないし、また中国も受け入れない。
中国ではサブプライムローンと同じ構造の問題がでてきており、中国政府は地方政府に関与できないために、地方政府の責任者に頭を使って自分で解決するように勧告したために、地方のトップは貸付けの構造調整において融資プラットフォームローンを作り、資金は金利の高い影の銀行(シャドーバンキング)と呼ばれる銀行融資以外の金融取引の活用による財政状態の不透明感から「中国リスク」への警戒感が増加してきており、中国でもサブプライムローン同様の問題発生の可能性があり、起こる確率は非常に低いが一度起きてしまうと莫大な損失をもたらすテールリスクが発生しようとしていると説明した。
中国の金融機関の構造改革の必要性は明らかであり、米国は中国の金融システミックリスクに注文をつけているが、米国は中国政府が資金調達のために膨大な金額に達する米国債を売って、中国の銀行に資金を注入するのではないかと疑っている。
中国は銀行の管理を厳格化しなければならないができておらず、今後、クレジットは確実に減少していくにも関わらず、企業はリファイナンスができると考えているが、リファイナンスができなくなると企業は倒産を防ぐために、投資や材料の購入を停止して商品をたたき売ってでも現金化を試みる。
中国国家統計局は、今年第2四半期の国内総生産(GDP)伸び率が7.5%を記録したと発表したが、実際は5.0%を下回っている可能性があり、統計が信頼できる貨物の輸送量並びに電力消費から推測すると、石炭の輸送量が大幅に減少しており、また電力が余っているために実際のGDP伸び率は3.0%程度であり、中国が投資の停止や在庫処分などを始めるとブラジルは大きな影響を受けるが、リオ市でジェトリオ・ヴァルガス財団の関係者と長時間に亘って中国経済について議論したが、エコノミスト達は非常に強い関心を持っていたと説明。
日本には中国の現在の厳しい金融市場を解決できる処方箋をかける人が多くいるにも関わらず、中国との政府間の現状では非常に難しい上に、米国の助言さえ受け入れていないために、民間サイドから中国に行ってアドバイスした方がよい選択ではないかと考えていると説明した。
また田中直毅理事長はブラジル写真機プロジェクトについて、日銀短観の簡略版で1カ月ごとにアンケートを集計、アンケートによる質問は景況感、売上高、原材料コストや在庫などで足元の景気判断となり、日本進出企業47社、65拠点から回答を受取っているが、景気循環が2回後の3から4年目で先行きを見る手がかりになるためアンケートを続ける必要性を説明、また簡単なアンケートなので更に多くの企業にアンケートに協力してほしいと説明、更に平田藤義事務局長からも協力を依頼、講演終了後は伊吹洋二副会頭から記念プレートが贈呈された。
CIPPS田中理事長からのお礼状(2013年8月20日郵送にて受理)

講演中の国際公共政策研究センターの田中 直毅理事長

左から国際公共政策研究センターの田中 直毅理事長/藤井晋介会頭/在サンパウロ総領事館の佐野 浩明首席領事

左から伊吹洋二副会頭/林正樹専任理事/上野秀雄専任理事

左から遠藤秀憲専任理事/江上知剛専任理事/国際公共政策研究センターの田中 直毅理事長

120人が参加した懇親昼食会

左から記念プレートを贈呈する伊吹洋二副会頭/国際公共政策研究センターの田中 直毅理事長

国際公共政策研究センターの田中 直毅理事長を囲んで記念撮影
写真提供 望月二郎氏/ルーベンス・イト(CCIBJ)








